ノルマンディー上陸作戦が「竹島写真」に(KBSが放送=左。AP/AFLO=右)

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「歴史を忘れた民族に未来はない」──日本の戦争責任などを問う際に、韓国で繰り返されてきた言葉だ。だが、韓国では“歴史”が正しい史料に基づいて認識されていないのではないか。

 2015年1月にKBS(韓国の公共放送)が放送した教養番組『根深い未来』の予告編映像の画像を見ていただきたい。番組は第2次世界大戦後の竹島の歴史を紹介するもので、「独島を奪おうとした日本」というテロップとともに、旭日旗を掲げた日本軍が竹島を目指す様子を写している(写真左側)。だがこれは、1944年6月のノルマンディー上陸作戦時の写真(同右側)に、旭日旗を持つ日本兵と竹島を合成したものだった。

 放送したKBSは、韓国の地上波3大ネットワークの一角を占める公営放送局である。韓国メディアに詳しいジャーナリストの崔碩栄(チェソギョン)氏が解説する。

「同局は全国に支局網を有する韓国で最も歴史のあるテレビ局です。ニュースの信頼性も高いと評されている。そのKBSが『独島(竹島の韓国名)の歴史を紹介する』番組の予告編で〈独島を奪おうとした日本〉との字幕とともに繰り返し流したのが同写真です。

 目にした瞬間、“見たことがある写真だな”と感じ、調べると合成写真と判明しました。KBSに事実確認の問い合わせをすると、『番組を制作したのは外部のプロダクションなので、そちらに訊いてくれ』と逃げの回答に終始し、最後まで非は認めませんでした」

 崔氏によれば、「第2次世界大戦後、旧日本軍が旭日旗を掲げボートで侵略を試みたが、韓国の独島義勇兵によって撃退された」という合成写真で表現されている“歴史”が、韓国では国民に浸透しているという。

 もちろん、実際の歴史は全く違っている。竹島は1951年9月に締結されたサンフランシスコ講和条約で日本の領土であることが確認されている。しかし1952年1月、当時の李承晩・大統領が一方的に軍事境界線(李承晩ライン)を引き、竹島の領有を宣言。以降、韓国の不法占拠が続いている。

※週刊ポスト2018年11月30日号