文句なしだった。両リーグの新人で唯一の2ケタ勝利となるリーグ4位タイの11勝に防御率2・45はリーグ2位、そして155奪三振はリーグ3位。有効投票数の99%近い票を集める受賞も当然だったが、DeNAの東は謙虚に受け止めた。
「ありがたいし、うれしい。目標と言ってはいたけど、現実になって一番ビックリしているのは自分かも」
先輩の一言が支えになった。5月頃、主将の筒香に「お前は考えながら野球をやっている」と褒められた。その時はピンとこず、「しっかり見てくれている。しっかりやらなきゃと気が引き締まった」だけだった。
やっと意味が分かったのは「シーズン終盤。それまでは無意識にできていたのが、よかったのかな」。マウンド上で打者の狙いを感じ取り、そのイメージを捕手と共有して投げる。自分のやり方が間違っていないことを主将の言葉が証明し、勇気づけてくれた。
プロ選手としては小柄な170センチの体で「あっという間」のシーズンを走り抜いた。「大学時代はどこかが痛いと離脱することも多かった。1年間、大きなケガなくやれたのは自信になった。トレーナーさんのおかげ」と感謝した。
来年は周囲の期待値も劇的に上がる。表彰された壇上では「1年で終わったと言われないように頑張りたい」と言い切り、2年目のジンクスに負けない活躍を誓った。 (小林孝一郎)