■岐路に立たされた文大統領
文大統領としては経済の行き詰まりを打開するには規制改革と労働改革を避けて通れないことから、最終的に民主労総抜きで委員会を発足させたものとみられる。ただし取りあえずは「前進」を叫んだものの、弾力勤務制の拡大といった微妙な問題では民主労総の反対を押し切り政府の方針を貫徹できるか今のところ不透明だ。雇用労働部(省に相当)も弾力勤務制の拡大について政府としての案を提示していないが、これも労働団体などの反発を意識しているからだ。雇用労働部は委員会での妥協を期待している。
しかし民主労総が委員会に参加する可能性はやはり低い。文大統領は銀産分離の緩和など規制緩和のための法案を成立させたが、カープール(タクシーの相乗りサービス)や遠隔医療などそれ以外の規制緩和については今なお成果が出ていない。上記の与党関係者は「支持者の反対を押し切り国益を優先させた盧元大統領と同じ道を文大統領が行くのか、あるいはキャンドル支持層に配慮し民主労総の要求を受け入れるか、もう少し見極める必要がある」と語る。ただし今回は盧武鉉政権当時とは事情が異なるとの見方もある。まず与党執行部が大統領と非常に近く、政府の政策にも理解を示しているからだ。