【競馬・ボート・競輪】[ボート]SGの関所 18年浜名湖賞 突破すべし あすから浜名湖ボート開設65周年記念2018年11月28日 紙面から
浜名湖ボートの開設65周年記念「GI浜名湖賞」はあす29日に開幕する。地元スター選手はもちろん、遠征陣も豪華メンバーが集結した6日間V決戦。熱戦を前に、浜名湖ボートにほど近い場所にある「新居関所」で、JLCキャスターの荻野滋夫さん、浜名湖ピットリポーターの星野あゆみさんの2人にシリーズの見どころ、注目選手などを聞いた。 ◆地元の門番 見るべし!!-29日にいよいよ開幕する「GI浜名湖賞」のずばり見どころは? 荻野さん「初日、2日目のダブルドリーム戦に選出された菊地孝平、坪井康晴、笠原亮の地元3選手はもちろん、3月に浜名湖で開催されたSGクラシック覇者の井口佳典選手、年間勝率トップを快走する峰竜太選手など実力者が勢ぞろい。V争いは本当に楽しみで、若手の台頭も期待したいです」 星野さん「そうですね。ベテランから若手まで好メンバーがそろい、誰にもVチャンスがありそう。優勝すれば来年3月戸田で開催されるSGクラシックに出場できるので、その権利をまだ持っていない選手は気合が入りますよね」
-イチ押しレーサーは? 荻野さん「菊地選手ですね。今年は意外にもまだ優勝がないんですよ。それでも獲得賞金上位で年末の住之江グランプリへ出場する。『SG、GI戦に限らず、どのレースでも安定して予選を突破したい』と本人から聞いたことがあります。その目標通り予選突破率が高く、GP出場の扉を開けたことはすごい」 -2008年の第55回、17年の第63回に続く3回目の大会制覇でGPへ加速へ、地元ファンの期待も大きい。 星野さん「地元といえば、確実に力を付けてきた星栄爾選手の攻撃的なレースから目が離せないですね。前静岡支部の山下友貴選手のダンナさま、三重支部の松尾拓選手も活躍してほしいですね。9月の(プレミアムGI)浜名湖ヤングダービーで双子の兄・充選手が優出しましたが、拓選手はもうひとつ目立たず。最近パパになったばかりで、愛妻のかつてのホームプールで積極果敢な走りあるのみですよ」 荻野さん「服部幸男選手も健在です。前期末の10月、A1級キープの勝負駆けに成功しました。『ベストを尽くします!』の言葉は結果を約束しているのではなく、プロセスへの誓い。気を抜くことなく自分の力を出し尽くすことを意味しています」
星野さん「4月福岡の(プレミアムGI)マスターズチャンピオンを制した渡辺英児選手の闘志も衰え知らずです。浜名湖前回のGIIIマスターズリーグ優勝戦で同じ静岡支部で同期(67期)の大場敏選手と激闘を見せたばかり。内艇の2人が競り合い、展開をとらえた3号艇の福田雅一選手の優勝になりましたけどね。地元ではないですけど、元祖イケメンレーサー山崎智也選手の名前も忘れてはいけないですね。大きいレースだと初日に選手紹介セレモニーがありますが、その時ファンから受け取るプレゼントの多さは目立ちます。人気は変わらずで、浜名湖賞は第52、60回と2度制していますよ」 -浜名湖賞で記憶に残る名勝負とかはありますか? 荻野さん「最近だと、11年の第58回優勝戦。白井英治選手が4コースからトップSを決めて一気にまくっていったレースです。白井選手は今回出場しませんが、持ち前の攻撃力はもちろん、広大な水面を誇る浜名湖を象徴する勝ち方でした」 -今回の浜名湖賞でも激闘を見ることができそうですね。 ◆浜名湖めし 食うべし!!-話は変わりますが、浜名湖ボートならではということで、レース場最寄りの新居町駅周辺のお勧めの店とかはありますか? 荻野さん「僕のふるさとは、ここ新居町ですけど『鳥初』(※1)さんのコロッケはおいしいですよ。ハムカツも。お肉屋さんなんですけどいろいろな総菜も売っています」 星野さん「新居町のお土産といえば和菓子の『あとひきせんべい』『すあま』『うずまき』なんですよね」 荻野さん「『まんじゅや』(※2)さんの『すあま』も紹介したいですね。そういえばある研究によると、この新居関所近辺は西と東の食が交わる所らしいですよ」 星野さん「私は関西(大阪)出身で肉じゃがやカレーの肉といえば牛と思っていましたが、嫁ぎ先では豚肉でした。関東へ近づけば豚肉を使うケースも多いんですよね。そういう食材とか、味付けとかが、この新居関所辺りで変わるということなんですね」 荻野さん「食だけでなく、言葉も新居町近辺で変化するということも定説になっています」 -食、言葉など文化の歴史的な交流点となっている新居町にある浜名湖ボート。東西を代表する実力レーサーが集結して、新たな戦いの歴史を刻むことになりますね。 (※1「鳥初」は新居町駅前の国道301号線を西へ歩き新居関所を越え、泉町交差点左50メートルほどにある。※2「まんじゅや」は、その南すぐ) <星野あゆみ(ほしの・あゆみ)> 1975(昭和50)年2月12日生まれの43歳。大阪府出身。愛知県豊川市在住。特技はダイビング、バレーボールなど。ボートレースのピットリポーターなどで活躍中。 <荻野滋夫(おぎの・しげお)> 1960年5月1日生まれの58歳。静岡県出身。愛知県豊橋市在住。「アナウンサーは感動の増幅器、情報のレンズ…」を信条に、ボートレースの勝者インタビューなどで活躍中。 ◆三大機 引くべし!!秋以降もバランス良好29号機 伸びる33&23号機4月から使用が開始された現在のエンジンも8カ月が経過して、相場は固まっている。現在、浜名湖エンジンのビッグスリーが29、33、23号機だ。 29号機は使い初めの池永太がいきなり優勝。以降、安定したパワーを発揮して8、9月には丸尾義孝、大場敏が連続優勝したエース機。秋以降も出足、伸びのバランスの良さに衰えなく、マスターズリーグで乗った宮迫暢彦は「抜群。記念もあるしノーハンマーで次に渡します」と、優勝戦2着に好走。前節の木村恒一は結果が出なかったが、気配は良かった。記念レーサーが手にすれば、上位の足に仕上げるだろう。 33号機は8月のお盆シリーズで地元の徳増秀樹が乗って強烈な舟足に仕上げた良機。気温が下がってきても伸び足は強力。2節前のマスターズリーグでは福田雅一が後半4連勝で優勝をさらっていった。回転調整がうまくいけば、トップ級の伸び足を引き出せる。 23号機は使用前の航走検査で6秒47の一番時計をマークした素性機。井口佳典、湯川浩司が乗って連続優勝を飾ったように、記念クラスが乗れば、上位級の足に仕上げてくる。この4節は優出してないが、マスターズリーグで乗った鈴木賢一は「伸びるし、出足も悪くない」と、舟足には納得の表情だった。 上位3機の次のクラスが37、35、59、48、62、16号機。乗り手で舟足の仕上がりは上下するが、37号機は行き足、伸びがいいエンジン。35号機はお盆シリーズに星栄爾が乗ってから上昇ムードで最近は出足系が上位の足に仕上がる。59号機は2節前の本多宏和が後半スリット足を強力に仕上げた注目機。62号機は上下動の少ない安定した良機だ。 7連勝記録8号機このほかで注目したいのが8号機。マスターリーグで大場敏が初日から7連勝を記録。「全部の足がいい」と胸を張った。秋以降、急上昇を示しているので今節も楽しみなエンジンだ。 ◆総展望 主役奪うべし!!チャレンジCでグランプリ(GP)出場18選手が決まった直後に行われる浜名湖周年。暮れの大一番へ向け、リズムアップを図りたい者、来年へ巻き返しを期する者とさまざまな思いが交差するシリーズとなりそうだ。 優勝争いの最右翼は3月のクラシック覇者、井口佳典だろう。2012年のオールスターも制するなど当地SG優勝2回と抜群の実績を残している。クラシック後はやや調子を崩したが、8月のメモリアル、10月のダービーでSG連続優出と着実に上げ潮ムード。2度目のGP制覇をしっかりと視界にとらえ、必ず期待に応える走りを披露してみせる。 最大の敵が峰竜太だ。当地の記念は2013年の周年制覇をはじめ5優出1優勝。今年はまだSG制覇こそないが、下関と多摩川のGIを射止めており、勝負強さは健在。4年連続の年間最高勝率をにらむボート界屈指の安定感で首位戦線は外さない。 昨年のGPチャンプで、MVP男の桐生順平は今年もうひとつ存在感を発揮できないでいる。それでも3月の蒲郡周年を制し、GP連覇も狙える立場にいるのはさすが。直前のGIを弾みに反撃態勢を整える。 地元からは初の当地記念制覇に燃える笠原亮が筆頭格。今年は徳山、戸田と2つのGIを勝つなど安定した活躍。パワー面で乗り心地の部分さえうまく引き出せれば高い操縦テクニックを駆使し、勝機をうかがう。同大会3度目の優勝を目指すのが菊地孝平。今年ここまで優勝ゼロは信じられない不振だが、ここ一番で逆襲の一撃がある。あと14年の覇者で今年優勝7回の深谷知博、遅咲きの大器、星栄爾からも目が離せない。 他では得意の弾丸ショット連発で史上3人目の大会連覇を狙う柳沢一、今年優勝7回など不屈の闘志の持ち主である赤岩善生、上昇ムード目覚ましい田村隆信、さらに安河内将、羽野直也、木下翔太のヤングダービー優出組にも注目が集まる。 ◆井口 名誉挽回戦各地区のトップレーサーが集結した。その中でも今年の賞金ランクで上位(4位)に立つ井口が中心的な存在になるだろう。直前のチャレンジC予選敗退の雪辱をかけ、ここは名誉挽回の一戦となる。 地元のエース、菊地は身上の旋回力とスタート力を生かして台頭。しかもホームの利を考えれば圧倒のシーンも。茅原、篠崎はコース不問の躍動感がある。あと湯川の爆発力、当地で実績ある山崎も見逃せない。 ◆坪井&笠原 意地坪井、笠原の地元コンビが意地を見せつけたい。ともにチャレンジCは予選敗退。決してリズムは良くないが、坪井は当地のエンジン出しに定評があり、笠原は今年GI2勝でグランプリに向け軌道修正が必須。巻き返しの一戦だ。 峰はチャレンジC準V。平凡機を上位級に仕上げたように大崩れがない。どの枠からでも勝機をうかがう。近況好調の田村、じんわりと上昇気配の桐生、平本は不振脱出をかける。 ◆星栄爾「気合」 ラジオで抱負静岡放送「聴くディラン」27日に放送された静岡放送のラジオ番組「聴くディラン」(毎週月~金曜日 午後2時~同6時15分)に「開設65周年記念 GI浜名湖賞」に出場する星栄爾選手(33)=静岡=とボートレースラジオガールズも務めるフリーアナウンサーの鬼頭里枝がゲスト出演した。 通算優勝経験は12回、GIレースは43走している星選手だが、実は浜名湖賞への出場は初めて。「すごいレベルの高い選手が集まる」と謙遜しながらも、汽水湖の浜名湖ボートは「一番理想のターンができるボートレース場」と自信も見せた。地元静岡支部のボートレーサーとして「しっかりと気合を入れて攻めるレースをするので、ぜひ本場に足を運んでください」と熱くリスナーに呼びかけた。
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