韓国政府が「韓国版ノーベル賞プロジェクト」を夢見て2011年に設立した基礎科学研究院(IBS)が、設立から7年で存続の危機を迎えている。短期的な成果を追い求める慣行から脱し、安定的で中長期的な大型研究を支援するとの趣旨で同機関を設立したものの、現政権が発足して以降、毎年研究費が大幅に削減され、研究日程が延期。新たな実験に踏み込めない状況だ。
IBSは、物理、化学、地球科学、生命科学、数学、融複合の6分野、計30にわたる研究機関から成り立っている。国内外の500人の科学者たちが研究を進めている。11月13日、科学技術情報通信部(日本の省庁に相当)やIBSによると、来年度の研究機関別の研究費は平均65億ウォン(約6億5000万円)で、2012年の100億ウォン(約10億円)に比べ3分の2水準に低下した。政府は、IBSを設立した2011年当時、「全ての研究機関に10年間安定して年間100億ウォンずつ支援する」としていたのに、その約束が守られていないのだ。
IBSは「ノーベル賞の産室」と呼ばれているドイツのマックス・プランク研究所をモデルとして設立された。最高の科学者に最高の待遇を施し、自律性を与えることで、最高の結果を導き出すことができるとの原則に基づいている。「世界10大研究所」「ノーベル賞クラスの科学者保有率1位」を目指すはずだった。