産業研究院のイ・ハング上級研究委員は「経営の効率性という側面で、ビジネスで結ばれた20年の同盟は容易には崩壊しないはずだ。しかし、両国政府が自国の自動車産業を保護するために介入した状況もあり、ルノー日産の関係は以前とは違ってきており、主導権争いが続くのではないか」と分析した。
ルノーサムスンは日産から受注しているローグの生産分がなくなれば、工場稼働率が50%に低下し、立ち行かなくなる構造だ。さらに、ローグの生産契約は来年9月に期限を迎える。このため、ルノーサムスンは釜山工場の生産性、競争力をルノー本社に積極的にアピールし、新たな生産契約を獲得する交渉を進めている。ところが、円安で日産の日本国内の工場の生産コストが徐々に低下し、競争が激化している。さらに、ルノーサムスンは今月初め、強硬派の労組委員長が選出され、徹底した賃金闘争を予告している。生産コストが日本を上回る可能性がある状況で、日産がルノーをけん制することになれば、来年の受託生産の確保は不透明になる。2013年時点でルノーグループ内で生産性ランキング25位にとどまっていた釜山工場が日産ローグの受託生産契約を結べたのは、ゴーン会長の決断があったからだとされる。頼みの綱のゴーン会長が没落してしまった形だ。
■部品メーカーにも打撃
ルノーサムスンの部品下請け会社も緊張している。1次、2次下請け会社数十社はルノー・日産連合のおかげで、ルノー本社と日産に年間1兆ウォン(約1000億円)規模の部品を輸出している。うち日産向けの輸出が半分以上の5000億ウォン超だ。それによって、ルノーサムスンも恩恵を受けている。輸出を通じた「規模の経済」で生産コストを抑え、ルノーサムスンは安価な部品供給を受けることができるからだ。しかし、ルノー・日産連合が揺らげば、日産が日本国内の部品メーカーとの取引を増やす可能性もある。大林大の金必洙(キム・ピルス)教授は「日産からの受注は難しいとみられ、ルノーからの受注を確保する必要があるが、大規模な受注は困難ではないか。来年の工場稼働率が50%に低下すれば、韓国の自動車産業全体にも打撃となる」と述べた。