さのこうじに紛れて書くのが遅くなってしまいましたが、1週間ほど前に対中国ОDAが終了したというニュースがありました。40年間で3兆6千億円の支援であり、ピーク時には2000億円ほどあったといいますが、72年の日中国交回復時に中国が放棄してくれた戦時賠償に比べれば桁違いに小さい金額である上に、この額には円借款も含まれており、中国は一度の遅滞も無く元利を揃えて返済しています。

 中国の経済成長により、日本企業にとっては中国は北米に次ぐ大きな市場が出現したばかりでなく、日本の消費者にとっては繊維、食品、雑貨などの一大供給地となっていて、庶民は中国製品なしでは一日も暮らせない状態になっています。

 戦時賠償の代わりという点を除いても、対中国ОDAは対外支援としては最も成功したものであるといえます。出しっぱなしの支援ではなくて、十分に元がとれただけでなく、巨額の利益が戻ってくるものでした。その利益の中身は、借款が返済されているとか日本製品が買ってもらえるというだけではなく、日本の消費者が安い中国製品を購入出来ている利益も含まれます。

 民主党政権のときに、自民党がやっていた対中国ОDAを踏襲して予算を付けただけなのに、民主党政権は中国にОDAを支出している、日本を中国に売り渡す計画だ、対中国ОDAを出す民主党政権には日本人は1人もいない、議員全員が在日と同和だ、同和は日本人ではない、といった内容のネトウヨの非難をたくさん目にしました。

 今でも中国が攻めて来るという声がネットの中では高く、沖縄知事選挙でも中国の侵略が語られ、戦争法のときでも中国が攻めて来るから必要だと言われましたが、攻めて来る積りであれば律儀にОDAの円借款を返済する必要はなく、返済を滞らせておいて戦争で踏み倒せば良いはずです、きちんと円借款を返済しているのは戦争の意志がなく、長期的に仲良くやってゆく気持ちの表れなのですが、今の日本人にはそんな簡単なことすら理解出来なくなっていて、チベットが、ウイグルが、尖閣がと喚き立て、戦争だ、国交断絶だと叫ぶばかりになってしまっています。

 
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