【大相撲】高安、大関対決制し10勝 V争い貴景勝と一騎打ち2018年11月23日 紙面から
◇九州場所<12日目>(22日・福岡国際センター) 大関同士の一番は高安(28)=田子ノ浦=が栃ノ心(31)=春日野=を上手投げで仕留め、10勝目。小結貴景勝(22)=千賀ノ浦=は平幕玉鷲を突き落とし、11勝1敗で単独首位を守った。2敗だった碧山(32)=春日野=と大栄翔(25)=追手風=が敗れたため、貴景勝を1差で追う2敗は高安だけとなった。大関豪栄道の休場により、関脇御嶽海(25)=出羽海=は不戦勝で星が五分に戻った。 ◇ 3横綱が不在で大関も2人に減った。12日目にして番付の上では大関同士の頂上決戦で、高安が10勝目をもぎ取り踏ん張った。互角の立ち合いから、栃ノ心有利の右四つに組まれたが上手は与えない。逆に先手で引いた左上手から投げ。2敗は高安ただ1人になり、貴景勝との一騎打ちの色が濃くなってきた。 「立ち合い、突いてもまわしを取っても、前に出よう攻めようと思った。力を出して勝ちたかったなぁ」 相手が土俵を割るのを見届けた瞬間、不満そうにわずかに首をひねった。1年納めの場所の賜杯の行方を決めかねない極限の結びでも、理想にこだわり続けた。だからこそ、組み止められた流れが気に入らない。支度部屋でも「修正して前向きにやりたい」と表情が和らぐことはなかった。 豪栄道がこの日に休場を決め、今年初優勝した栃ノ心と御嶽海は既に圏外。誰が賜杯を抱いても、初めてという展開で最終盤に突入する。 同じく3横綱が休場した今年の名古屋場所、中盤以降に失速して9勝どまり。自身を兄貴分と慕う御嶽海に、初優勝で先を越された。「なかなか思うような相撲を取れなかった。悔しいというか…」と不完全燃焼の思いを胸に、優勝争いを自らに課してきた。 八角理事長(元横綱北勝海)が「優勝ラインが下がってこないのは立派。高安は大関の仕事をしている」と褒めちぎる充実ぶり。一方で、この一番を土俵下で見守った藤島審判長(元大関武双山)は「大関の責任感というか一人横綱じゃないですけど、負けられないのはある。稀勢の里の分もというか、背負っているものが少し大きい」と重圧を思いやる。 そんな緊迫感にも高安は「悔いのないように、集中して浮つかずやりたい」と動じない。貴景勝との直接対決を残し、逆転Vだけを見据えている。 (志村拓)
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