旧石器捏造が発覚したのが2000年のことですから、記憶されていない方も多いかと思いますが、76年から00年まで24年間に渡って日本の考古学は捏造に塗れました。
 
 民間団体、東北旧石器文化研究所副理事長の藤村新一氏が1人で行っていた捏造であり、不自然な点も指摘されていたのですが、日本人万歳のような社会の空気の中で不自然な点を指摘する声に世間が耳を傾けることはありませんでした。
 
 日本の旧石器時代は35000年以前には遡れないとされていたのが、藤村氏が次々と「新発見」をするので、5万年前、10万年前と見る間に年代が古くなって行き、ついには、35万年前の原人の墓や、50万年前の建物跡や、57万年前の石器埋納遺構や、ついには70万年前の石器の発見にまで至ったのです。

 どこの発掘現場でも、藤村氏が現れないといくら掘っても石器がでなくて、藤村氏が現れたらその日のうちに出る、藤村氏以外の人が石器を掘り当てても、藤村氏からそのあたりにありそうだと言われて掘ったら出てきたというものばかりでした。そのために石器掘り出しの名人、ゴットハンドなどと呼ばれて、発掘現場ではアマチュアの藤村氏に頼り切るような状態となりました。

 藤村氏は高卒で電気メーターの会社に勤めていたアマチュアで、掘り出した石器に関する論文も書けない人でしたが、この人がいないと石器が出ないので重用され、遂には東北旧石器文化研究所副理事長として給料を貰って石器の発掘ができる立場になり、大学教授並みに考古学の講演などにも呼ばれるようになります。

 この人しか掘り出せないという不自然さや、日本の旧石器時代が70万年前まで遡れるのか、原人に墓を作ったり、木造の建物を作ったり、石器を埋納する知恵があったのかといった疑問は当然ながら出て来ます。

 特に海外の研究者からは、当時の原人はホモ・エレクトスであるから墓、建物、埋納といった文化を持つことは無理だ、それとも57万年前に日本にだけホモ・サピエンスが棲息していたのかといった批判が出て来ます。

 その通りなのですが、日本の大発見に酔い痴れている人たちは、日本人は昔から優秀だったのだ、日本人であればホモ・エレクトスでもそれくらいのことは出来る、北京原人とは違うのだ言い出して、うっかり海外の研究者の指摘に同調すれば、日本の大発見を貶めて外国の研究者に迎合する輩という非難になってくるのです。

 現生人類とは種が違うホモ・エレクトスに、日本人も中国人もないはずなのですが、日本人は極めて優秀な民族であるという自画自賛をやる時代に世の中は突入していました。

 2000年の11月に毎日新聞が、藤村氏が石器を埋めているところの連続写真を報道して、捏造が世間に出ますがそのあとのことは明日の記事にします。

 
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