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2018年6月6日

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崔 碩栄 (チェ・ソギョン)

ジャーナリスト

1972年韓国ソウル生まれ。韓国の大学で日本学を専攻し、1999年渡日。関東地方の国立大学で教育学修士号を取得。日本のミュージカル劇団、IT会社などで日韓の橋渡しをする業務に従事する。現在、フリーライターとして活動、日本に関する紹介記事を中心に雑誌などに寄稿。著書に『韓国人が書いた 韓国で行われている「反日教育」の実態』(彩図社刊)、『「反日モンスター」はこうして作られた-狂暴化する韓国人の心の中の怪物〈ケムル〉』(講談社刊)がある。

 6月12日、米国と北朝鮮のシンガポール首脳会談が近づいている。一度はトランプ米国大統領の中止発表で無くなった思われた会談だが、北朝鮮側が積極的に開催の意志を示したことで会談の実施が決定、両国の実務陣が慌ただしく動いている。

 5月27日からは板門店で米国側のソン・キム代表と北朝鮮側代表が事前調整を行い、北朝鮮の金英哲労働党副委員長が、米国を訪問し、トランプ大統領と面談をするなど、6月12にシンガポールで開催が予定されている日米朝首脳会談のための下準備が着々と進められている。

 両国の要求は実に明確だ。米国が求めているのは、北朝鮮の完全な非核化であり、北朝鮮が求めているのは、金正恩の体制保証である。他にも、経済制裁解除、経済支援、北朝鮮の開放と人権問題、米軍駐留問題などの多くの事案が山積みだが、両国が最も重視している問題は「完全な非核化」と「金正恩体制維持」である。

先月、韓国で行われた北朝鮮の反政府集会 (Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images)

米国の「段階的非核化」容認示唆で高まった和解の可能性

 会談において最も重要な話題はやはり「非核化」であろう。米国が迅速な「完全かつ検証可能、不可逆的な非核化(CVID)」を希望するのに対し、北朝鮮は時間をかけて少しずつ進めていく「段階的非核化」を主張。各国の専門家たちからはこの対立こそ会談の最大の障害物だと言われてきた。

 しかし、トランプ米国大統領が6月1日米国で開かれた金委員長の最側近、金英哲党副委員長との面談で「時間をかけても構わない。速くやることも、ゆっくりやることもできる」と「段階的非核化」の引用する可能性を示唆したことで楽観論が広がっている。

 もし米国が北朝鮮の段階的非核化を容認し、それに対する見返りとして、北朝鮮の体制を保証して、経済制裁を解除すればどうなるだろうか?

 朝鮮半島から核と戦争の脅威がなくなり、南北が経済・文化交流を通じて繁栄を成し遂げる平和の時代が訪れるだろうか?

 少なくとも、文在寅政権をはじめとする北朝鮮に信頼と支持を送る人々にはそのように見えているようだ。しかし、北朝鮮の非核化と体制維持が実現されることはあっても、その結果として平和の時代が訪れることは不可能である。少なくとも北朝鮮という「国家」においては。なぜなら、北朝鮮の体制維持と北朝鮮の人権の改善は同時達成が不可能だからだ。

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