孤独な支配者   作:栗の原
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覚悟と支配者の目覚め

「なるほど…異世界に転移した。そういうことですか。」

 

ウルベルトの自室には先程合流した、ぶくぶく茶釜と満身創痍なペロロンチーノがいた。

ペロロンチーノは何故か正座させられていたが、ウルベルトもたっち・みーもそのことについては触れなかった。

 

今までの経験上、この姉弟のやりとりの大半は触れぬほうがよいと理解していた。主にとばっちりを恐れて。

 

「そうなんです。ユグドラシルでは禁止されていたことが出来るようになってますし、同士討ち(フレンドリーファイア)も終始解禁みたいです。」

 

ぶくぶく茶釜はそう言いつつ、ベッドに横たわるモモンガへと近づく。

スライムの顔に表情は見えないが、心配そうにモモンガを見ていた。それにペロロンチーノも続く。

二人はモモンガの顔を見て、少しは安心したようだ。

 

「ということは、NPCが我々に攻撃することも出来るようですね。」

ウルベルトは鼻を鳴らし、笑う。

たっち・みーにはその言葉がどこか冷たいものに思えた。

ウルベルトの口調が少しずつではあるが、熱を持たない冷ややかなものに変わっていくように思える。

 

いや…ウルベルトだけではない。

たっち・みー自身にも取り付く違和感がある。

人間として、不快で忌避したくなるような何かが。

 

体がゲームの中の異形種と化した。

なら、心は?

 

嫌な想像を頭を振ることで隅に押しやり、たっち・みーが口を開く。

「とりあえず、状況を整理しましょう。ウルベルトさん対情報系魔法をありったけ かけて下さい。」

ウルベルトは大袈裟に腕を振るい、数種の魔法を展開させる。

魔法の発動条件にそこまでの仕草は無いということは調べていて分かったことなのだが、ウルベルトは一々、過剰なアクションを入れる。

 

それが必要ないということを分かった上で、だ。

たっち・みーには理解出来ないことだったのだが、ペロロンチーノは「俺も絶対そうする」とか言っている。

彼らだけに通ずるなにかがあるのか。

 

ウルベルトが行使出来る魔法を発動し終えると、補うように無限の背負い袋(インフィニティ・ハヴァサック)から取り出した巻物(スクロール)で幾重に防壁を張る。

 

攻撃特化型のウルベルトはモモンガと比べると使用できる魔法総数が少ない。

それでも十分だとは思うが、100LvのNPCを敵だと仮定すると、補助が出来る人物も必要だ。―状況を冷静に判断し、その場にあった魔法を選択出来る人物。

特殊役のモモンガの重要性が身に沁みる。

 

「では、整理していきましょう。」

たっち・みーは一度全員の顔を見回す。

「まず、一つ。ここは異世界の可能性があるということ。これはぶくぶく茶釜さんとペロロンチーノさんが調べてくれたことです。この情報に地表に出ているセバス達の情報が集まれば、確証が得られると思います。」

 

「セバスが嘘をついた場合は?」

ぶくぶく茶釜が触手を上げて口を開いた。

「どちらにせよ、確認は必要でしょうね。」

ウルベルトが答える。

 

「そうです。…今はセバスからの連絡待ちということでこの件は一旦、終えます。」

ぶくぶく茶釜は頷き、了承を示す。

 

「では…もう一つの点。動き始めたNPC達のことです。異世界に来たと仮定して、彼らも命を持つようになったということに異論はありませんか?」

「まあ、とりあえずは。」

ウルベルトの言葉にペロロンチーノも頷く。

ぶくぶく茶釜は言葉を発しなかったが、否定する気は無いようだ。

 

 

「NPC達は俺らのことをどう思っているのかな…。」

ペロロンチーノが小さく漏らす。

「アルベドには注意したほうが良いと思いますね。」

続いたのはウルベルトだ。

ぶくぶく茶釜は肯定を示す。

「確かに…。あの目は異常だったよ。精神的にイッてる女の目をしてたね。」

「セバスは?」

ペロロンチーノはそう言いつつ、たっち・みーを見る。

ペロロンチーノの目には答えを求めるような視線だった。

それはたっち・みーがセバスの制作者という事実からくるものなのだろうが、正直言うと勘弁して欲しいと思う。

 

彼らはゲームの中だけの存在だ。

確かに設定で「こうあれば良い」と色々詰め込んだが、それが反映されているとは限らない。

 

 

どう答えるべきか迷っている たっち・みーに代わりウルベルトが話す。

「それより気になるのがセバスの言った『御戻りになられた』という言葉ですね。」

「えっ?俺たちがインしてないの知ってるってこと?」

「その可能性もありますね。まあ、昔の映画のように最初から生きていて、俺達に気付かれないように行動していたのかもしれませんしね。」

 

「まあ、それは置いといて、つまり彼らには記憶があるっていうことだよね。」

続いたぶくぶく茶釜にウルベルトは頷いてみせる。

「どこまで記憶があるのかは分かりませんが、それに気付けたことは大きいでしょう。」

 

「では、最後に。モモンガさんについてのことです。」

たっち・みーがそう言うと、全員の視線がモモンガへと注がれた。

 

「『流れ星の指輪』を使ったって言ってたけど、願いを選択するだけでこうはならないでしょ?」

「分かりませんよ、ゲームが現実になっているのなら、アイテムの効果が変わっていたとしても不思議ではないと思いますがね。」

「コンソール自体出ないから、選択肢なんて出ないはずだよな…。だったら、どうして…」

 

それぞれ考えや想いを口にするも、それが纏まることはない。

可能性と想像の羅列。

真実を知っているのは、その場にいた者だけだ。

 

そこに思い至ったであろう ペロロンチーノが次の言葉を発する前に、たっち・みーが割り込むように話を始める。

その態度にウルベルトが怪訝そうに顔を歪めるのが見えた。

「幸いなのが、モモンガさんの体自体には影響は無いということでしょうか。そうでしたね、ウルベルトさん。」

たっち・みーがウルベルトを見る。

 

「ええ、魔法で確認したので間違いは無いと思いますが…。」

 

「モモンガさんが目覚めるのを待つしかないか…。」

ペロロンチーノはそう言って嘆く。

 

とりあえずは、現時点で出来る話は終わった。

緊張から固まった体を各自、解きほぐしていく。

 

玉座の間から転移してから、どれぐらいの時が経っただろうか。

精神的な疲れからいえば、数時間分の疲労度だったが実際はそれほど経ってはいないだろう。

 

ウルベルトが部屋の中から探し出したアンティーク調の懐中時計で調べてみたところ、あれから三十分ほどしか経っていなかった。

 

「さて、あと少しで、階層守護者達と顔を会わせる訳ですから…各自装備を整えましょうか。」

「…モモンガさんは?」

ぶくぶく茶釜がたっち・みーへと顔を向ける。

 

「戦闘が始まる危険性を考慮して、モモンガさんはここに置いて行きます。もし、戦闘が始まれば、茶釜さんと私が残ってNPC達を足止めし、ペロロンチーノさんとウルベルトさんがモモンガさんを救出して下さい。」

 

たっち・みーはモモンガと共に運んできた、ギルド武器スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを見る。

 

このギルドの象徴。

仲間と笑い、戦い、作りあげたギルド名を冠する武器 アインズ・ウール・ゴウン。

どれだけの時間と金銭をこの武器を作る為に注いできたか。

その為、家庭に不和が生じたメンバーもいたほどだ。

 

個性豊かで、そして主張溢れるメンバー全員の思いが詰まった武器。

 

たっち・みーは迷い、そして苦渋の決断を下す。

 

「もし、我々が負けそうになったら、直ぐにアインズ・ウール・ゴウンを破壊して下さい。異世界でギルド武器を破壊するとどうなるか…想像は出来ませんが、NPC達にも少なからず影響はあると思います。そうでなくとも、一瞬の隙をつければ…。」

「分かりました。」

ペロロンチーノとウルベルトはそれぞれの目に決意の光を灯し、同時に返事を返した。

 

ぶくぶく茶釜は満足そうに頷くと、ペロロンチーノの頭を叩く。

「ほら行くぞ、弟。」

「えっ、どこに?」

「私の部屋だよ!使えそうなアイテムかき集めるから手伝え。その後、お前の番だ。」

「わかったから離して!」

首を掴まれ、ズルズルを引きずられるペロロンチーノが助けを求めるように視線を向けるが、たっち・みーもウルベルトも顔を逸らし、知らぬ顔する。

ぶくぶく茶釜が触手をドアノブにかけたところで、たっち・みーが声をかけた。

 

「茶釜さん、こちらも準備が終われば伝言(メッセージ)を入れます。皆で六階層に向かいましょう。」

「了解です。この部屋の防備、お任せします。」

そうして、ぶくぶく茶釜とペロロンチーノはドアの向こうへと姿を消した。

 

 

 

部屋から二人が去り、静寂が訪れる。

たっち・みーもウルベルトも 互いに何も言わず、何の行動も移さない。ただ、姿勢を保つのみだ。

 

時間的には短く、それでいて体感的にはかなりの時間が経った頃―ようやくウルベルトが口を開いた。

「何故、ペロロンチーノさんの話を遮ったんです?」

 

たっち・みーは問いに答えない。

ただ、モモンガを見つめているだけだ。

 

構わずウルベルトは続ける。

「セバスを問い詰めれなかったのは、勝手に命令をした俺の責任ですがね…。何故、遮ったのか理解が出来ないんですよ。」

 

ウルベルトは細くなった瞳孔でたっち・みーの拳が震えているのを捉えた。

それは感情からでは無く、たっち・みーが力の限り拳を握り絞めたことで、行き場を求めた力が体に伝わっているようだった。

 

数秒の時間が経った後、たっち・みーが拳を解いた。

「願いが必ず叶う魔法があったなら…ウルベルトさんなら何を願いますか?」

「最後の時に…ですね。」

「ええ。」

 

二人の視線が中空でぶつかる。

 

「命の最後なら…月並みに延命でしょうか。それに興味が無ければ、自分以外の誰かの為に使いますね。」

 

ウルベルトの言葉にたっち・みーも共感を得た。

たっち・みーなら、家族を残すことなんて出来ない。直ぐにでも延命を願うだろう。

それが叶わぬなら、残す家族の為に使う。せめて幸せであるように。

 

「モモンガさんの場合、どうでしょうね。」

「モモンガさんは…ご家族を小さい頃に亡くしたと言っていました。自分は一人なのだと。」

「リアルに興味がないようでしたね。」

 

 

リアルに幻滅している人間は少なくない。いや、大多数の人間がそうだろう。

勝者と敗者が完璧に区分された世界に絶望するのは珍しいことではなかった。

 

ただ、それでも―

 

モモンガの口から、時折出る言葉があった。

 

『俺にはユグドラシルしか…このギルドしかありませんから。』と。

 

モモンガはそう言って笑う。

 

笑って、そう言ったのだ。

 

ただの冗談だと思った。

 

ただの冗談だと思っていた。今、この瞬間までは。

 

 

「…俺がモモンガさんなら、ゲームの存続を願うね。」

「それが、この世界なのでしょうか?」

たっち・みーの言葉にウルベルトは「そこまでは分からない」と肩を窄めつつ続けた。

 

「星は二つ消えていました。モモンガさんは二つ願ったということです。考えられるのはゲームの中のモモンガとしての延命。それと―」

「残す家族か…。これが誰に当たるのか、ギルドメンバーかそれともNPC達か。」

「その両方の可能性だってありますよ?」

「…確かに。」

 

たっち・みーは小さく笑う。

掠れたような声は尻窄みに消えていった。

 

 

ペロロンチーノの言葉を遮ったのは、モモンガが何を願ったのか、今、憶測するのは危険だと思ったからだ。

ここが本当に異世界だとして、飛ばされた理由が分からない。

 

分からないままなら、それでいい。

 

恐ろしいのは、その原因がモモンガだと決めつけてしまうことだ。

モモンガの願いが、不条理な鎖のようにこの状況を強いていると結論付けたなら。

 

モモンガに嫌悪を抱く者が現れるはずだ。

今はまだ良い。

混乱と緊張で、思考回路が定まっていない今は。

 

だが、NPC達との融和が取れ、真実という固く絡み合った紐を解く日が来たとしたら。

その時は、友情の破綻ではすまない。

同士討ち(フレンドリーファイア)が解禁されている世界で、死という物が存在する世界(リアル)で、友人との殺し合いが始まるだろう。

 

それだけは避けなければならない。

 

「ウルベルトさん。記憶操作は可能ですか?」

疲労からくる言葉足らずな発言だったが、ウルベルトは理解しているようだ。

「残念ながら俺は習得していません。…ですが、思考や記憶に混乱を与える、その手の嫌がらせアイテムは、るし☆ふぁーさんが集めていた記憶がありますよ。」

「確かに、あの人なら可能性はあるか。直ぐにでも行ってみましょう。」

 

ウルベルトは巻物(スクロール)を消費し、ありったけの魔法をかける。

ユグドラシル時代なら、金が飛んで行くようで躊躇するような量を、モモンガを守る為だけに使った。

 

そして、作業を終えたウルベルトはため息を吐いて、たっち・みーを真っ直ぐに見つめた。

 

「たっちさん、一つだけ言わせてもらいます。」

ウルベルトは威圧的にたっち・みーへと言葉を紡ぐ。

声には少しの怒りが混じっているのが分かった。

 

「何でも一人で解決しようとしないで下さい。先ほどのモモンガさんの件も皆に配慮してのことだとは分かりますが、それを一人で担ぐ必要は無い。それに真相はいつか明るみに出るものです、いくら隠そうとしてもね。」

ウルベルトは吐いた分以上の空気を吸い込んだ。

 

「大事なのは、時。モモンガさんが何を願ったとしても、適切な時に公表したなら問題は限りなく小さくなるはずです。我々はアインズ・ウール・ゴウン。仲間なんです、頼って下さい。」

 

ウルベルトの言葉がたっち・みーに深く突き刺さる。

そして自分を恥じた。

 

なんでも一人で出来るとは思っていない。仲間を信じていない訳ではない。

ただ、仲間がいるから、どうにかしなければ と責任感 故に自分を追い込んでいた。

自分勝手に盲目となってしまっていたのだ。

 

ウルベルトの言葉に、たっち・みーは重くのし掛かっていた疲労感が薄れていくのを感じていた。

 

正直に言うと―

いつも、事あるごとに嫌みを言ってくるウルベルトはあまり好きではなかった。

話も好みも真逆で、衝突することも度々あった。

その度に、モモンガに迷惑をかけていたのを思いだし、つい笑みを溢す。

 

ウルベルトはここまで頼りになる男だったのか。

少しばかりは見直してやっても良いのかもしれない。

 

たっち・みーが感謝を言葉として発しようとしたその瞬間、ウルベルトが口を開いた。

 

「まあ、進歩の見えない たっちさんには言ってもしょうがないですがね。」

その言葉にたっち・みーは喉まで顔を出した言葉を嚥下する。

ウルベルトはそのまま捲し立てる。

「少しは大人になっているかと思いましたが、年をとってないようですね、羨ましい。」

 

その言葉に たっち・みーの何かが切れた。

「誰かさんのおかげでは?子供のようにつっかかってくる人に影響されたのかもしれませんね。」

「……PVPなら受けてやるぞ!」

「……魔法職が戦士職に勝てるとでも?」

 

 

顔を突き付け、火花を散らしていた二人だったが、懐かしくて楽しい―腹の底から溢れ出る笑いは抑えようがなかった。

 

たっち・みーは口元を押さえ、ウルベルトは顔をそむけて笑い始める。

塞き止められてものを一斉に流したかのような、恐れや心配を含んだ濁流を二人は一気に解放した。

 

息を切らしながら、たっち・みーは言う。

「ここは異世界ですよ。ウルベルトさんには緊張が足りないのでは?」

「ガチガチになってたヤツに言われたくはないね。」

ウルベルトは目尻に溜まった涙を拭い、モモンガを見る。

 

「さて、そろそろ行きましょうか。ここで言い合いしていたら、モモンガさんに迷惑をかけそうですし。」

「確かに。社畜ギルド長にはお休みも必要でしょう。」

 

ウルベルトが足早に部屋を出てから、たっち・みーは小さく溢した。

「感謝します、ウルベルトさん。」

 

 

 

 

 

 

 

思考の海に、液体が一滴―垂らされた。

それは、ほんの少しの―大きさにして爪の先程の粒。

 

水面に波を立て混じる液体は、汚染するように澄み切った水面をジワジワと染め上げていく。

徐々に速度を上げながら、四方に広がる。

その全てを染め上げるまで止まることなく。

 

そして―モモンガは漆黒へと染まる。

 

 

 

 

黒い眼孔に赤い灯火が灯り、ナザリックの支配者がその身を起こす。

見慣れない部屋を一瞥し、アインズは呟く。

 

「どこだ…ここは。」

部屋の仕様を見る限り、ナザリックにいることは間違いないだろう。

豪華絢爛といった部屋の造りから考えると、九階層のスウィートルームか。見た目は七階層にある デミウルゴスの自室に近いように思える。

 

そして、自分の状態に気付く。

「アンデットの私が眠っていただと?」

アインズは片手で顔を押さえる。

指の隙間から眼孔の灯火が揺れた。

 

精神攻撃を受けたのか?

 

あり得ない。

アインズは否定するように頭蓋を振る。

 

ここはナザリック地下大墳墓の九階層。

一階層から八階層までの警備を掻い潜り、アインズへと攻撃を与えたのか。

 

アインズはアンデットだ。

疲労もなく、睡眠も不要だ。アンデットの特性故に精神攻撃は無効化される。

そのはずだった。

 

 

アインズの頭に最悪のケースが過る。

「ワールドアイテム…。」

それが一番 可能性が高い。

 

ワールドアイテムを所持しているアインズにまで効果が届いたのだ、敵はワールドアイテム、もしくは二十を装備している可能性がある。

それか―考えたくはないことだが、アインズが知らない―ワールドアイテムや二十すら上回る未知のアイテムの可能性だってあるのだ。

 

 

もしかしたら、アインズだけではなく、ナザリックのシモベ全てに影響があるのかもしれない。

 

「糞がああああぁぁ!!!!」

アインズは怒号を吐く。

 

何故、アインズはここにいる。

何故、何の連絡もないのだ。

 

視線を動かすと、()()()()の名を冠する武器―スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンが目に入る。

 

骨の手を伸ばし、掴む。

(スタッフ)から、苦悶の表情を浮かべる人間の顔が幾重にも吹き出す。アインズは罠がかけられていないことに一瞬 安堵するも、直ぐに気を引き締めた。

 

スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンからアインズへと魔力が流れ込んでくる。

アインズはステータスが上昇するのを全身で感じとる。

 

 

許せない。

薄汚い侵入者が、ナザリックの地に足を踏み入れたという事実が、アインズの神経を掻きむしる。

 

もし、シモベ達が傷ついていたら?

もし、殺されていたとしたら―

 

アインズの腹の底から、未だ見ぬ侵入者へと激烈な怒りが生じた。

沸点を容易く越えた憤りは鎮静化されるも、その熱が治まることはない。

むしろ高まるばかりだ。

 

「〈伝言(メッセージ)〉アルベド!」

アインズはナザリック地下大墳墓において第二位の地位に立つ、守護者統括へと伝言(メッセージ)を飛ばした。

 

 

 

 

 








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