双方、協議のうえで合意に達し、捜査が始まったら協力者は検察側につく。だから西川広人社長は、ゴーン逮捕後の記者会見で、類を見ない開き直りを見せた。
謝罪の言葉は一切なく、頭を下げず、ゴーン批判に終始した。「ワルはゴーン」であり、自分も会社も被害者となって身を守った。
司法取引は、そうした政治的なものであり、かつての「罪を犯したのは誰か」を捜査し、追い詰めるものではない。摘発される人間は決まっており、その国策の前に殆どの人間は無力だ。
今後、ゴーン容疑者は、指摘される「海外の家」など資金流用の罪を問われ、その先には「過少申告」が脱税につながっていないかどうか、といった捜査を受ける。更にその間、報道はゴーン容疑者の離婚、再婚といったプライベートにまで踏み込むものになるはずだ。
その日本の国策に抗することが出来るのは、フランスの国策だけだろう。それをマクロン大統領は行使するのか。それにはどんな手が使われるのか。
事件は国際紛争の芽も残している。