ハウスミカンを主体としたかんきつ経営に取り組む静岡県浜松市北区細江町の名倉気津治さん(58)は、被覆ビニールを三重張りにして3月上・中旬から約2カ月間変温管理を実施し、ハウスミカンの品質向上や収量確保、省エネにつなげている。中晩かんでは経費節減のため、低コスト雨よけハウスを設置。冬から梅雨明けまでは廃ビニールをかけ、夏から秋にかけては防風ネットを張る。露地ミカンも栽培し、出荷期間を長くして価格変動と自然災害の危険分散を図っている。
 
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名倉さんは、妻とパート3人、臨時雇用4人で2.8ヘクタールのかんきつ園を経営する。現在、60アールのハウスミカンのうち20アールが改植中で、2棟33アールを栽培する。「宮川早生」と「高林早生」を栽培、露地では「ゆら早生」を加えた3品種を栽培する。中晩かんの雨よけ栽培は60アールほど。「はるみ」「せとか」「不知火〈しらぬひ〉」「河内晩柑」などを栽培している。
 果実品質や収量の確保、重油の削減を目的に4段サーモを取り付け、変温管理を実施している。密閉度を高めるため三重被覆にした。満開後60日を過ぎた果実肥大期に、午後5時から午前0時までの夜温を24度、0時から4時までは22度、4時から8時までは20度に設定し、約2カ月間続ける。出荷は7月の盆と8月の月遅れ盆を目標にする。
  愛知県農業総合試験場の研究成果によると、名倉さんと同等の変温管理を実施した場合の重油削減率は6.3%となっている。「ハウスミカンの平均糖度は12度で、10アール当たり収量は4.8〜5トン」と名倉さんは話す。
 
(11面・営農技術)
〈写真:「今後は『せとか』の栽培面積を増やす予定」と名倉さん。収穫後1〜2週間仮貯蔵してから出荷する〉