ARM版Windows 10向けChrome移植にマイクロソフトが協力しているとのうわさ
Googleとマイクロソフト、クアルコムの3社が関わる大型プロジェクト?
ARM版Windows 10向けChromeの移植について、マイクロソフトが協力しているとの噂が報じられています。
ChromeはGoogleのWebブラウザであり、マイクロソフトの独自ブラウザEdgeとはシェアを争い合う対抗関係にあります。意外とも思える両社の協力ですが、実は様々な利害の一致があると推測されています。
現在のARM版Windows 10と、過去のARM版Microsoft WindowsであるWindows RTとの大きな違いは「従来のx86(32ビット)アプリがそのまま動作する」ということです。
これにより過去の莫大なソフト資産を活用できるアドバンテージが得られましたが、反面ではエミュレーション(異なるCPU向け機械語を変換して実行)を介しているため、処理速度を犠牲にしている面があります。要は「過去の32ビットWindowsアプリは動くが、遅い」わけです。
先日お伝えした「ARM版Windows 10向け開発ツールとSDKを正式リリース」とのニュースは、そうしたx86アプリをARMネイティブアプリ(そのCPUが解釈できる機械語で直接動作する)に再コンパイル可能となり、過去のソフト資産とスピードが両立できそうだという朗報でした。
そうした文脈のなかでトップシェアを誇るWebブラウザChromeのARMネイティブ移植が求められたわけですが、その作業に当たっているのがクアルコムです。ARM版Windows 10ノートPCに搭載されたSnapdragon 850等の開発元として、Chrome移植を進めていることが先月のAndroid Authorityにて報じられていました。
しかし、なぜかChromeとは対立関係にあるはずのマイクロソフトの技術者から、大量のコミットが寄せられていることが判明。マイクロソフトがARM版Windows 10向けChromeの開発に協力するといった方針は、公式には発表されていません。
米9to5Googleによれば、こうした貢献はマイクロソフトにとっても賢明な行いであるとのこと。たとえばSlackやマイクロソフトのVisual Studio CodeなどElectron(macOSやWindows、Linuxに対応したアプリを開発できるソフトウェアフレームワーク)ベースのものやNode.js(サーバサイドで動くjavaScript)といった現代的なアプリケーションは、Google Chromeに何らかの形で依存しているためとしています。
さらに、こうして作られたARM版Chromeは、Microsoftストアの現在のポリシー(Webブラウザに関する要件)を満たさず、ストアで配信されてEdgeを直接脅かすこともなさそうです。
最近のGoogleとマイクロソフトは、ChromebookやPixel SlateでWindows 10のデュアルブートをサポートするとの噂もあり、協力関係が推測されていました。今後も、両社の思わぬコラボが飛び出すかもしれません。