シーズン2→3カード更新
2018.10.17 Wednesday
こんにちは、BakaFireです。ついにシーズン2も終わり、次なるシーズンに向けたカード更新の時期がやってまいりました。『第弐拡張:神語転晴』の封入物としてカード更新パックが配布され(全国の協賛ショップで無料配布も行っております)、そちらをお通してまたカードの更新が行われるのです。こちらの記事では、それらの意図をすべて説明いたします。
シーズン2バランスへの全体評価
シーズン2のバランスはシーズン1と比較すると格段に改善しました。シーズン1のカードプールには多くの問題があり、暴力的なダメージによりビートダウンが強力過ぎたうえで、危険性のあるカードから生まれたコンボデッキが潜在的なリスクを生じさせていました。
しかしシーズン1→2のカード更新は多くの課題を解決し、現在はビートダウン、コントロール、コンボいずれのデッキも活躍できる環境にあります。この現状をもって私は今の環境は『第二幕』最終段階と並ぶ魅力的な状況だと評価しています。
では完璧な環境かというと、そうではありません。『第二幕』最終段階が魅力的である一方、いくつかの課題を残していたのと同様に、現状の環境もまたいくつかの課題を残しています。その中で特に大きく、今回必ず解決すべきと考えたものは以下のふたつです。
第一に、シーズン1→2のカード更新において、オボロへの更新が不十分でした。結果としてオボロは強力過ぎたと言えます。議論の末、禁止カードは必要ないという結論になりましたが、オボロが環境に大きなゆがみを与えていたのは間違いありません。
第二にそもそも今の環境は、禁止カードという甘えにより辛うじて魅力的になっているに過ぎません。禁止カードを取り除けるようにカードを更新することは私どもの義務と言えるでしょう。
今シーズンにおける更新の目的
今回の更新のコンセプトを説明しましょう。様々な理由より、前回のカード更新の時点で提示した考えからはいくらか離れ、今回は安全性を重視した調整を行うことにしました。つまり冒険を可能な限り避け、安定を目指したということになります。
間違った態度というわけではないですが、毎回のカード更新がこの指針ではゲームが面白くなるとはとても思えません。それではなぜ、今回はこのやり方を取ったのでしょうか。
その理由はシーズン3の特性によるもので、3つあります。説明しましょう。
理由1:初となるロングシーズンである
シーズン1と2は約3ヶ月でした。しかし次の『第参拡張』の発売はゲームマーケット2019春となるため、シーズン3は約5ヶ月あります。長いシーズンでバランスが悪化し、禁止カードを出すことになると影響はより悪いものとなってしまいます。
それゆえ、リスクを背負った試みは『第参拡張』以降のショートシーズンに行うべきなのです。実際のところ、次のカード更新では多くの上方修正を入れるつもりです。
理由2:特に競技的な場も用意される
ロングシーズンに何も変化がなければ飽きてしまいます。そこで私どもは特に競技的に、イベントを通して本作を盛り上げられるよう計画を立てています(※)。そのためには安定した、戦略的に魅力の大きい環境が重要なのです。
※ もちろん、カジュアルな方向の計画もありますので、気楽に遊ぶのが一番という方もご安心ください!
理由3:デジタル版最初のシーズンである(はずだった)
この理由はとても悲しいことに今では意味を失っています。詳しくは先日の記事をご覧ください(物事がうまくいけば意味を取り戻すかもしれません)。
本来はこのシーズンではデジタル版がリリースされ、その最初の環境となるはずでした。そうなると初めて本作に触れるプレイヤーが多く生まれると予想できます。その際の第一印象が悪いとなると、多くの新規プレイヤーが本作を辞めてしまい、結果としてデジタル版は短期での終了を余儀なくされてしまう恐れが生じてしまいます。
これらの理由により、今回の更新では深いメスの入れ方は避け、以下の目的に絞ることにしました。
目的1:禁止カードを解除できるようにする。
目的2:大きな問題のあるメガミに調整を行う。
目的3:冒険せずに解決できる問題に手を入れる。
シーズン1と違い、これらへの説明は不要でしょう。
各メガミへの見解と調整内容
ここからメガミ1柱ずつに今シーズンにおける見解を書き、結果としてどのカードにどのような調整が行われるのかをお伝えいたします。
ユリナ
目的1:禁止カードを解除できるようにする:該当せず
目的2:大きな問題のあるメガミに調整を行う:該当せず
目的3:冒険せずに解決できる問題に手を入れる:該当せず
ユリナはシーズン2での更新を経て、すばらしいバランスにたどり着きました。全てのカードに状況次第ではデッキに入るチャンスがあり、正統派として十分なパワーがあり、それでいて環境を支配するほどの制圧力はありません。
今の時点でユリナに調整を行う理由はありません。特に、上方修正に限れば絶対に不要だと確信しています。
アナザー版についてはシーズン2初期には小さくない心配がありましたが、シーズンを終えてみたら絶妙なバランスでした。初期はその爆発力に注目が集まりましたが、大規模イベントが近づきオリジン版の安定性が取り上げられるにつれ、最終的に使用者は二分されたと考えています。
これはアナザー版に求める望ましいバランスのひとつであり、私どもはこの結果に満足しております。
サイネ
目的1:禁止カードを解除できるようにする:該当せず
目的2:大きな問題のあるメガミに調整を行う:該当せず
目的3:冒険せずに解決できる問題に手を入れる:該当
現状のサイネには大きな力不足が感じられるため、上方修正が必要でしょう。
ではサイネに上方修正が必要となると、前回のシーズン1→2でサイネを下方修正したのは誤りだったのでしょうか。いいえ、前回の更新内容の大半については正しい更新を行えたと考えております(但し「氷雨細音の果ての果て」に限れば、本当に必要だったかは疑問があると評価しています)。
「律動弧戟」は今のサイネが使うだけならば消費5でもよいのですが、攻撃力が十分にあり、間合が幾らかかみ合うメガミ――例えばユリナやサリヤと組み合わせ、「響鳴共振」との相互作用まで加味するとゲームを危ういものにしてしまいます。
また、シーズン1の「響鳴共振」は明確にゲームを理不尽でつまらないものにしており、「音無砕氷」は1点ずつのクロックを刻むコントロール的なデッキを1枚で機能不全に陥らせていました。
これらの切札の調整は正しいと確信しています。ではサイネの問題は何なのでしょうか。
私どもは4-5という間合の苦しさと、今のサイネの通常札の構造がかみ合っていない点に原因があると判断しました。個々の通常札の性能は悪いと言うほどではないのですが、構造の脆弱性が著しく、それゆえに機能しないメガミになってしまっているのです。
理想論を言うならば、シーズン1の時点でこちらにも手を入れるべきではありました。しかしながら、調整の枚数が多くなりすぎてしまう点や、切札の強力さゆえに潜在的なリスクを高く評価されていた点から、そこまで手を入れることはできませんでした。ご容赦いただければ幸いです。
より詳しくはカードの更新内容を通し、説明しましょう。
「返し刃」は新たなカード「石突」になります。「返し刃」は反撃と連続攻撃を兼ね備える点において実にサイネらしく、反撃で使った時のみ強化されるという独自の挙動には魅力がありました。しかし、より深い構造を分析して考えると、今のサイネが持つ一枚としては失敗だったと判断できます。
第一の理由は、サイネは根本的にはビートダウンのメガミであるという点にあります。ビートダウンである以上、攻撃カードをどれだけデッキに共存させられるかが重要となりますが、このカードは使えるかどうかが相手に依存し過ぎています。
例えば間合3-4で攻撃を行うユリナなど、これを使わせてくれる相手であればサイネの火力は足りています。しかしそうでないメガミに対して、ビートダウンの1柱としては機能しない程に脆弱になってしまうのです。
それに加え、主な間合が4-5であることが問題に拍車をかけています。間合4-5を主戦場にするならば、間合を離して攻撃を一気に叩き込むという立ち回りが重要です。しかしそのためには手札を溜め、状況を作る必要があります。より近い間合で戦うよりもタイミングが大事であり、相手の動きに依存している事実がより苦しくのしかかります。
つまりサイネは二重の意味で攻め筋が相手依存になっており、ビートダウンとして機能不全に陥っていました。新しいカードはその部分を解決するよう設計しています。
まず、サイネにはユリナの「柄打ち」のように、得意な間合より近い間合で戦ってくる相手を崩す1枚が必要と判断しました。このようなカードが多すぎると個性を失ってしまいますが、1枚程度ならば本質的な得意間合が変わるわけではありません。
それに加え、サイネは間合4-5で一気に攻める際の後退手段も不足していました。とはいえサイネは移動が素早いタイプではありません。ゆえに「跳ね兎」などのように1枚で2歩移動できるカードは作らず、条件付きの移動カードを加えるにとどめています。
「衝音晶」は破棄時効果の解決後に「ダスト→間合」を1回解決するようになります。
「衝音晶」は魅力的なカードではありますが、ほんの少しだけカードパワーが『新幕』についていけていません。その点と、サイネに移動カードが不足している点を鑑みて、破棄時効果に1回離脱する効果を加えることにしました。
こちらについても自分のターンに使って安易に後退できるわけではないので、サイネの水準においてちょうど良い後退カードです。衝撃を吸収し、それを反射して放つ際に相手をノックバックさせる効果があると考えれば、イメージから見ても良好です。
これらの問題がアナザー版のサイネを解決していないことについては気付いています。しかし私どもはアナザー版のメガミについては、オリジン版のメガミよりは優先度を下げて判断しています。今回はまずはオリジン版を最善の形にすることに力を尽くしたということで、ご容赦いただければ幸いです。
ヒミカ
目的1:禁止カードを解除できるようにする:該当せず
目的2:大きな問題のあるメガミに調整を行う:該当せず
目的3:冒険せずに解決できる問題に手を入れる:該当せず
同じ遠距離型のウツロを相方に得る今回のシーズンは、ヒミカにとっては遠距離の戦い方がゲームを破壊しないかどうかを試されるものだったと言えます。結果としてヒミカ/ウツロは十分に強力ながらも、ゲームを壊すほどの危険性はありませんでした。この結果より、ヒミカの下方修正は必要ありません。
上方修正についてはどうでしょうか。ヒミカは今回の大規模イベントで一定の活躍を示しており、他方で彼女のバランスはとても危うい位置で成立しています。下手な上方修正を行うとヒミカを用いた速攻戦略があまりにも多くのデッキを制圧してしまい、環境の致命的な悪化を招きかねません。今回の指針が安全性を第一にしている点から鑑みても、上方修正もまた行うべきではないでしょう。
アナザー版については高く評価しています。「原初」ヒミカは一見して危険そうなカードを多数持ちながら、適切な入れ替え先を選ぶことでゲームを破綻させず、鮮烈な魅力を示しています。
トコヨ
目的1:禁止カードを解除できるようにする:該当
目的2:大きな問題のあるメガミに調整を行う:該当せず
目的3:冒険せずに解決できる問題に手を入れる:該当せず
オリジン版のトコヨの話を先に終わらせましょう。彼女もユリナと同様に、シーズン1→2のカード更新を経てすばらしいバランスに生まれ変わりました。現在では魅力的な水準のコントロールデッキを多数生み出しており、絶妙な立ち位置と言えます。
アナザー版についてはシーズンの初期には大きな失敗を犯したのではないかと懸念しており、事実として限定的ながらも禁止カードを出してしまった以上、失敗をしたことは確かです。
しかし禁止カードの発行後は、思った以上に正しいバランスで彼女は機能し、魅力的なデッキをいくつも生み出しました。それゆえにカード更新はやや厄介なものとなります。指針として私どもは、魅力的なデッキを可能な限り崩さず、問題だけを取り除くよう進めることにしました。
「陽の音」は展開時効果を失います。その上で、その入れ替え先は「晴舞台」ではなく「要返し」になります。
前者については、このカードは単純に強力でした。私はシーズン1の「晴舞台」に対するバランス調整チームのフィードバックを踏まえ、その欠点を解消するように「陽の音」を設計しましたが、全ての欠点を解消したのは失敗でした。
本題は後者です。アナザー版トコヨは「陽の音」が加わるにあたり、付与カードを取り除かなければ3枚の付与カードを持つようになります。シーズン1においてサイネ/シンラが高い潜在的リスクと捉えられていた通り、「森羅判証」との相互作用を警戒するには十分でしょう。
ですが、「要返し」を残す方が問題としては大きいものでした。このカードと「二重奏:吹弾陽明」を合わせると山札をほぼ無限の枚数として運用できます。それだけで必ず問題というわけではないのは、禁止カード制定後の環境から分かる通りですが、少なくともAトコヨ/ユキヒにおいては問題でした。
そこで私どもは改めて入れ替え先を戻して検討しました。幸いシーズン1→2で「皆式理解」の調整を行ったため、「森羅判証」のリスクは下がっています。幾度かのプレイテストと「二重奏:吹弾陽明」の調整の結果、最終的には問題はないと判断し、この形に仕上げることにしました。
「二重奏:吹弾陽明」で山札に戻せるカードのうち、捨て札から戻せるのは行動カードだけになります。
こちらもまた、Aトコヨ/ユキヒに限って問題があるカードです。Aトコヨ/ユキヒは様々なカードを状況に応じて使いまわしますが、特に「ふりはらい/たぐりよせ」は山札1周で2回以上使用できるべきではありません。
そこで戻せる対象から攻撃カードを除くことで解決を図りました。併せて「森羅判証」のリスクを可能な限り抑えるため、付与カードも対象から除きました。
実際のところ、この調整が正しい根拠もあります。攻撃カードは間合に、付与カードはダストの状況に依存するため、使用には幾らかの制限があります。他方で行動カードには条件がないので、強烈すぎる効果になり辛いのです。
実際のところ、私どもは行動カードの使い回しを強く監視しています。例えばウツロの調整がその一例です。今よりほんの少しだけ「重圧」が強かったことがありましたが、その「重圧」ですら「風雷の知恵」と組み合わせた際にはゲームを半壊させました。
この調整で「二重奏:吹弾陽明」の効果も他の使い回しと同様の監視で事足りるようになることでしょう。
オボロ
目的1:禁止カードを解除できるようにする:該当せず
目的2:大きな問題のあるメガミに調整を行う:該当
目的3:冒険せずに解決できる問題に手を入れる:該当せず
オボロは今の問題の中心に位置しています。彼女は間違いなく現状で最も強力です。しかし誤解しないでください。彼女は純粋な強さで言えばシーズン1のサリヤに劣ります。弱点もありますし、プレイングで強さを覆す可能性はより大きいものです。何度もバランス調整チームで議題に上がりながら、最終的には禁止カードを出さないという結論になったのもそれらの点を考慮したものです。
彼女の問題の本質は『新幕』という構造にかみ合った強さ(※)と、それゆえにあまりに多くのメガミと相性が良い点にあります。『新幕』ではカードが強力になったため、『第二幕』と比べて基本動作がやり辛くなっています。そんな中オボロは後で設置として使えるチャンスがあるため、基本動作を通した盤面の基盤づくりがやりやすいのです。
その結果、どのようなメガミと組み合わせても基盤が底上げされるため、あらゆるメガミのベストパートナーとなりえてしまっています。何かしら強い意図がない限り、あるメガミと他のメガミを組み合わせるより、オボロと組み合わせた方が強くなる傾向にあるのです(もちろん例外はたくさんあります)。
結論として、オボロは環境やメガミの選択に、余りに大きなゆがみを与えています。その最たるものが、三拾一捨での使用率7割という結果と言えるでしょう。オボロについてはシーズン1の調整まで含め、大きく誤っていたと今では結論付けております。誠に申し訳ございませんでした。
しかし彼女の強みを減じるとしても、彼女の魅力までも殺さないよう気を付けなければなりません。出る杭を叩きすぎ、没個性の世界に陥ってはいけません。私どもは設置などの強みを弱めしすぎないように、その上で彼女の持つ問題のある動きを抑制するように更新しました。
※ どこか『第二幕』のトコヨを思い出させるような強みと言えます。
「忍歩」の矢印効果は両方向きではなくなり、ダスト→間合の動きしかできなくなります。
「影菱」も「鋼糸」もオボロは設置こそが魅力的であるべきという理念に基づくと適正なバランスです。特に攻撃カードを設置で使う場合、相手の立ち回りで間合を外されるリスクがあるため、必ずしも強い使い方ができるとは限らないのですから。
しかし、今の「忍歩」はそのリスクを消し去りすぎています。間合3からの「影菱」も、間合5からの「鋼糸」もケアがあまりに難しく。結果として設置による攻撃を著しく不当なものにしてしまっています。
さらに「鳶影」との相互作用も問題です。「鳶影」が様々なカードとの組み合わせで多様な受けを実現できることは問題ありません。しかしオボロとのカード1枚と組み合わせるだけで、(例えば「月影落」を確定で避けられてしまうなど)あまりに広いカードへの受けに繋がり、オボロの防御力が想定よりも高くなりすぎてしまっていました。
矢印が片方だけになることで、これらの問題は大きく解決します。他方でオボロの致命的な弱点を緩和する働きや、アナザー版オボロの立ち回りを補強する働きは損なわれておらず、「忍歩」に期待される機能は果たされ続けると考えています。
「鳶影」の消費は3から4になります。
「忍歩」の調整により、相手の攻撃に対応して使う「鳶影」に限ればバランスは適切なものになったと考えています。しかし「鳶影」には自分のターンに、攻めとして使うという選択肢も残されています。「影菱」から「月影落」に繋ぐなどの動きはその一例です。
私どもはその方向での使いみちまで加味すると、消費が少しだけ安いと判断しました。この問題で本質的に比較すべき相手は「スカーレットイマジン」です。どちらも追加のカードを1枚与え、そのターンの動きを強化できるのですから。
そうして考えると『新幕』となり、カードが全体的に強化された点を鑑みて消費が2から3に引き上げられ、効果そのものも弱められた「スカーレットイマジン」に対して、「鳶影」が据え置きだったのは誤りだと言えるでしょう。
「壬蔓」は攻撃カードとなり、矢印効果の移動元はダストになります。
「壬蔓」のもたらした問題はここには書き切れない程です。私どもは問題を生む要因として「選択の余地がない対応不可であること」と「第1ターンから使用できること」を取り上げることにしました。
前者は対応不可の問題の最たるものです。『第壱拡張』の結果を鑑みても、対応不可は正しく使えば良い結果を与えると考えています。しかし「影菱」と、本質的には対応不可の攻撃でもある「壬蔓」は明らかに間違っていました。間違った対応不可は対処できない理不尽さを感じさせ、ゲームをつまらなくしてしまいます(※)。
後者は今すぐに危険とは限りませんが、第1ターンから「壬蔓」が使用できるといくつかのコンボが制御不能になるリスクが高まると判断し、このタイミングで併せて調整しておきます(プレイテストでは危険なデッキもありました)。
※ そしてオボロはシーズン1もシーズン2も、最上位のメガミとして存在感を示していました。これでは対応不可へのフィードバックが悪くなるのも当然です。
ユキヒ
目的1:禁止カードを解除できるようにする:該当せず
目的2:大きな問題のあるメガミに調整を行う:該当せず
目的3:冒険せずに解決できる問題に手を入れる:該当せず
ユキヒは難しい立ち位置にあります。フィードバックを鑑みると、彼女には上方修正が必要なようにも見えます。しかし、いくつかのデッキが彼女の調整に疑問符を投げかけています。
最たるはオボロとの組み合わせです。「壬蔓」と「はらりゆき」には強固な相互作用があり、その軸を持ちながらも広い構築の幅を持つため、シーズン2の末期には環境の第一線に存在しつづけることになりました。
加えて今回の大規模イベントでハガネとの組み合わせにおいて、彼女のクリンチコントロール(※)における強みも改めて見出されました。
少なくとも下方修正はあり得ませんが、中距離、至近距離ともにいくつかの組み合わせへの十分な観察なしでは彼女の調整にはリスクが伴うと判断し、私どもは今回の調整を見送ることにしました。
※ 間合0近傍に居座ることで相手の攻撃を抑止するコントロールデッキ。
シンラ
目的1:禁止カードを解除できるようにする:該当せず
目的2:大きな問題のあるメガミに調整を行う:該当せず
目的3:冒険せずに解決できる問題に手を入れる:該当
シーズン2となり、シンラには強さの面での問題はほとんどなくなりました。しかし、シンラをはじめとする何柱かのメガミ(※)には、ゲームをより魅力的にできる余地が残されています。
これらの余地は私どもの失敗でもあります。しかし、ゲームバランスに問題を引き起こしているわけではなく、逆に弱すぎるわけでもありません。仮に直さなかったとしてもそのメガミの魅力がやや劣ってしまうだけで、他の問題と比べると小さなものです。
ですが私どもは目指すべき理念に従い、最終的にはそれらの改善点にも手を入れるつもりです。今回のシンラの更新は、そのための第一歩となります。
※ あくまで現状の話ですが、私どもはユキヒ、シンラ、クルル、ライラの4柱にはこの類の改善の余地があると考えています。シンラはその中でも最も問題の整理が進んでおり、また波風を立てることなく修正が可能でした。
壮語の鬼謀効果は完全に新しいものになります。
シンラの抱える改善の余地は2つあります。1つ目は「軸の不足」、2つ目は「神算安定問題」です。説明しましょう。
シンラ特集でお話しした通り、シンラは黒幕らしい勝ち筋として「山札の破壊」「天地反駁コンボ」「森羅判証コンボ」を持ちます。しかし新幕の現状ではこれらの戦い方の間でのつながりが薄く、どの戦い方を選んでも糸の上を渡るような細さがあります。結果としてシンラはナイスなサポートを行うものの、シンラに軸を置いた構築があまりにも組みづらくなってしまっているのです。
2つ目はより簡単な話です。計略のコンセプトは成功していますが、現在のカードプールは明確に失敗しています。「神算」の効果が「鬼謀」より強力かつ安定しているため、「鬼謀」を選ぶ理由がほとんどないのです。
それでは、「壮語」の更新はこれらをいかに改善するのでしょうか。
まず「壮語」は計略を持つカードです。この1枚の鬼謀効果をより適切なものにすれば2つ目の問題にメスを入れられます。実際、現在の「壮語」の鬼謀効果は失敗しています。元の「壮語」は相手の手札が2枚であることを咎めていますが、そもそもシンラには「引用」があるため手札を多く保持することにはリスクが伴います。つまりシンラと相対した相手は何にしても手札を使ってしまうことが正解であるため、元の鬼謀効果は2択でプレッシャーをかける仕事を果たせていないのです。
そこで逆に効果の条件を「相手の手札が1枚以下」となるようにしました。その上で誘発する効果を、他のあらゆるシンラのカードと緻密な相互作用を持つようにしたのです。こうすることでシンラをサポートのために使うのでなく、彼女に軸足を置いた構築も活躍できるようになるでしょう。
ハガネ
目的1:禁止カードを解除できるようにする:該当せず
目的2:大きな問題のあるメガミに調整を行う:該当せず
目的3:冒険せずに解決できる問題に手を入れる:該当せず
ハガネは前回の上方修正を経て、大きく躍進したと言えます。『第二幕』まで含めてもハガネが環境の上位に食い込んだことは一度もなかった点を鑑みても、前回の更新はゲームに多様性と魅力を与えたと今は考えています。
他方でハガネは難しい立場にもいます。一部のプレイヤーからハガネには問題があるというフィードバックも届いており、何名かのバランス調整チームもまた同様の意見を持っています。他方で今のハガネこそが魅力的なバランスだという意見や、問題があるという意見は上振れした展開の時だけを切り出しているという反論も聞いています。
ひとつ補足するならば、少なくともオボロ/ハガネには問題がありました。「遠心撃」と相手のオーラを開ける手段を組み合わせたコンボを軸とするデッキですが(※)、「壬蔓」と「誘導」の両方を持っているのはやりすぎであり、安定性があまりにも高すぎました。
しかしながらその問題は、どちらかというとオボロ、さらに言うならば「壬蔓」の問題であった可能性が高いと言えます。今シーズンではオボロにカード更新が行われ、そのデッキは抑止されるため、ハガネに対する結論はその結果を踏まえたうえでも遅くはないと判断しております。
※ その類のデッキ全てが問題というわけではありません。例えば「氷の音」との組み合わせは手札のセットを作る手間を鑑みると、適切な範疇のデッキと言えます。
チカゲ
目的1:禁止カードを解除できるようにする:該当せず
目的2:大きな問題のあるメガミに調整を行う:該当せず
目的3:冒険せずに解決できる問題に手を入れる:該当せず
シーズン1→2のカード更新で私はチカゲを完璧なバランスだと評価しました。その考えは大きくは変わっていませんが、シーズン2では彼女の活躍は予想よりも控えめなものとなりました。
その原因は2つあると捉えています。1つ目は環境全体の暴力性が下がったため、1/2の攻撃をやや活かしづらくなったことです。
2つ目はオボロが利便性の高い手札破壊を手にした上で、問題のある強さであった点です。チカゲの強みと幾ばくか重なった要素を得た結果、オボロがやや上位互換のように振る舞い、チカゲを宿すべき理由が小さくなってしまったのです。
今の時点でこれはオボロ側の問題と捉えています。オボロに調整を行ったうえでの次のシーズンを観察し、本当に必要であればチカゲには上方修正が行われることでしょう。
クルル
目的1:禁止カードを解除できるようにする:該当せず
目的2:大きな問題のあるメガミに調整を行う:該当せず
目的3:冒険せずに解決できる問題に手を入れる:該当せず
彼女はシーズン1の時点で危険なデッキを生み出していたため、私どもは「びっぐごーれむ」を下方修正することでリスクの軽減を行っていました。その上でシーズン2にはさらに研究が進むため、私どもはどこに問題があるのかを改めて探り、彼女をどうするべきか決める必要があるだろうと予見していました。
しかし私どもの予想は大きく外れ、シーズン2の彼女は余りにもおとなしくなっていました(その原因には他のメガミへのカード更新の影響も大きく関わってはいるとは思われますが)。
現状で彼女に下方修正が必要なようにはとても思えません。他方で上方修正を行うには高い危険を伴います。今の彼女はやや湿った火薬のようなものであり、火種を加えるには極限まで慎重でなくてはなりません。
このような事情を鑑みると、彼女のカードを更新するのはあまりにも今回の目的とはかみ合いません。彼女の更新は、次のシーズンへと見送るべきでしょう。
サリヤ
目的1:禁止カードを解除できるようにする:該当
目的2:大きな問題のあるメガミに調整を行う:該当せず
目的3:冒険せずに解決できる問題に手を入れる:該当せず
サリヤは全体にまたがる禁止カードを有しながらも、環境で十分な存在感を示すほどに活躍しました。ゲームバランスも壊しておらず、今の(禁止カードのある)サリヤは満点に近いバランスであると言えます。
しかしそうなると、カードの更新は難しいものになります。禁止されている「Thallya's Masterpiece」を更新するのは当然なのですが、この1枚が十分な使い道をもったものである場合、すでに適切な強さを持つメガミに新たな選択肢を与えてしまい、バランスを壊すリスクがあるのです。
解決方法のひとつは、「Thallya's Masterpiece」を存在しないも同然の内容にすることです。しかしそれはカードのデザインとして好ましい在り方ではありません。結果としてそうなるならまだしも、初めからそれを意図するのはもってのほかでしょう。
そこで私どもはやや強力さが目立つ1枚のカードを併せて下方修正することにしました。
「Thallya's Masterpiece」は数多くの問題のある動作がすべて取り除かれました。代わりにその消費は1になります。
この位置の1枚が極めて難しいのは勿論ですが、元々の「Thallya's Masterpiece」は(「YAKSHA」で往復運動をするところと、「Turbo Switch」でほぼ全ての大技を避けたところを除けば)かなり魅力的なカードでした。「Burning Steam」と「Waving Edge」でビートダウンの円滑化のために使う範囲では、それ以降の攻撃カードや、相手の攻撃カードへの睨みに繋がるため、額面以上にゲームに相互作用をもたらし、楽しいビートダウンの展開を生むのです。
また、極端に間合を近づけてくる相手、ならびに極端に離してくる相手に対しては対策としても働き、対策カードとしての立ち位置も十分に存在しています。
そこで私どもは下手に新しいカードを作るよりは、問題をことごとく取り除いてしまうことを選びました。しかし、これらの使途だけだと消費2は少しばかり不自由さが感じられたため、消費は1へと下げることにします。
「Julia's BlackBox」の消費は0から2になります。
シーズン1→2で「Form:YAKSHA」に更新が行われた結果、「Form:YAKSHA」そのもののは適切なバランスになりました。しかしその結果「BlackBox」には新たな問題が見えてくるようになりました。
それは3種類の効果を「後出しで」選べるという強みです。「Form:YAKSHA」にしかTransFormできないならば消費は0で適切でしょう。しかし「Form:NAGA」や「Form:GARUDA」も選ばれるようになり始めたことでこれらの2形態も十分に強力であり、相手のデッキを見てから、状況に応じて使い分けられる柔軟性が明るみにでるようになりました。
結果、依然としてこのカードは安定して採用され続けています。これらを鑑みると、1枚に下方修正をかけるべきならばこのカードこそが最善だと私どもは判断しました。
ライラ
目的1:禁止カードを解除できるようにする:該当せず
目的2:大きな問題のあるメガミに調整を行う:該当せず
目的3:冒険せずに解決できる問題に手を入れる:該当せず
ライラの状況はいくらか予想外の方向に転びました。私はシーズン1→2のカード更新を経たとしてもライラにはいくらかの不満が残ると私は考えていたのです。しかし「獣爪」の調整は思いのほか強力に働きました。今のライラはビートダウンのメガミとして適切な立ち位置にあり、むしろ下手に弄るべきありません。
ライラには面白さの面でわずかに気になる点もあります。ですが今のライラを調整するならば上方修正と下方修正が混在したものになると考えられ、強さの問題でないために優先度は低くなります。さらに今のライラのコンボを楽しんでいるプレイヤーも十分に存在すると確認できました。これらを総合的に見れば、このシーズンで無理に手を入れるのは悪手と言えるでしょう。
ウツロ
目的1:禁止カードを解除できるようにする:該当せず
目的2:大きな問題のあるメガミに調整を行う:該当せず
目的3:冒険せずに解決できる問題に手を入れる:該当せず
現時点でウツロは満点とまでは言えないものの合格点を十分に超えており、成功していると判断しています
ウツロは目立って大活躍をしているわけではありません。しかし確かな存在感を示しており、弱いという印象もありません。下手な強化がヒミカとの組み合わせでリスクを生むことを鑑みても、今回の更新で急ぐ理由はないでしょう。
次のシーズンに向けた今の指針
以上で、今回のシーズンの更新は終わりとなります。お読みいただきありがとうございました。新たな環境をお楽しみいただければ嬉しいです。
次回はロングシーズンが明けた後の話となり、さらにデジタルゲーム版のリリースの時期にも依存するため、変化する前提の指針と考えて頂ければ幸いです。
現在の環境において、明らかに上方修正が必要だったのはサイネだけでした。しかし、彼女には小さな上方修正を行うべきではないかと感じるメガミは何柱か存在しています。次回はそれらの上方修正を多めに行いたいと考えています。
同様にシンラの項目でお伝えした通り、メガミそのものをより魅力的にするために行うべき調整も検討しております。