 ジャン・ルイジ・フェリ  TEC−9 | 1993年7月3日、サンフランシスコのオフィスビル「101カリフォルニア・ストリート」での出来事である。 「101 California St, San Francisco, CA」 不動産業者のジャン・ルイジ・フェリ(55)がこの48階建のビルを訪れたのは午後2時57分のことだった。そのスーツの下には2挺のセミオートマチック銃(TEC−9)と45口径の拳銃(M1911)が隠されていた。彼が向かったのは34階にある「ペティット&マーテイン法律事務所」だった。そして、事務所に入るや否や、2挺のTEC−9を取り出して手当たり次第に発砲した。 その後、階段で階下に降りて、そこでも銃撃を繰り広げた。彼の狼藉は1時間ほど続いた。そして、29階まで降りたところで武装警官と鉢合わせた。彼は躊躇うことなく銃口を顎の下に押しつけて引き金を引いた。即死だった。8人が死亡し、6人が負傷する大惨事だった。 アレン・J・バーク(52) ジャック・バーマン(36) ドナルド・メリル(48) シャーリー・ムーサー(64) デボラ・フォーゲル(33) ジョディ・スポサト(30) デヴィッド・サトクリフ(30) ジョン・スカリー(28) さて、問題はその動機である。たしかに、ジャン・ルイジ・フェリは過去10年に渡って「ペティット&マーテイン法律事務所」の顧客だった。そして、近年は或る訴訟を巡って揉めていた。しかし、それが動機ならばこの法律事務所だけを襲えばいいわけで、どうして階下に降りて他の事務所も襲ったのだろうか? 解せない話だ。それほどに彼の怒りが激しかったということか? それとも精神を病んでいたのだろうか? (2011年2月11日/岸田裁月) |