AMDの第2世代「Ryzen Threadripper」は4モデルがラインアップされているが、発表間もなく登場した「2990WX」と「2950X」に続き、10月末には「2970WX」と「2920X」も発売された。今回は2970WXと2920Xのパフォーマンスを見ていく。
第2世代Ryzen Threadripperは、クリエイター向けの「WX」、ゲーマー向けの「X」がラインアップされている。今回取り上げるのは両シリーズの下位モデルだ。下位とはいえ、2970WXは24コア・48スレッドと第1世代Ryzen Threadripperよりもコア数が多く、2920Xも12コア・24スレッドとSocket AM4向けRyzenよりもコア数が多い。エンスージアスト向けのCPUだ。
型番 | コア・スレッド | 定格クロック | 最大クロック | L1 | L2 | L3 | メモリ | TDP |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2990WX | 32C・64T | 3GHz | 4.2GHz | 3MB | 16MB | 64MB | DDR4-2933 | 250W |
2970WX | 24C・48T | 3GHz | 4.2GHz | 2.25MB | 12MB | 64MB | DDR4-2933 | 250W |
2950X | 16C・32T | 3.5GHz | 4.4GHz | 1.5MB | 8MB | 32MB | DDR4-2933 | 180W |
2920X | 12C・24T | 3.5GHz | 4.3GHz | 1.12MB | 6MB | 32MB | DDR4-2933 | 180W |
2970WXと2990WXを比べてみると、コア・スレッド数やそれに伴うL1、L2キャッシュが異なるものの、動作クロックやL3キャッシュ、メモリのサポートやTDPは同じだ。この点で、下位モデルだからと言ってマザーボードや電源へのニーズが引き下げられることはない。よいマザーボード(特にVRM周り)と、よい電源(+12Vの安定性と十分な出力)が求められる。
2920Xと2950Xの違いもおおよそ2990WXと2970WXの関係と似ているが、最大クロック側は2920Xの方が100MHz低い。とはいえ、TDPは180Wなので、ここも2950X並みのシステムが求められる。
WXシリーズでは、今後「Dynamic Local Mode」(DLM)が利用可能になる。この機能はRyzen Masterを導入することで利用できるが、現時点で配布されているバージョンではまだ対応しておらず、レビュワー向けに専用版が配布されているのみ。このRyzen MasterはまだUIが確定されておらず、DLMはWindowsのサービスとしてオン・オフを切り替えられる。
DLMは最も負荷の大きいスレッドに、コアとローカルメモリを優先割り当てする機能とされる。WXシリーズでは4つのダイから成り、メモリコントローラーとPCI Expressレーンはそのうち2つのダイの機能を利用している。ダイ内のCCX同士はInfinity Fabricで結ばれているが、少なからずレイテンシが存在する。CCXとメモリ上のデータが離れた場所にある場合、このレイテンシがパフォーマンスに影響する。DLMはそのスレッドのあるCCXとメモリの距離が近くなるよう再配置することでレイテンシを短くする機能だ。
同社はブログ上で同機能について触れているが、DLMオンでは、主にゲームのようなアプリケーションで効果を発揮するようだ。全スレッドに負荷がかかる状況というよりは、一部に高負荷なスレッドが存在するときに有効というところだろうか。
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