当該の質問に対し寄せられた回答は、「おそらく、人口の差や性格、ネット環境の違いなどではないでしょうか」(noname#138028さん)や「顔を出したら、住所とか電話番号を曝露されて、誹謗、中傷の嵐かも」(noname#138976さん)などだった。
国民性を指摘する声が合ったが実際はどうなのだろう? 心理学者の内藤誼人先生に聞いた。
■日本人は自己主張や自己演出が苦手
「日本人は控えめで自己抑制的な国民性を持っています。日本・アメリカ・中国での主張の強さを調べると、日本人は必ず最下位です。日本人は自己主張や自己演出が苦手だということですね。これがインターネットで顔を出さないことにつながっているのではないかと思います」(内藤先生)
ユーザーの回答にあるように、やはり国民性が関係しているようだ。では投稿者の考えるように、外国人がネットで素顔を出すと安全性に問題は生じないのだろうか。
「欧米の人は、いかに自分を見てもらうかを優先する傾向があります。リスクについては、日本人ほど心配していないのかもしれませんね」(内藤先生)
ここからも、欧米人と日本人の文化的な違いが見えてくるようだ。
「ただ、女性が顔を隠す国がありますよね。そういった国のメンタリティは、比較的日本人と似ています」(内藤先生)
そういえば、日本の女性も平安時代には簾(すだれ)の奥で顔を隠していた。こうした控えめな態度が、現代にも脈々と受け継がれているのかもしれない。
■海外生活者の影響で少しずつ変化が
控えめで自己主張をしない態度は日本人の美点でもある。だがグローバル化した社会で、欧米人のように積極的な自分らしさをアピールしなくても大丈夫なのだろうか?
「それは難しいところですね。自己主張したほうが出世しやすいというデータがある一方、逆に出世が遅れるというデータもありますから。しかし文化は時代と共に変化します。日本人も一昔前に比べると積極的な人が増えていると言います。これは、海外生活を送ったことのある日本人が増えてきたことと関係があると考えられています」(内藤先生)
現在の日本人は過渡期にあるのかもしれない。控えめな態度を持ちつつも、必要に応じは積極的に自己主張ができるという、バランスの取れた国民性を日本人が持つ日も来るのかもしれない。
●専門家プロフィール:内藤 誼人
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。「アドラー心理の言葉」(ぱる出版)、「電車のハシに座る人は成功できない」(大和書房)他、著書多数。
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