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友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? 作者:【世界一】とにかく可愛い超巨乳美少女JK郷家愛花24歳【可愛い】

第四章

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14、年下の男 

「友木君。どうしてあなたがここに呼び出されたか、分かるかしら?」


 真桐先生の鋭い視線と硬い声音が、俺に向けられる。

 久しぶりに、その厳しさのため、彼女が全校生徒から恐れられているという事実を思い出しつつ、俺は正直に答えた。


「……さっぱり分からないんすけど」


 俺の言葉に、彼女は呆れたように溜め息を吐いた。

 本当に、どうして呼び出されたのかさっぱり分からない俺は、状況を整理することにした。


 ――今は、昼休み。生徒指導室で、真桐先生と向かい合っている。


 授業間の休み時間中に、真桐先生に対して年下が恋愛対象になるか尋ねたところ、真っ赤な顔で狼狽えまくった彼女が、きっと鋭い眼差しを俺に向け、『昼休み、生徒指導室に来ること』と、質問には答えないまま言い放ったためだ。


 ちなみに、二日連続で一緒に昼飯を食べられそうにないことを冬華には伝えたのだが、彼女は大層不満そうにしていた。

 あの様子だと、今日の放課後もまた寄り道をすることになりそうだな。


 などと考えても、やはり呼び出しを受けた理由は分からないままだ。


「……本当に、分からないのかしら?」


 学校の中では珍しく、可愛らしくムスッとした表情を浮かべ、真桐先生が弱々しく呟いた。


「本当に分からないんすけど……」


 俺が答えると、真桐先生は不満を隠すこともなく、俺を睨みつける。

 ……なるほど、どうやら自分でも気が付かない内に、まずいことをしていたらしい。

 しかし、特に悪さをしたわけではないし、何か噂が立つようなことをした覚えもない。


 何か変わったことがあるとすれば、真桐先生に年下が恋愛対象になるかどうか聞いたことくらいだが……。


 そう思い出し、俺はようやく気が付いた。

 俺は思案から現実に戻り、正面の真桐先生を見る。

 彼女は俺の表情を見て、鋭い視線を向けたままだったが、数秒間目を合わせた後、恥ずかしそうに視線を逸らして顔を伏せた。


 ……これは、間違いなさそうだな。

 そう思い、俺は真桐先生に頭を下げてから、告げる。


「すんません、こういうのって、セクハラすよね。気をつけます」


 女性に対して、男性のタイプを聞くなんて、普通に考えたらセクハラだ。

 俺は自分の無神経さに辟易しつつ、真桐先生に謝罪した。


 すると……、


「そうじゃないっ!!」


 と、先ほどの表情から一転、真桐先生はぎゅっと目を瞑って、まるでいじけた少女のように可愛らしくそう言った。

 かなり勢い良く言ったせいか、真桐先生もすぐにハッとして自らの口を両手で押さえ、気まずそうな表情を浮かべた。


 しかし、今の言葉を信じるのであれば、俺の言葉はセクハラではなかったらしい。

 少しほっとしたものの、そうなるとなぜ俺が生徒指導室に呼び出されたかの理由が、分からないままだ。


 それにしても、学校の外ではこんな風にポンコツ気味な真桐先生は良く見るのだが、学校内でこうなるのは珍しい。

 さっきからずっと顔も真っ赤だし、もしかしてアルコールが入っているのだろうか……?

 いや、流石にそれは社会人としてありえない。真桐先生がそんなことをするとは、到底思えない。


 であれば、考えられるのは体調不良か。

 そう考えると、この様子のおかしさも、真っ赤な顔も、説明がつく。


「もしかして先生、夏風邪すか? 大丈夫すか?」


 俺が彼女の表情を覗き込みながら問いかけると、


「何がどうなって、私はそんな心配をされる羽目になったのかしら……?」


 絶望の表情を浮かべながら、絶句した真桐先生。

 何がも何も、それ以外考えられなかったのだが。


 俺はなおのこと真桐先生のことが心配になって、彼女の表情を伺うのだが、


「……本当に分かっていないのね」


 はぁ、とあからさまにため息を吐いた。 

 それから彼女は、瞼を俯かせ、恥じらいを浮かべつつ、口を開く。


「良いわ。それで……年下が、恋愛対象になるかどうか、という話だったわね」


「あ、はい。そうすけど。……え? 教えてくれるんすか?」


「ええ、あなたには色々と助けてもらっているし、今回だけ……特別よ?」


 と、呆れつつも彼女は自ら口元を片手で隠しながら、そう言った。

 それから、どこか緊張した様子で彼女は口を開いた。


「相手が社会人で、2つか3つ年下というのであれば、恋愛対象として何の問題もないわ。ただ……年下というのが、教え子である高校生だったとしたら。その人のことは、恋愛対象として見てはいけないと思うわ」


 真桐先生はポンコツで可愛らしい部分はあるのだが、それ以前に良識ある社会人なのだ。

 そう考えるのは、なんら不思議ではないだろう。


「でも」


 と、一拍置いてから、真桐先生は続けて言う。


「その人のことを好きになったら、年齢なんて関係ない……じゃなくてっ! 関係なくなる……ような気もするわ」


 その表情は、どこか満足そうで、そしてとても穏やかで、優しげだった。


 年齢なんて、関係ない。

 ――それもまた、外見なんて関係なしに相手の本質をしっかりと見てくれる真桐先生らしい言葉だな、と思い。

 俺はなんだか嬉しくなった。


「……真桐先生らしいっすね」


 俺は思わず、そう呟いていた。


「で、でも。恋愛対象になるとはいっても、流石に在学中・・・の生徒と、正式にお付き合いをすることは出来ないわ。どういうつもりで質問をしたのかは分からないけれど……私は、そう思っているわ」


 真桐先生のその言葉も、やはり彼女らしいなと、俺は思うのだった。





 それから俺は、真桐先生に改めて謝罪とお礼を口にした。

 真桐先生から解放されてから、生徒指導室を後にし、教室に戻ろうと思ったが、もしかしたら竜宮がいるかもしれないと思い、生徒会室に寄ってみることにした。


 生徒会室の前に辿り着くと、部屋の中から物音が聞こえた。

 どうやら、部屋の中には誰かがいるらしい。池は今日、教室で昼ご飯を朝倉たちと食べていたし、竜宮の可能性は高いだろう。


 そう思って、俺は生徒会室の扉をノックすると、


「おう」


 という女子の声が返ってきた。


 ……竜宮、か?

 彼女らしからぬ応答に戸惑いつつも、俺は扉を開いた。


 そこにいたのは、小柄な女子生徒。

 竜宮乙女――ではなく。


「おう、何だ後輩君。生徒会室に何か用か?」


 一人で弁当箱を広げている竹取先輩が、そこにはいたのだった。


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