【大相撲】大関の意地、高安、2敗で貴景勝と並ぶ V決定は千秋楽に2018年11月25日 紙面から
◇九州場所<14日目>(24日・福岡国際センター) 大関高安(28)=田子ノ浦=が小結貴景勝(22)=千賀ノ浦=に逆転勝ちし、両者が12勝2敗のトップで並んだ。隠岐の海が4敗に後退し、優勝の行方は高安と貴景勝の2人に絞られた。千秋楽で高安は関脇御嶽海、貴景勝は錦木と当たる。栃ノ心が御嶽海を下して給金を直し、御嶽海は負け越した。 負ければ賜杯を逃す極限の一番の土俵際、高安が奇跡的な反応で生き残った。かち上げて立ち合いで貴景勝をはじいたが、低く踏み込まれて後ずさった。右足が俵に掛かって横向きになると、クルリと1回転。その勢いで、右腕を振って引き落とし。背中越しの離れ業で優勝争いを振り出しに戻した。 「相手の当たりも良かったんで、押し込まれてしまいました。紙一重。相手の足が流れたかは分からないけど、体が良く反応してくれました」。V戦線の先頭を突っ走ってきた幕内最年少22歳の勢いに飲み込まれかけたが、大関の意地が上回った。 千秋楽に持ち越しとなり、両者に絞られた優勝争い。八角理事長(元横綱北勝海)は「3横綱が休場したけど、よく2人が頑張っている」とMVP認定。その上で「当然、2人が勝って決定戦をやってほしいわな」ともう一丁への期待を隠さなかった。 崖っぷちから並んで有利になった一方、終盤戦に入って以降、朝稽古ではシャッターを下ろして姿を見せていない。集中かプレッシャーか。残り1日で答えが出る。 「親指を上げないように、浮足立たないようにしっかり準備したい。頑張ります」 独特の表現で、落ち着きを強調した高安。平成生まれ初の関取として、新十両の土俵に上がったのが2010年の九州場所。8年の時を経て、土壇場で自力Vの芽を復活させた。くしくも平成最後の九州場所。思い出深い場所で念願の賜杯を抱き、最高のシナリオを完成させる。 (志村拓)
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