夢の祭典 また大阪で 25年万博、関係者ら喜び爆発

2025年 万博
関西
社会
2018/11/23 22:45 (2018/11/24 1:48更新)
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【パリ=中川竹美、奥山美希】1970年以来、半世紀ぶり2度目の「大阪万博」が実現する。パリで開かれた博覧会国際事務局(BIE)総会で23日夕(日本時間24日未明)、2025年国際博覧会(万博)の開催国が日本に決まった。先端技術と関西のおもてなしの心をアピールし誘致を目指してきた関係者らは喜びを爆発させた。

大阪に開催地が決定し、歓喜する誘致委のメンバー(23日、パリ)

大阪に開催地が決定し、歓喜する誘致委のメンバー(23日、パリ)

パリ市内のOECDカンファレンスセンターで開かれたBIE総会の投票で誘致決定が決まった瞬間、控室で待機していた大阪府の松井一郎知事ら誘致委幹部は跳び上がって大きな笑顔を見せた。

互いに肩を抱き、「よかった」と声を掛け合った。松井知事は興奮冷めやらぬ様子で「これだけの人が期待している。かつてない万博を目指したい」と話した。

投票会場には各国の政府代表しか入れず、誘致委幹部らは会場の別室でモニター画面で投票結果を見守った。分担金を納付した投票権のある国は当初、130カ国ほどとみられていたが、最終的には156カ国にまで増加した。

投票に先立つ最終プレゼンテーションで、日本は2番目に登場。パナソニック執行役員で国内外で活躍するピアニストの小川理子さんは太陽光発電によるランタンを通じた発展途上国支援などを挙げ、「大阪は私たちの共通の課題を追求する道を導いてくれる」と訴えた。

世耕弘成経済産業相は「大阪は皆さんと一緒に万博を楽しむ準備が整っている」と話し、途上国を中心とした国々に対し政府による財政支援を行う方針を改めて強調。映像で日本人のノーベル賞受賞者を次々に紹介して高い技術力を示し、外国人を温かく迎える大阪の雰囲気やたこ焼きなど独特の食文化、様々な歴史的文化財もPRした。

大阪で活躍する企業人ら計4人のスピーチが終わった後、小川さんが再び壇上に上がってジャズの名曲「この素晴らしき世界」を演奏。途中、安倍晋三首相から「今よりもっと素晴らしい世界にしたいと願っています」というビデオメッセージが流れる中、手拍子が起きるなど各国の代表者らが笑顔で見守った。

アゼルバイジャンは誘致活動に関わる開催予定地、首都バクーの市民が登壇。「世界中の知識や知恵を生かした万博をつくり上げたい」と話し、日本やロシアと異なる新興国での開催の意義を訴えた。オイルマネーを背景に成長する市街地、若者にあふれる活力ある国の姿も映像で紹介した。会場予想図の詳細なアニメーションも示し、実現可能性を強調した。

ロシアはプーチン大統領がビデオメッセージで登場し、「過去ロシアでは万博が実現していない」と初開催への意欲を示した。万博では入国手続きを簡略化したり、参加国へ財政支援したりする方針を表明。18年サッカーワールドカップ(W杯)の組織委員会幹部はスピーチで「ロシアは複雑なイベントを開催する能力がある」と訴えた。

国内の関係者らも歓喜

2025年国際博覧会(万博)の大阪開催が決まった24日未明、誘致活動に関わり、国内で結果を待ちわびた人たちは喜びを爆発させた。

大阪市のホテルのホールには大阪府や大阪市の職員ら約400人が集まり、大型モニターで投票結果の速報を注視。大阪の勝利が分かった瞬間、大きな歓声を上げながら一斉に立ち上がり、万歳を繰り返した。

2年間にわたり誘致活動に関わったという大阪府の男性職員(45)は「素直にうれしい」と感極まった様子。「これから計画の具体化を進めないと」と気を引き締めた。

若者の視点を生かして万博誘致に加わってきた学生団体「WAKAZO(ワカゾー)」のメンバーら十数人は京都市内の拠点で投票を見守り、結果を受けてクラッカーを鳴らして祝福した。京都大大学院生の秤谷隼世さん(25)は「誘致が成功するか不安もあった。身近な人たちに大阪万博の理念や構想を伝えていきたい」と話した。

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