イグニッションコイルの交換

変化があるのかどうか試してみました。


●JA22に標準装備のIGコイルは閉磁式の低抵抗レスポンス型のコンパクトなコイルです。

これはこれでノーマルには充分な性能なのだと思いますが、過去に私自身でも経験があること、

また、他の方の例でもけっこう旧規格K6Aエンジンでは、軽い点火系の劣化(プラグコードの

少しの劣化やプラグの電極磨耗など)の影響を受けやすい傾向のあること、また、ブースト

アップ等でのちょっとした要求電圧の上昇でもすぐにミスファイヤーを起こすことなどから、

どうもコイルをはじめ、点火系の設計がかなりギリギリでマージンが少ないのではないかと

思うようになっておりました。

そういうこともあり、ちょっとした思いつきで純正よりマージンの高そうな数種類のコイルで

変化があるか試してみました。


●JA22純正と比較してパワーのありそうな2つのコイルを用意しました。

この時代のエンジンはちょうどバブル期の後期に生産されたものが多く、コストダウンの進んだ

現在のエンジンよりもわりと性能的に贅沢なパーツを使用していることがあることも多いのです。

 

↑用意したイグニッションコイル。 その1。

このコイルは旧車など、標準で開磁式IGコイルのエンジンへの流用としてよく使用されるもの(R30

スカイラインなどでは有名ですね)で、スバルのVIVIO(KK3/グレード:es/4気筒)のものです。

 

↑用意したイグニッションコイル。 その2。

これはEA11Rカプチーノの純正コイル。 これもダイヤモンド社のもの(ちなみにJA22W純正

コイルは日立製)です。

 

※これはどの自動車メーカーにも言えることですが、たいていこうしたパーツは同じ車種、同じ

エンジン、同じ年式でも数種類の部品メーカーのものが混在しているものです。

もちろん純正状態では性能差はないのですが、チューニングを進めていくと、メーカーによって

その特性や性能マージンによって性能差が出てくることがありますので注意が必要です。

 

●比較

↑左からJA22W純正、VIVIO純正、EA11R純正コイル。

全体のサイズ、および鉄芯のコアサイズともに JA22W < VIVIO < EA11R となります。

ただし、大きいから高性能ということはありません。 大きさは小さくても、技術の進歩によっての

高効率化、高性能化がありますので、この手のパーツは機械部品のように見た目だけで判断できない

ところが歯痒いところです。

 

まずは、とりあえずJA22W純正コイル、VIVIOコイル、EA11Rコイルの実測抵抗値を比較してみました。

 

JA22W純正コイル:1次側 0.5Ω  2次側 27.63kΩ

VIVIO純正コイル :1次側 1.3Ω  2次側 27.48kΩ

EA11R純正コイル:1次側 1.3Ω  2次側 27.53kΩ

 

このようになりました。 なお、どれも新品ではありませんので本来の基準値からは外れてると思いますし

個体差もありますのであくまで実測値です。

1次側は1次端子のプラスとマイナス間での測定、2次側はデスビ出力と1次端子間での測定です。

 

また、鉄芯の断面コアサイズ(ブリッジ部分での比較)は以下のようになります。

 

JA22W純正コイル:9.5mm×10.5mm

VIVIO純正コイル :11mm×13.8mm

EA11R純正コイル:14mm×16mm

 

このようにして見ると、抵抗は2次側はすべて誤差の範囲として、JA22Wコイルの1次抵抗がかなり小さい

ことからもわかる通り、レスポンス重視の高速向けのコイルであることが考えられます。

1次コイルの抵抗が小さいコイルはC.D.I.との相性は良いと思われますが、通常のフルトラの場合はコイルの

昇圧比が重要なので、この点では不利なのではないかとも思います。

このへんのことが、旧規格K6Aではちょっと点火系が消耗するとミスファイヤーを起こしやすい原因の

ひとつではないかと推測できます。

逆のことを言うと、EA11RやVIVIOコイルの1次コイルの抵抗が大きいということは、それだけ火花の持続

時間や電圧では有利とも推測され、とくに低速トルク重視にしたい場合は、EA11RやVIVIO純正のコイルの

ほうが向いているかも知れません。

また、1次コイルの抵抗や鉄芯のボリューム(とくにEA11Rの鉄芯断面積はJA22Wの倍以上あります)を

見ても、最終的な2次の発生電圧(昇圧比)はEA11RやVIVIO純正コイルのほうが大きいのではないかという

気がしますが、これも推測でしかありません。

 

なお、このように流用する場合はもともとついていたコイルよりも1次抵抗の大きいコイルにするぶんには

問題はありませんが(過度に大きい場合は高回転での性能が低下します)、その逆、つまり低抵抗のコイルに

するのは、最悪イグナイタのパンクなどの弊害が起きますので、適切なレジスターを併用するなどの工夫が

必要になります。

 

↑コネクター部。 コネクターは3つともまったく同じで、そのままカプラーオンです。


●取り付け

↑VIVIOコイルを取り付けたところ。

●2つのコイルとも、装着は純正のブラケットにそのままつきます。 コネクターもそのまま

つきますので、加工などは一切要りません。 ただ、ネジの長さは長いものが必要になります。


●インプレッション

このテストは交換する前に実際に走りながら、純正コイルはそのままで、2つのコイルを

仮固定して、途中でコードを抜き換えたりして本当に変化があるのか予め試してみました。

結局、変化が感じられなければ無用なトラブルを避けるためにも純正のままで良いわけですし、

変化を感じられれば、交換しようと思ったからです。

そして、これが重要ですが私のクルマの点火系はノーマルではありません。

プラグコードはSpritFier、点火補助装置としてHKSのTwinPower、プラグはNGKレーシングの

沿面プラグ、R2349-9となっております。

このあたりがノーマルエンジンの点火系とはまるで違うことを念頭においてください。

 

それで結果ですが、たしかに純正コイルとの差は微妙ではありますが変化が感じられました。

とくにVIVIOコイルよりも、EA11R純正コイルがパワフルでマッチングが良い感じです。

感じとしては高回転(だいたい7500rpm~8500rpm)での効果というよりも、発進から使用する

1000rpm程度から、6000rpm程度までのピックアップというか、アクセルに対するスムーズな

トルクの立ち上がりが向上した感じです。

とくに、2000rpmから6000rpmの実用でもっとも使用する領域でのトルク感がより改善された

感じで、フルブーストに達するまでのドッカン度合いがよりスムーズに繋がるようになったような

感じになります。

この傾向を順番にすると、 JA22W純正 < VIVIO純正 < EA11R純正となります。

たとえば、街乗りなどでシフトダウンすべきかどうか迷う場面など、面倒がってシフトダウンせず

に加速しようとしたときなどがもっとも変化のあらわれる場面です。

今までよりも若干モタツキが少なくなって、トルクの立ち上がりが早くなった感じになりますので、

多少の「ズボラシフト」操作も許容してくれるようになったというところでしょうか。

とは言っても変化は微妙で、劇的に変化するわけではありませんので、このへんは過度の期待は

できませんので誤解なきよう。

 

繰り返しになりますが、私のエンジンの点火系は社外パーツが多く組み合わされており、純粋な純正

フルトラではありませんので、あくまで私のクルマの場合の印象となりますのでご注意ください。

高回転ではあまり大きな差は感じられませんが、この3つの中ではVIVIOコイルはなぜかやや高回転

でのパワーの伸びが一歩劣る感じがします。 逆にEA11R純正コイルはけっこう上まで力強いです。

このへんは、コイルの劣化具合も影響してくると思うので、個体差もあることを考慮に入れないと

いけませんが。

 

●最終的に

とりあえず、フィーリング的にはEA11Rの純正コイルが下から上までトータルで良好な印象です。


●ワコーテクニカル ブラックコイル

↑和光テクニカル ブラックコイル C-110

1次側 0.55Ω  2次側 13kΩ 昇圧比 1:110 (メーカースペック)

ハイレスポンス、低抵抗のコイルで、1次抵抗の値も数値的にJA22W純正にかなり近いので、

純正イグナイターとの相性的にも悪くないのではないかと思い、購入しました。

 

●装着したところ。

↑汎用品なので、コネクターの処理やステーは汎用品を適当に購入して(コイル本体のステーは付属

してます)対処します。 基本的に純正のコイルステーは使えないので、イグナイターのステー等も

適切に対処することが必要です。

また、車両側のコイルへのコネクター端子は、市販のスピーカー用平型端子のSサイズがピッタリと

合います。 コイル側の平型端子はコイルに付属しています。

なお、重量がけっこうあるので(純正コイルの倍ほど)しっかりと取り付けます。


●インプレッション

これはさすがにチューニングコイルという感じです。 下から上まですべてで今までを上回る

フィーリングになります。

とくに6000rpm以上ではエンジンの音そのものが違ってくる感じで、高回転ではとてもスムーズ

になります。  絶対的なパワーとしてはさほど変わったとは思えませんが、フィーリング的に

かなり変わります。 やはり高回転型のコイルということなのでしょう。

しかも、3000rpm以下でのトルク感もEA11R純正コイルを若干ですが上回りますので、全域で

盛り上げてくれる感じです。 ただ、相対的に中間域の4000rpm~5500rpmでのフラット感

が気になるところがあります。 この範囲はアクセルの踏み込みに対してややダルな印象があり、

もうちょっと下から上まで連続的にリニアな特性が欲しいという感じですが、これはコイル本体の

問題ではなく、低回転と高回転が良くなったことから、相対的に中間域がもうちょっと欲しく

なったという意味ですので、決して悪くなったという意味ではありません。

まぁ、そもそも点火系だけでそれほど多くの変化を求めてはいけませんので、少しでも向上すれば

それで充分なわけです。 また、TwinPowerとの相性も悪くないようです。

 

ちなみに、もっと低速でのトルクを重視したい場合は、1次抵抗の大きな(1次コイルの巻き数の多い

ゴールドコイルなど)コイルのほうが向いていると思います。 ただ、逆にこのようなコイルは

高回転レスポンスで劣るところがあるので、やはり用途によって適切なものを選ぶと良いと思います。

詳しくはこちら


●フルトラでのコイルについて

点火コイルはポイント(現在はフルトラなので無接点ですが、便宜上ポイントという言い方をさせて

いただきます)の断続によって発生する誘導電流によって最終的に2次コイルに高電圧を発生しますが、

この後、磁化されたコイルの鉄芯によって逆にコイルにはそれまでと逆方向の電流、いわゆる逆起電力

による電流が発生します。

この逆電流は時間の経過とともに減衰していきますが、これが低回転時のように点火間隔に余裕があり

次の点火タイミングまでに逆電流が収まってくれれば問題ないのですが、当然のことながら高回転に

なればなるほど、点火ポイントの断続によるスイッチングの間隔は短くなっていくので、最悪の場合は

この逆電流が収まる前に、次のスイッチングが行なわれることとなり、そのせいで本来1次コイルに

いくはずの電流パワーが弱まってしまうことによって、最終的な2次電圧も下がってしまいます。

当然このことはシリンダー数が多くなるほど点火間隔が短くなり辛くなりますので、たとえば6気筒で

7000rpmは4気筒だと10500rpmに相当し、3気筒なら14000rpmに相当します。

つまりシリンダー数が少ないほど、低回転重視のコイルでも高回転まで使えることになりますので、

同じコイルでも何rpmまでついてこれるかはシリンダー数によって変わります。

 

ターボエンジンは、高回転、高ブースト、濃い空燃比となる点火系にとっては最悪の条件でこそ着実な

点火が必要ですので、その重要な高回転、高負荷域で点火パワーが弱まってしまっては意味がありません。

そこで、このポイントが開くまでの電圧の立ち上がりの影響が少なく、さらに1次電圧そのものを増強

してやるC.D.I.のような装置によって、最終的に2次側の高回転、高負荷域での点火パワーを確保してやる

ことで、ミスファイヤーや着火遅れを防ぎパワーダウンを抑えることになります。

(ただしC.D.I.は放電時間が短く低速トルクでは不利ですので、それらの欠点を克服した改良型C.D.I.

とも言える永井電子のM.D.I.HKSのTwinPower、またはワコーのパワーエキスパンダーなどの追加装置

もあります)

もちろん、これとは別に、今回おこなったような点火コイルの強化という根本的な部分でおこなってやる

ことも有効なチューニングのひとつであるとも言えます。

それで、高回転に的を絞ったかたちで考えますと、上記で述べたような高速スイッチングでの点火パワーの

立ち上がりレスポンスの速さが重要になるわけです。

 

このように考えると、ダイレクトコイル方式のようにデスビレスの1シリンダー/1コイル方式が高回転

では有利であることがわかると思います。

つまり1つのコイルで3気筒をカバーしようとすると、たとえば7000rpmでは毎分10500回のスイッチング

をおこなわなければなりませんが、3気筒それぞれにコイルがあれば、1つのコイルでは毎分3500回でいい

わけです。 つまり、それだけ逆電流の影響を考えなくてよくなりますし、ドゥエルタイム(コイルへの

導通時間)もECUのマップで自由に設定できることから、高回転だけでなく、低回転から確実な点火が

期待できるわけです。 もちろん、プラグコードが不要になることでコードに起因するトラブルの防止や

リークなどによるノイズ対策、デスビレスになることによる、よりいっそうのメンテナンスフリーにもなる

わけです。 ダイレクトイグニッションは決してコードが不要になることによる低抵抗だけが目的というわけ

ではないのです。

ただそのかわり、高温になるエンジンヘッド内部にコイルが埋め込まれますので熱による弊害(電気は温度が

上がるほど抵抗が増えますし)があることと、コイルをコンパクトにしないといけないことから、コイル自体

の性能がやや不足気味になりやすいことも事実です(このためのトラブルが意外にも多い)ので、そういう

意味ではかなり辛い面があります。 ダイレクトイグニッションの場合、コイルもある程度は消耗品と考えた

ほうがいいかもしれません。

また、C.D.I.をつける場合などは特別に専用設計されたものを除き、各シリンダーに1個づつ必要になります。

 

結局、点火コイルにもその特性があるということです。 大雑把に言うと、低速での放電時間を重視した

タイプ、高速でのレスポンスを重視した高回転タイプなどです。

コイルは電圧ばかりが宣伝されがちですが、この放電時間とレスポンスという相反する特性によって

それが自分の望むものかどうかで選択は変わってくるわけです。

 

火花の持続時間については、本来はM.B.T.と呼ばれるもっともトルクの大きくなるポイントで確実に一発

で点火しなければ意味がないので、持続時間を延ばしてダラダラと点火していても意味がないのですが、

それはあくまで理想論で、実際には失火とまではいかなくても、着火遅れやタイミングずれは常に発生

しているものです。

これらはECUで設定したタイミングとはまた異なり、せっかくECUセッティングなどで点火時期を理想

と思われるタイミングにしても、実際にスパークしてから火炎核が確実にできて燃焼に繋がるかどうか

のタイミングはまた別で、空燃比や燃焼室の温度、プラグの電極温度などの刻々と変わる条件によって

どうしてもバラついてしまうものです。

とくに低速時は燃焼温度そのものが低いためにプラグの自己清浄温度ギリギリくらいの燃焼温度しか

上がらないこともあり、ミスファイアーしやすいわけです。

ですので火花の持続時間を延長して、たとえ理想的なタイミングからずれたとしても燃焼してくれた

ほうが、ミスファイアーを起こしてしまうよりは確実にトルクに結びつけられるので、良いのではない

かという考えになるわけです。

 

また、電圧についてもたとえ数万ボルトと宣伝されていても、それはあくまでも理想的条件下でのもの

であって、それが全回転域で保証されるわけではありません。 前述のように、高回転なればなるほど

逆起電力などによってコイルにとっては不利な条件が高まっていきますので。

点火コイルを選択するときは、これらコイルの特性が、自分のクルマに求める性能に合っているかどうか

を考えてセレクトする必要があります。

 

とくに開磁式のコイルでは顕著ですが、低速型のコイルほど基本的に1次側の巻き数が多くなりますので

逆電流が多くなることから高回転での点火パワーは落ちます。 この種のコイルは1次抵抗が比較的大きく

どちらかというと低中速でのトルクに優れる傾向があります。

対して、閉磁式のコイルは文字どおり中心の鉄芯がループしていますので、より強い磁力が得られること

から、コイルの巻き数を減らしても同じ点火パワーが得られることから高回転エンジンに向いております。

この種のコイルは1次抵抗は非常に低いものもあります。 大きくても1.5Ω以下で、中には0.3Ω以下

などというものもあります。

よく点火コイルの外部にレジスターがついているものもありますが、これはとくに高回転向けコイル

の場合、1次コイルの巻き数を少なくして前述した逆電流の影響を少なくした反面、流れる電流が多くなり、

イグナイターに負担がかかることから、イグナイターのパンクを考慮し保護のために装着しているのです。

ですので、基本的には現在、クルマにレジスターがついている場合は、イグナイター保護のためにも低抵抗

なコイルを使用するときは適切なサイズのレジスターを使用することがトラブル防止になります。

あるいは、コイル、レジスター、専用イグナイターがセットになったようなキットが安全でしょう。

コイル、レジスター、イグナイターは相性があり、どれかひとつを変更しただけで、他に悪影響を与える

こともよくありますので、コイルの種類を変更する場合はよく考えて使用する必要があります。


●過度な期待をされると困るのでいちおう断っておきますが、上記の考察、テストはあくまで私の考え、

体感で、実際にコイルを換えて変化としてどうあらわれるのかは個体差もありますので、やってみないと

わかりません。 これはある意味、俗に言うアーシングなどよりもシビアかも知れません。

また、今回のテストはあくまでも私の車両で、私が実感したことを書いていますが、文章だけを読むと

かなり大幅に改善されるように感じるかもしれませんが、くれぐれも過度な期待はしないでください。

正直、かなり微妙な部分が含まれますので。

点火系に問題、あるいは性能的な不足のある車両ならばいざ知らず、現状でとくに問題のないエンジンの

場合は、どんなに高性能な点火系のパーツをつけても、多少の変化はあれ、劇的な変化が望めるものでは

ありません。

 

一例ですが、ちゃんとした燃調セッティングさえできていれば充分に点火できるパワーはあるはずなのに

燃調が異常に濃いなど、セッティングがいい加減なために無駄に要求電圧が高くなっていて理想的な点火、

燃焼ができない場合も多いわけです。(一般的にはむしろこのパターンのほうが多いと思いますし、私の

クルマもけっこう濃い目の燃調になっていますので、この可能性が高いです)。

そうした場合、「点火系を強化したおかげでパワーが上がった」というよりも、「燃調が悪くて失火気味

だったものが、点火系の強化によって無理矢理点火させて燃焼しただけ」とも言えます。

もちろん、どんな理由であっても結果オーライで考えれば良くなればそれでいいのですが、言い方を変えれば

「燃調セッティングの怠慢を点火力に頼って誤魔化してるにすぎない」とも言えるわけです。

燃調、つまり空燃比によって火炎伝播速度は大きく変わりますので、これを見直すだけでも点火時期を変えた

の同じくらいの効果が出ることもあります。

このことからも点火系と燃料系は密接に関っていることがわかると思います。

つまりコイルを換えても体感できなかった場合は、むしろ現状で理想に近い燃調状態なのかもしれませんし、

それゆえにそこまでの点火性能をエンジンが要求してないということも言えるわけです。

 

点火系というのは、要はそのエンジンが現在要求している性能を満足していれば、それ以上増強しても

あまり変化はありませんので、チューニングレベルやその人の使い方、セッティング状況などによって同じ

ように変更しても、その効果が体感できる場合もあれば体感できない場合もあるわけです。

考え方として「点火系が先にありき」ではなく「エンジン先にありき」と考えて、エンジンのチューニング

に対して、点火系のパワーが追いついてこなくなったときにはじめてその効果が大きく現れると考えると

良いのではないかと思います。 要はバランスですね。

ただ、上記でも書きましたように、ただいたずらに交換するのではなくて、目的を持って、その用途に合った

特性、性能をもつコイルに変更した場合などは明らかに変化が体感できると思います。


えんいー! ヽ(´ー`)ノ~~~