ソニ-、携帯型ゲームを再び強化へ-子会社の小寺社長が意欲示す
古川有希、中村友治- ハウス前社長の「大きなチャンスない」との否定的な考えを転換
- PS4はライフサイクルの終盤、「今後3年は準備期間」-小寺社長
ソニーのゲーム子会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントの小寺剛社長兼最高経営責任者(CEO)は23日、携帯型ゲーム機「PS Vita(プレイステーションヴィータ)」やスマートフォン向けゲームなど持ち運び可能なゲームの在り方について「いろいろなオプションを考えていきたい」と述べ、据え置き型と並び同社の重点商品として、再び注力する考えを明らかにした。
小寺氏はブルームバーグ・ニュースなどとのインタビューで、同社のゲーム機について「どういう形でお客様の手元にすでにあるポータブル機器を使ってよりユニークな体験ができるか、そういう視点でいろいろ検証を進めている」と言及した。同社は既にスマホと「PS4」をリンクさせたゲームを提供している。
インタビューに答える小寺社長
アンドリュー・ハウス前社長は昨年9月、携帯型ゲーム機について「大きなチャンスのある市場だとは見ていない」と述べていた。小寺氏の発言は、こうした方針を転換しソニーにとっても、携帯型ゲーム機が重要であるとの認識を示したものだ。ゲーム市場ではライバルである任天堂スイッチの人気が高まっている。
ソニーは据え置き型で人気のPS4も販売している。これに関連して小寺氏は「ポータブルとコンソールを切り分けるよりは、よりよいゲーム体験を提供するための一つの手段として、ポータブルに対してどういう臨み方があるのか、継続的に考えていく必要がある」と語り、携帯型と据え置き型を共に強化する考えを示した。
収益目標と「ライフサイクル」
これまでの累積販売台数はPS4が7900万台、今年度の販売目標は1600万台。ヴィータはどちらも公表していない。
ソニーが22日に発表した中期経営計画では、2021年3月期のゲーム関連事業の営業利益目標を1300億-1700億円と19年3月期予想の1900億円よりも低く設定した。小寺氏はPS4は導入から5年がたち、販売ペースが鈍化するライフサイクルの終盤にあるとし、今後3年間は「将来への準備をするための時期」と説明した。
現在、世界最大のゲーム市場に躍り出た中国については「無視できない規模」として同市場での施策や投資を継続していく方針だ。