カスタマーレビュー

2018年5月18日
 副題に「ケータイ・ネット依存症への告別」とある。一部違うことを論じている部分もあるが、全編を覆うのはケータイやインターネットを始めとするIT技術への拒否感である。基本的にはエッセイなので、それらが何故悪いかということについては特段の実証がない。古い世代が、ただただ心理的に拒否しているというように私は読んだ。一言で言うなら、「いつの時代もいるよな、こういうじいさん」という感じ。

 元はNHKに勤務していたという自分の経歴を忘れたのか、テレビが如何に有害かを合わせて説いており、大いなる疑問を禁じ得ない。昔はそのテレビで食ってたんでしょ、柳田さん。また、長崎や神戸の少年事件の分析もかなり表面的で、既に他の識者が論じたことをなぞっているに過ぎない。この著者には「マッハの恐怖」や「ガン回廊の朝」などの優れたノンフィクションがあるが、本書は駄作である。とても定価で購入する価値はないと断言しよう。若い頃は優秀だったノンフィクションライターも年を取るとこうして説教臭くなってくる、という見本のような本。

 最後にちょっとだけ味方すると、ところどころ著者らしいエピソードが挿入されているのが救いと言えば救い。少年事件の裁判で、被害者の意見を取り入れるよう自分の考え方を改めた裁判官の話、自らの死期が悟り子供との触れ合いに全力を注いだ父親の話は共にじーんと来る。こういう風に、自分の意見を述べずに市井のエピソードを取材して重ねていくという手法の方がいいのになあ、と感じた。
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