【一般スポーツ】ボクシング界のホープ・森武蔵 刈谷から世界王者はじめの一歩2018年11月23日 紙面から
ボクシング界のホープがいよいよ世界一への階段を上り始める。昨年のスーパーフェザー級全日本新人王の森武蔵(18)=薬師寺ジム=が25日、愛知県刈谷市のあいおいホールで世界ボクシング機構(WBO)アジアパシフィック・フェザー級王者に挑戦する。勝てば史上最年少での同タイトル王者となる大一番も、冷静沈着な若武者に気負いはない。 ボクシングを始める前から世界一を目指してきた。その男にとってプロ8戦目でのタイトル挑戦は願ってもない好機。勝てば18歳363日での同タイトル史上最年少王者となる1戦に「実力があってもタイトル戦をやれない人もいる。その中で8戦目にやらしてもらえる」と大舞台に立つ喜びをかみしめる。 柔道経験のある父の影響で年長児から空手を習い始めた。その頃から目標は「格闘技での世界一」。プロとして生きるために進んだボクシングの道でも同じだ。「見据えているのはあくまで世界チャンピオン。世界を取るための踏み台としてとらえている」 もちろん慢心はない。相手は通算31戦21勝(6KO)と自身の4倍近い戦歴を持つ28歳のリチャード・プミクピック(フィリピン)。何度も試合の映像を確認した。長いリーチを生かし、伸びてくるようなパンチに「日本人にはいないタイプ。見た目以上にやりにくい」と警戒心を強める。 森にとって初めて尽くしの試合。これまでのスーパーフェザー級から階級を1つ落としたフェザー級で初めて戦う。U-15のアマチュア大会で優勝した中学3年の時と同じ体重まで落とすことになる。12回戦での試合も今回が初めて。「未知の世界が多いですけど、どういう展開になってもいいようにするのが一番」と臨機応変に対応するつもりだ。 名前の「武蔵」は地元の熊本で没した宮本武蔵にあやかって付けられたという。「初めてのタイトル戦だからといって緊張はない。1ボクサーとして相手に勝ちたい」。無敵を誇った剣豪のように、冷静沈着な現代の武蔵が世界一への橋頭堡(ほ)を築く。 (谷大平) ▼森武蔵 1999(平成11)年11月27日生まれ、熊本県菊池市出身の18歳。170センチ。空手を年長児から小学5年まで習い、空手を辞めてからボクシングを始めた。熊本・泗水中卒業後、名古屋市に転居して薬師寺ジムに入門。2016年にプロデビュー。昨年12月にスーパーフェザー級全日本新人王を獲得した。左ボクサーファイター。プロ通算成績は7戦全勝(5KO)。
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