【スポーツ】[柔道]「オレの階級」大野75キロ級 先輩に意地の優勢勝ち2018年11月25日 紙面から
◇グランドスラム大阪柔道のグランドスラム大阪第2日は24日、大阪市の丸善インテックアリーナ大阪で男女計5階級があった。男子73キロ級ではリオデジャネイロ五輪金の大野将平(26)=旭化成=が優勝。休養によるブランクからの完全復調をアピールし、東京五輪へ前進した。女子70キロ級は9月の世界選手権で2連覇した新井千鶴(25)=三井住友海上=が制し、2019年世界選手権(東京)代表に内定。男子81キロ級は佐々木健志(22)=筑波大、女子63キロ級は土井雅子(23)=JR東日本=が優勝した。 他を寄せ付けないようなオーラが戻ってきた。大野の決勝の相手は、66キロ級で五輪2大会連続銅を獲得している海老沼匡。4月の選抜体重別で一本負けしている強敵に対し、大野は「これ以上ない打ち合い。互いに超攻撃な柔道を貫いた」と真っ向勝負。最後は残り15秒で内股にきた海老沼を大野がいなし、返し技の隅落としで技ありを奪って熱戦に決着をつけた。 見守った男子代表の井上康生監督(40)は「互いに手の内を知り尽くしているところで、ワンチャンスを生かしてそつなくポイントにつなげた。新たな技術力が備わっている」。内股や大外刈りで豪快に相手を倒してきた大野が、細かな技の引き出しを広げていることに感心した。 準決勝では、11月の講道館杯を制した難敵の立川新に残り1秒での内股で一本勝ち。終盤の勝負どころを逃さない嗅覚も光った。「日本人は外国人以上に自分を警戒してくる。その相手を2試合ともラストで投げきった。勝負強さにつながってくる」と大野は語った。 リオ五輪後の休養を経て、本格的に実戦復帰してからおよそ1年。8月のアジア大会で金メダル、今大会での優勝と快調に結果を積み上げてきた。世界選手権で2017年金、18年銀と2大会連続で決勝に進んでいる橋本壮市が右目の不調などで今大会を欠場したが、先行していた同学年のライバルの背中は、もう見えるところにある。 「73キロ級は大野将平の階級だと、この大会で見せつけるんだと、自分にプレッシャーをかけていた。プレッシャーをかけないと力を発揮できないので」。注目を力に変える。世界の頂点を極めた大野ならではの言い方で優勝を喜んだ。 目標を問われても、東京五輪とは口にしなかった。「他の選手とは違った境地で戦っている。畳の上でどういう柔道ができるかを突き詰めたい」。言葉の端々にみなぎる自信が、完全復活の何よりの証しだ。 (木村尚公)
PR情報
|