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【記者コラム】

プレーも言語も「二刀流」 ソフトボール ケイラニ・リケッツ

2018年11月26日 18時0分

チームメートにも愛されているケイラニ・リケッツ

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 「ロクサイカラ(6歳から)」。確かにそう聞こえた。日本語だ。ソフトボール日本リーグ女子の豊田自動織機で、投手と打者の二刀流で活躍するケイラニ・リケッツ(27)を取材した時だった。英語は(ほかの言語もだが)からっきしの記者は通訳をお願いしていたが、「いつからソフトボールをしているんですか」という質問に、リケッツは即答した。

 2013年途中に加入し、日本リーグではもう5年半プレーしている。主将の横野涼(28)によると、「ラニ(リケッツの愛称)、面白い子でしょう。ウチのマスコットキャラクターなんです」とのこと。日本語も連発するので、チームメートにも愛されている。この日も取材を忘れて帰宅してしまったが、戻ってきてくれた。「ごめんなさい」と言うと、「いいのよ。暇だから」と、おおらかに笑い、いろんなことを話してくれた。

 今季は12年以来、米国代表にも復帰、ことし8月に千葉で行われた世界選手権に出場した。20年東京五輪でソフトボールが追加種目に決定した時は「言葉で表せないくらいうれしくて興奮した」。08年北京五輪の時は高校生。オリンピアンの米国代表投手らを羨望(せんぼう)のまなざしで見ていた。自身が二刀流でオリンピアンになる目標ができたことはもちろん、「小さい子に夢を与えられるようになって良かった」と喜んでいる。

 日本での世界選手権にも二刀流で登場。その後の日本リーグでは、「テレビで見たよ」とたくさんの人から声をかけられた。「競技者もファンも多い、そんな日本での五輪にソフトボールが戻ってきて、今後も広がっていくといいな」と願う。

 日本では確かに人気があるが、まだまだソフトボールは日本代表のエース、上野由岐子(36)しか知らない人は多いと思う。競技取材に7年も関わってきた記者は、東京の後も五輪でのソフトボールが続いてほしいと訴えるリケッツをはじめ、多くの選手たちの思いを聞いてきた。五輪本番で誰を応援していいのか分からないくらい、すてきな選手がいっぱいだ。(伊東朋子)

 

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