ソニーと任天堂の株価が明暗、「PS4」好調際立つ-勝負は年末商戦

  • 今期利益を上方修正したソニー、上昇率は1年ぶり大きさ
  • 任天堂の7-9月利益は予想以下、1年4カ月ぶり安値に

家庭用ゲーム機を展開するソニー任天堂の株価の明暗が分かれた。

  前日発表の7-9月期決算を受け、31日のソニー株は一時7.1%高の6275円と大幅続伸し、上昇率は昨年11月1日(12%)以来、1年ぶりの大きさを記録。任天堂は一時4.7%安の3万3610円まで売られ、昨年6月13日以来、1年4か月ぶりの安値を付けた。

  ソニーは30日、2019年3月期の営業利益計画を6700億円から前期比18%増の8700億円に上方修正した。2期連続で過去最高益を更新する見通しだ。ゲーム&ネットワークサービスは、プレイステーション4(PS4)の販売台数見通しや有料会員サービス「PSプラス」の売り上げ見込みを上積みし、部門では最大の3100億円の営業利益を見込む。

プレイステーション4

Photographer: Patrick T. Fallon/Bloomberg

  任天堂の7-9月期営業利益は309億円と前年同期比で30%増えたが、アナリスト予想の379億円は下回った。アナリストの一部からは本体2000万台、ソフト1億本とするスイッチの販売計画に疑問の声が出ており、株式市場は先行きを否定的に捉えた格好だ。

  米国モーニングスターの伊藤和典アナリストは、ソニーについて「PS4の売れ行きは期初の印象よりだいぶ強い」と指摘し、自社ソフトやPSプラスを使って「ハードのサイクル延長に成功している」と評価した。任天堂に関しては、スイッチ本体の販売が目標の「2000万台に届くかどうか、若干怪しい部分がある」とみている。

  ただし、ゲームビジネスの成否は年末商戦で決まる。ソニーも任天堂も人気ソフトを投入し、売り上げを伸ばす考えだ。

ニンテンドー スイッチ

Photographer: Patrick T. Fallon/Bloomberg

  ソニーの十時裕樹最高財務責任者(CFO)は決算会見で、「下期にかけても強力なソフト販売が控えている」と述べた。年末商戦をにらみ、今月に入り人気シリーズの「コール オブ デューティ ブラックオプス4」や「レッド・デッド・リデンプション2」を投入した。

  任天堂の古川俊太郎社長はスイッチについて「順調に推移している」としつつ、「これから迎えるホリディー商戦が本番だ」と話した。12月7日に発売予定のスイッチ向けタイトル「大乱闘スマッシュブラザーズ スペシャル」の初動に注目が集まっている。

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