何をするにしても、新しく始めるのは大変なことです。
うまく流れができ、次の世代に引き継がれ、やがて定着し、
当たり前の存在になれば言うことなし。
今週は、クラシック音楽にまつわる、さまざまな事柄に注目。
その起源をご紹介します。
クラシック音楽の華、「オーケストラ」。
18世紀後半から世界中で急激に増え、
現在ではプロからアマチュアまで
膨大な数のオーケストラが存在しています。
では、現存する中で一番最初に
設立されたのは、どこのオーケストラでしょうか?
ニールセン: 交響曲第4番「不滅」
/ パーヴォ・ベルグルンド指揮 デンマーク王立管弦楽団
お送りしたのは、デンマークの誇る作曲家
ニールセンの交響曲第4番「不滅」。
演奏しているのは、デンマーク王立管弦楽団です。
このオーケストラこそ、現存する世界最古のオーケストラ。
1448年創立と言いますから、なんと今年で670年!
ウィーン・フィルが1842年、
ベルリン・フィルが1882年創立ですので、
これらと比べても、どれほど古いかがわかりますよね。
もちろん、この頃はオーケストラというよりは、宮廷のラッパ隊。
18世紀に入り、オペラが盛んになるにつれ、
オーケストラとして形が整えられ、王立歌劇場での演奏と、
王宮でのコンサートを行うようになりました。
ニールセンは、若い頃このオーケストラの
第2ヴァイオリン奏者をしており、指揮台に立つこともありました。
デンマークの国民的な音楽家として、
デンマーク王立管弦楽団とはいい関係が続き、
結局ニールセンのオーケストラ作品は、
全曲この楽団が初演したそうです。
ちなみに18世紀の前半までは、
オーケストラは宮廷や音楽好きの貴族のお抱えで、
一般市民は耳にすることもできませんでした。
やがて社会の変革と、文化の成長で、
市民も音楽を楽しめるようになっていき、
1743年には、世界で初めて市民による
自主経営のオーケストラが誕生します。
それがライプツィヒのゲヴァントハウス管弦楽団。
メンデルスゾーンによって一流の楽団に成長し、
現在に至っています。
デンマーク王立管弦楽団も、このゲヴァントハウス管弦楽団も、
生い立ちは異なりますが、
どちらも世界最初のオーケストラといえるのではないでしょうか。
幼少より音楽の才能を認められ、ヨーロッパ、アメリカ、東南アジ ア諸国への演奏旅行に参加し、絶賛を博す。
桐朋学園大学ピアノ科に入学と同時にデビュー。
年間60本を超えるコンサートで、全国各地を訪れる傍ら、ライフワークとして「学校コンサート」や「病院コンサート」も行っている。