原作の超重要キャラ不在の『今日から俺は!!』第2話 ムロツヨシが重用されすぎ!?
2018年10月28日 16時00分 日刊サイゾー
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10月21日に放送された『今日から俺は!!』(日本テレビ系)第2話の視聴率は、初回より1.5%下がって8.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。初回レビュー記事で原作ファンから見たドラマ版への違和感を挙げたが、それらを気にする層が脱落した結果かもしれない。とはいっても、日曜夜10時半からという枠を考えると、なかなかの数字を獲得中だ。
■超重要キャラよりも、ムロツヨシの重用を選んだ福田監督このドラマは、福田雄一監督による作品。『今日から俺は!!』実写化に臨む際の心境を、「漫画家本vol.8 西森博之本」(小学館)にて福田監督は以下のように語っている。
「当時『ヤンキーものがやりたい』とそこかしこで言っていた僕の目の前に現れた原作『今日から俺は!!』。大変失礼ながら一度も読んだことがなかったもので『ふふ。この原作ならファンの厳しい目線にさらされることなく気軽にやれるぞ!』と思いました」
福田監督は、ヤンキーもののドラマを自由に作ってみたかった。『今日から俺は!!』への思い入れが契機ではなく、ヤンキー設定のドラマの新たな面白さを追求するつもり。そうとわかれば、原作ファンはいち早く原作のことを忘れたほうがいい。じゃないと、みんなが不幸になる――と思っていたのだが……。
第2話で描かれたのは、赤坂理子(清野菜名)の父・哲夫(佐藤二朗)が営む武道道場で起こったトラブルだ。「同じ地区に2つの道場があるのは多すぎる」という理由で、近隣の道場が赤坂道場に5対5の対抗戦を挑んできた。負けた道場は看板を下ろさなければならない。しかし、赤坂道場へ習いにきているのは、ほとんどが子どもたち。そこで、三橋貴志(賀来賢人)らが対抗戦に駆り出されるというストーリーである。
赤坂道場の代表選手に選ばれたのは、三橋、伊藤真司(伊藤健太郎)、今井勝俊(太賀)、谷川安夫(矢本悠馬)、そして椋木先生(ムロツヨシ)の5人。……あれ、良くんがいない!? これには、さすがにショックを受けた。
原作版では、赤坂道場の門弟である“良くん”こと田中良も対抗戦に出場していた。腕っぷしは強くないが、正義感にあふれる超重要キャラ。軟高で三橋のことを呼び捨てにできる数少ない存在だ。彼の愚直さをいつもはおちょくっているが、ひそかにそんな性分を認める三橋。ただ卑怯なのではなく、三橋の根っこの優しさを示す上でも欠かせない人物である。特に道場の話ならば、良くんの登場はマストだが……。よりによって、代わりに出たのがドラマ版のオリジナルキャラ「椋木先生」だなんて! 良くんを削ってまでして押し出すのが、あの教師なのか(泣)。
原作厨という立場を抜きにしても、ちょいちょい挟み込まれる職員室でのくだりがうるさい。内輪ノリがすぎるし、単純に長い。教師陣の出番はあんなにいらない。あそこでドラマ全体のテンポが悪くなっている。正直、笑いどころもわからない。ムロツヨシと佐藤二朗の出番はアクセント程度でいいのに……。
『今日から俺は!!』作者・西森博之のギャグセンスは、神がかり的な域にあった。福田組がオリジナリティを出すのは必然だが、原作のクオリティがとてつもなく高いハードルとしてドラマ版の前にそびえ立っている。
■橋本環奈の顔芸に心配になる厳しいことを書いてしまったが、実は初回よりも第2話のほうが面白かった。原作でのさまざまなエピソードを1週分の尺に入れ込む構成の妙にグッときた。三橋と理子の肩がぶつかるシーンが対抗戦につながるとは予想外。それぞれのパートを巧みにブレンドしていたのだ。
理子といえば、清野のセリフ回しがずっと気になっている。抑揚がないというか、酷な言い方をすると棒読みっぽい。彼女、もっと演技力あったはずだが……。
ここで確認したい。ドラマ版が描こうとしているのは、80年代のツッパリである。もしかして清野、80年代の大映テレビ的な芝居を自らに課している? だとしたら、腑に落ちる。
そんな理子にベタ惚れする三橋。「大映テレビ」「学園モノ」「恋愛」と、すべての要素をひっくるめて甘酸っぱい。理子は理子で、三橋のことをついに「さんちゃん」と呼び始めたし。意識し合ってるくせに、ちっとも進展しない三橋&理子。2人の仲がドラマ版ではどうなるのか、注目していきたいと思う。
伊藤と早川京子(橋本環奈)の仲にも要注目。2人のやりとりは、完全にバカップルのそれだ。イチャつき方が原作よりも数段強烈。しかも、イチャついてる時の橋本の顔芸は、見ているこちらが心配になるほど。賀来と橋本は、今作における顔芸のツートップだ。
そして、次回。予告映像によると、どうやら開久高校との抗争に突入する模様。この作品は、シリアスパートをじっくり見てほしい。三橋と伊藤、そして今井は、本当はすごくカッコいいのだ。『今日から俺は!!』が名作として語り継がれる理由はそこにある。この要素、福田監督はちゃんと描写してくれるのだろうか……?
期待半分不安半分の心境で、今夜放送の第3話を待ちわびたいと思う。
(文=寺西ジャジューカ)