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友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? 作者:【世界一】とにかく可愛い超巨乳美少女JK郷家愛花24歳【可愛い】

第四章

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6、生徒会長と前生徒会長

 しばしそんな状態で、俺は次に言うべき言葉を探していたのだが、それは無駄に終わった。


 生徒会室の扉が、不意にガラリと開かれる。

 視線をそちらに向けると、ちょうど池たち生徒会役員が戻ってきたところだった。


「ん、優児と冬華か。二人ともどうしたんだ? ……って、竹取先輩? ……来てたんですね」


 と、生徒会室に入った池が、俺たち三人を見て問いかけてきた。


 普段と変わらぬ笑顔だが、その裏にはわずかな動揺が走っているのを、俺は見逃さなかった。

 一体、どういうことなのだろうか?


「ま、夏休み明けの初日なんだ。顔出しくらいするっての。……だが、今日はもう帰る! せっかく来たってのに、お前らはあたしに何も言わずにどっか行ってるしな!」


「夏休み明け初日ということで、改めて頑張ろうということでみんなで昼ご飯を食べていたんだよ」


 そう言ったのは、竹取先輩と同じ三年生の田中先輩だ。

 彼の言葉を聞いた竹取先輩は、


「あたしだけのけ者にされて、みんなで仲良くランチ……っ!?」


 と、あからさまに狼狽えていた。


「それは、竹取先輩が基本的に生徒会をサボり、私たちからの連絡も無視するので、どうせ誘っても無視されるだろうと思い、声をかけなかったんですよ」


 副会長の竜宮が、冷たい表情で言い放った。

 竹取先輩は、それを見てから「ま、しゃあないか」と肩を竦めた後、


「とりあえず、今日はもうあたしは帰るからな!」


 じゃーな。

 そう言って出口へと向かう竹取先輩。

 その背中に、竜宮と田中先輩は呆れたような眼差しを向けた。

 鈴木は、


「もう帰っちゃうんですか? 竹取先輩が手伝ってくれると助かるんですけど?」


 と、その背に問いかけたのだが、


「いや。春馬と乙女と田中がいれば、事務的には何の問題もないだろ」


 と冷ややかに言い放ち、


「私は―!?」


 と、鈴木が不服そうに呟いていた。


 そんな鈴木を見て楽しげに笑ってから、


「そんじゃ、そこの後輩くんと冬華も、またな!」


 俺たちに向かって、彼女はそう言った。

 俺は無言のまま会釈をし、冬華は「お疲れ様でーす」と応じる。

 それを見て、満足そうな表情を浮かべた竹取先輩は、そのまま生徒会室を後にした。


 あの人、マジでなんもやらないんだな……。

 俺は内心驚いていたが、ふと池に視線を向けると、さらに驚いた。


 どうしたことか、竹取先輩がいなくなったことで、池が一瞬安堵を浮かべていたからだ。

 俺の視線に気づいたのか、彼は一瞬焦りを見せてから、


「全く、困った人だよ」


 と、曖昧に笑ってから呟いた。

 なんと答えたものか分からず、俺は「そうだな」と小さく呟いた。


 竹取先輩が、個人的に苦手だったりするのだろうか?

 ……完璧超人の池に、そんな弱点があるなんて思えないが。


「冬華さん、お久しぶりですね。夏休み明け初日からお会いできるなんて、嬉しいです」


「お、乙女ちゃん。どもでーす」


 あはは、と愛想笑いを浮かべる冬華の声が聞こえて、俺の思考は中断された。

 見ると、いやら……嬉しそうな表情を浮かべた竜宮が、冬華の手を握って挨拶をしているところだった。下心が丸見えで、冬華は引いていた。


 戸惑っている冬華に助け舟を出そうかと思っていたところで、


「久しぶりだね、友木君。竹取さんはああ言っていたけど、やっぱり生徒会役員が実質的に一名少ない状態っていうのは、大変だったりするんだよね。一学期も君に助けられっぱなしだったけど、暇なときだけでいいからまた手伝ってくれると嬉しいかな」


「田中先輩、早速人手の確保に努めないでくださいよ。ここはそんなにがっついた様子を見せない方が好感度高いと思います」


 田中先輩と鈴木が、朗らかな表情を浮かべて、俺に話しかけてきた。

 そんな二人のやり取りを見て、


「……俺なんかで良かったら、いつでも手伝うんで。気軽に声かけてもらって良いっすよ」


「わぁ、人員確保に成功、田中先輩、やりましたね!」


「がっついた様子を見せない方が良いんじゃなかったっけ?」


 俺の言葉に、鈴木が嬉しそうに田中先輩に向かって両手を上げる。

 田中先輩は呆れつつ、彼女とハイタッチをした。

 ……バカップルやってんなー。俺は冷めた目で二人を見るのだった。


「優児。生徒会室に来たってことは、何か用があったんだよな? 待たせてしまって、悪かったな」


 今度は、池がどこか申し訳なさそうな表情を浮かべて声をかけてきた。


「用ってわけじゃない。ただ、一学期から生徒会には世話になっていたからな。挨拶くらいはしておこうと思って、来ただけだ。急に、悪かったな」


 俺が言うと、池は目を丸くし、それからクスリと笑った。

 その何気ない仕草が、彼のハンサムっぷりを加速させる。竜宮は今冬華との会話に夢中だが、この笑みを見ていたらきっと、彼女の目にはハートマークが浮かんでいたことだろう。


「結構律義だな、優児は」


 優し気な視線に気恥ずかしくなった俺は、


「……放っとけ」


 と、拗ねたように言う。

 それから、竹取先輩のことについて、俺は問いかけた。


「……にしても。えらい自由人なんだな、竹取先輩って」


「優秀な人なのは、間違いないんだけどな」


 苦笑しつつ、池は答えた。

 そして、彼ははっとした表情を浮かべてから、


「優児、竹取先輩とはどんな話をした?」


 どこか深刻な表情を浮かべて、池が言った。


「あの人が一年の時は生徒会長だったのに、池にその座を奪われたという自虐や、竜宮がいつも冬華のことを話しているという密告があったくらいだな」


 流石に、池が俺を良い男だと話していることを聞いたとは言えなかった。そんな強靭なメンタルは俺には無い。


 俺の言葉に、安堵したのかほっと息を吐いた。

 どうしたのだろうかと思っていると、今度は表情を硬くした池が口を開いた。


「竹取先輩、あの人は間違いなく優秀な人だが……少々性格に難があったな。こんなことを言うのは、好きではないんだが……適切な距離を取って接しないと、大変なことになる」


 その言葉を聞いて、俺は茫然とした。

 まさか、池の口からそんな言葉が出るなんて、想像したこともなかったからだ。


「会長の仰ることは少し語弊がありますね。友木さんの場合は、極力あの人とは関わらない方が良いですよ。……一応、これは助言のつもりです」


 いつの間にか俺たちの会話を聞いていたのか、竜宮がそう言った。

 ちなみに、冬華は俺の隣に非難をしていた。


「それじゃ、竹取先輩って実は性格が超悪い、とかで、近寄らない方が良い、とかなんですか?」


 冬華も会話を聞いていたのか、


「性格が悪いというよりも、あまりにも一途「はい、破綻しています」……いや、まぁそういう風な見方もあるんだけどな?」


 池の言葉に、竜宮がかぶせる。

 ここまで俺以外の人を悪し様に言う竜宮にも、なんとなく歯切れの悪い池も、あまり見たことがない。

 竹取輝夜。一体何者なんだろうか……?

 俺がそう思っていると、


「ところで、友木さん。明日から、夏季休暇明けの実力テストなのは、覚えていますね?」


 と、竜宮から声が掛けられた。

 定期考査というわけではないが、夏季休暇中の自学自習の成果がどの程度のものか確認する趣旨で、明日から三日間、テストが行われる。

 しかし、定期テストと同じように学年の上位の順位が張り出されてしまうのが、怖いところだ。


「ああ、もちろん覚えている」


 俺が頷いてから答えると、竜宮は「ふっ」と鼻で笑ってから、言った。


「随分と余裕そうに見えますが、今日は一刻も早く帰宅し、机に向かった方が良いですよ? 一学期の雪辱は必ず果たしますので」


 自信の窺える笑みを見せ、彼女は乏しい胸を張る。

 大胆不敵に笑う竜宮は、続けて池にも向かって口を開いた。


「会長も、今回も前回までと同様に学年一位を取りたければ、必死になった方がよろしいかと。今回の私は、これまでと一味違いますので」


 普段はあんなに池に対して好意的にもかかわらず、今日の竜宮は挑発的なことを彼に言った。

 こういうところ、素直にすごいなと俺は感心した。


「今回のテストは、夏季休暇中の学習の定着度を見ることが主な目的だ。今から急いで勉強をするよりも、これまでの積み重ねを信じて臨むべきだと俺は思うが」


「余裕ですね、会長は。……それが油断や慢心でないと良いのですが」


「油断や慢心なんてしないさ。竜宮、勉学に熱心なのはもちろん良いことだが、あまり根を積めない方が良い。体調を崩されでもしたら、かなわないからな」


 池が微笑を浮かべつつ、竜宮に行った。

 すると彼女は、


「そ、それって私のことを大切に想っているということですか……? はうぅ、会長。そんな恥ずかしいことを言うなんて、ズルいです……」


 と、小さく囁いた。


「ん? すまない竜宮、今何か言ったか?」


 難聴系鈍感主人公さんの池が、竜宮に向かってそう問いかけた。

 俺と冬華は、池に胡乱気な視線を向けたが、当の竜宮は一度残念そうな表情を浮かべたものの、そのすぐ後にホッと吐息を漏らした。


「な、なんでもありませんので、お気になさらず……」


 頬を朱色に染め、どこか熱に浮かれた様子の竜宮がそう答えた。


「それなら良いんだが」


「ええ。ただ、今回のテストは私が一番を取ってみせますので、お二人とも覚悟をしておいた方が、ダメージは少ないでしょうね」


 竜宮の宣戦布告を聞いて、俺は思う。


 ……そんなことよりこいつ、よくこれで今まで池に好意気づかれなかったな、と。

 テストにそこまで関心がない俺は、そんな風に感心するのだった――。



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