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【大相撲】

大栄翔、埼玉栄高の後輩・貴景勝と1差追走 10場所ぶり2桁王手

2018年11月22日 紙面から

輝(右)を押し出しで破り、9勝目を挙げた大栄翔=福岡国際センターで

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◇九州場所<11日目>

(21日・福岡国際センター)

 平幕大栄翔(25)=追手風=が輝を押し出して9勝目を挙げ、2敗をキープした。小結貴景勝(22)=千賀ノ浦=は平幕栃煌山を冷静にはたき込み、10勝1敗で単独トップを守った。3大関は安泰で、高安(28)=田子ノ浦=は関脇逸ノ城を辛くもはたき込んで、9勝目。栃ノ心(31)=春日野=は千代大龍のつき膝により6勝目を挙げ、今年の57勝目で自身初の年間最多勝を確定させた。豪栄道(32)=境川=は小結魁聖を寄り倒して、勝ち越した。

      ◇

 終盤戦の台風の目に、大栄翔が堂々と名乗りを上げた。立ち合いから輝を押し込むと、左の喉輪でのけ反らせて一気に押し出して9勝目。今は、埼玉栄高の先輩として1差で貴景勝を追う展開を「まだ残りはあるけど、全く考えないことはない」と楽しむ余裕がある。

 2人には3学年の開きがあるが、角界入り後も母校に顔を出して食事をするなどしてきたこともあってか、大栄翔は後輩からなつかれる存在だ。昨年秋場所、白星後の支度部屋では、報道陣の中に貴景勝が紛れ込んでいたということもあった。

 その時はニヤニヤ笑いの後輩から好調の要因を質問されて、「会心の相撲でした。巡業での貴景勝関との稽古が良かったから」。先輩いじりにも嫌な顔一つしないが「上で取りたい思いは常にある」と、貴景勝に三役昇進で先を越されたことを刺激にしてきた。

 この日の1勝で、自己最多の11勝を挙げた昨年春場所以来10場所ぶりとなる2桁勝利に王手をかけた。弱点と自覚している連敗癖も今のところ封じ込めている。順調そのもの。しかし、なぜか表情は浮かない。

 「手がでかすぎるんですよ。小さくなりたいくらい」。寒さが気になり始める時期。これまでちょうど良い手袋を見つけたことがない。携帯電話などのボタンを、2つ同時に押すことも…。

 「細かいゲームは無理ですね…」。そんなひそかな悩み(?)も相撲に目を転じてみれば、大きな武器となる。「突きの面積がデカイんで」と笑顔が戻った。1差で追いすがれば、貴景勝との直接対決が組まれる可能性も十分ある。自慢の両手で突き押し続け、先輩の意地を見せつける舞台を整えたい。 (志村拓)

 

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