賜杯までのあと2勝が遠かった。高安は勝てば優勝決定戦の御嶽海との結びの一番、1分近い組み合いから狙った右上手が不発。すくい投げを食らい、無念の形相で横転し、10秒近く起き上がれなかった。
3横綱が休場した1年納めの場所を大関として盛り上げたが、結末は残酷だった。力尽きて引き揚げた支度部屋では、貴景勝の優勝インタビューがテレビ越しに響く。口を真一文字に結び、敗北を受け入れた。
優勝に準ずる成績だが、来場所の綱とりについて横綱審議委員会の北村正任委員長は「来場所の成績次第でしょうね」と慎重姿勢を示した。
激闘を終えた大関は、福岡市内での千秋楽祝賀会で「悔しい気持ちをバネに近い将来、優勝の報告ができるように頑張りたい」と宣言した。2019年こそ、初優勝と横綱昇進。高安の年にしてみせる。 (志村拓)