台湾の次期総統選の前哨戦となる4年に1度の統一地方選が24日、投開票された。蔡英文(ツァイインウェン)総統への信任投票と位置づけられた選挙で、与党民進党は台中市など複数の県市で現職首長が敗北。ポストを半減させる大敗となる見通しだ。党主席である蔡氏の責任が問われるのは必至の情勢で、2020年次期総統選での再選に黄信号がともった。
台湾全土で22県市の首長や議員などの選挙が行われた。日本時間午後9時半現在、民進党が当選を確実にしたのは5県市にとどまっている。前回押さえた13県市のうち、台中市や彰化県、宜蘭県などで敗北した。一方、前回6県市だった国民党は、すでに倍増の14県市で当選を確実にしている。
民進党の地盤である南部の高雄市長選では、国民党候補の韓国瑜氏(61)が善戦している。高雄は過去20年、民進党市政が続いてきた「牙城(がじょう)」だけに、失えば衝撃は大きい。
蔡政権の下で中台関係が悪化するなか、韓氏は「中国から観光客を呼び込む」などと主張。地域経済や台湾の将来に閉塞(へいそく)感を抱く有権者の不満をすくい取り、無党派層からも支持を集めた。国民党は韓氏の人気を前面に打ち出し、韓氏が他の選挙区に入って同党の候補を支援した。
前回2014年の選挙は、国民党政権の対中融和策などへの反発から、民進党が躍進。民進党はその勢いで16年の総統選も制したが、蔡政権の最近の支持率は2割台で推移。公務員らの年金を削減する改革などに不満が高まる一方、中台関係などで指導力に批判が出ていた。今回の苦戦は民意が内外の課題を解決できない政権への失望を深めている表れと言えそうだ。
「蔡氏では次期総統選は戦えない」との批判が党内で高まれば、候補指名も危うくなる。蔡氏が求心力を失えば、「現状維持」を掲げ激しい対立を避ける政権の対中政策にも一定の影響が出てくる可能性がある。(台北=西本秀)
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