プロフェッショナル 仕事の流儀「生きづらい、あなたへ~脚本家・坂元裕二~」 高橋一生、満島ひかり…
出典:『プロフェッショナル 仕事の流儀「生きづらい、あなたへ~脚本家・坂元裕二~」』の番組情報(EPGから引用)
プロフェッショナル 仕事の流儀「生きづらい、あなたへ~脚本家・坂元裕二~」[解][字]
『最高の離婚』『カルテット』、数多のヒットドラマを手がける脚本家、坂元裕二。今回、初めて密着取材が許された。心揺さぶる物語が生まれる秘密。半年間の苦闘の記録。
詳細情報
番組内容
『最高の離婚』『カルテット』など、名だたるヒットドラマを手がける脚本家、坂元裕二(51)。今回、「最初で最後」という脚本作りの現場に密着取材が許された。カメラがとらえたのは、物語を作る上での数々のこだわり。3月に連続ドラマの執筆を休止すると宣言して以来、坂元は舞台脚本という制約の多いフィールドを選び、過去の自分を超えたいと、苦闘していた。心揺さぶる物語が生まれる秘密とは。半年間にわたる魂の記録!
出演者
【出演】脚本家…坂元裕二,高橋一生,満島ひかり,【語り】橋本さとし,貫地谷しほり
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その男の頭の中を覗いてみたいと思った。
この男 脚本家。
生み出すセリフは 鋭く生々しい。
離婚は最悪な結果じゃないと思います。
はあ… 最悪でしょ。
最悪なのは離婚じゃなくて…
仮面夫婦ですよね。
はあ~っ! あなたが殺した!
描くのは 犯罪加害者の家族や
育児放棄など
連続ドラマでは希有な 難しいテーマ。
泣きながらご飯 食べたことある人は
生きていけます。
逆境で生きる人間の切なさや
たくましさを深く掘り下げ
日本中を魅了してきた。
大の人見知り。
これまで テレビ出演は一切断り
その素顔は謎に包まれてきた。
日本を代表する脚本家。
ずっりぃな!
若干23歳で ドラマ
「東京ラブストーリー」の脚本を執筆。
一躍 脚光を浴びたが
作品を愛せなかった。
3月 坂元は突然 テレビドラマの
脚本作りに ピリオドを打った。
その陰で始まっていた苦闘。
孤高の脚本家 思索の記録。
撮影初日。
妻と子どもと3人暮らしの坂元だが
365日 この仕事場に来ては 一日を過ごす。
ディレクターが一人で来ることを条件に
密着取材が許された。
この2か月前 坂元は テレビドラマの
執筆を休止すると発表していた。
環境を変え 経験したことのない
舞台の脚本に挑むという。
だが…。
この2か月 ずっと物語の種を探していた。
ようやく この日
坂元がパソコンに向かった。
舞台の脚本は連続ドラマと比べ
役者の人数や場面転換が限られるなど
表現の制約が多い。
まず 登場人物の人となりを考え始めた。
生い立ちや性格だけでない。
その人物が
家族の どういうしぐさを好きだったか
恋人と どうつきあってきたか。
脚本には反映されないような関係性まで
緻密に描き込んでいく。
書き始めてから1週間。
主人公の人物像が浮かび上がってきた。
自分の意思とは裏腹に衝動を抑えられず
やってはいけないことをしてしまう。
普通でないことに戸惑い
生きることに苦しんでいる。
坂元が物語を生み出すとき
大切にしていることがある。
話しかけないでって言ってるでしょ!
代表作の一つ 「Mother」で描いたのは
育児に行き詰まり
娘を虐待してしまう母親。
私と深見さんは 加害者と…。
そんなの もうどうでもいいだろ!
死ぬとか言うなよ!
「それでも、生きてゆく」では
後ろ指を指されて生きる
犯罪者の家族を主人公にした。
音楽で食べていきたいって言うけど
もう 答え出てると思うんですよね。
「カルテット」で描いたのも
いい年して夢を諦められずにいる
二流の音楽家たちだった。
坂元は この日
東京の郊外へ向かっていた。
舞台の設定を
小さなガソリンスタンドにするという。
思いがけないことを語りだした。
実は今回
これまで一度も書いてこなかった
自分の家族をモチーフにするという。
坂元は
自動車の整備工場を営む両親のもと
3人兄弟の長男として育った。
中でも 年の離れた弟に対し
長年 抱え込んできた
複雑な思いがあるという。
踏み込むことを避けてきた家族の記憶。
向き合うことで
新たな境地を開こうとしていた。
坂元さんの脚本の特徴。
それは 長いときは
10分以上に及ぶ会話劇だ。
君たち 何してるのですか?
から揚げ 食べるのですが。
例えば 「カルテット」でのワンシーン。
今 君たち 何でから揚げにレモンしたの?
(すずめ)何で? から揚げはレモン…。
人それぞれ。
ん?
人それぞれ。
から揚げをめぐる やり取りだけで
登場人物4人の個性や感情が
自然と浮き上がってくる。
かけた方がおいしいですよ。
まず カリカリ度が減るよ。
かけた方が健康にいいですし…。
から揚げ食べるって時点で健康のことは
一旦 脇に置いてあるじゃないか。
かけた方がおいしいじゃないか。
違う 違う 違うよ。
僕が言いたいのは…。
レモンぐらいで
怒らなくていいじゃないか。
別府君 から揚げは洗える?
洗えません。
レモンするってことはさ 不可逆なんだよ。
不可逆…。
二度と元には戻れない。
すいません。
いかにして直接的な表現を用いずに
人物の個性や感情を伝えるか。
こう 紙に「スキです」って書いても
スキですっていうのは
伝わらないんですよね。
坂元さんは 何気ない会話や
ささいな しぐさなど
日常を徹底的に書き込む。
ナポリタン 危険です。
いただきます。
いただきます。
だからこそ
坂元さんが大切にしていること。
どんなに忙しくても
毎朝5時に台所に立ち
娘の弁当を作る。
妻と交代で 12年間
一日も休まず続けてきた。
日常へと立ち返る時間が
感情を揺さぶる物語を生み出している。
取材が始まってから1か月。
坂元は プロットと呼ばれる
物語の骨組みを作る作業に
取りかかっていた。
自分の意思とは裏腹に
やってはいけないことをしてしまう
主人公の近杉は
小さなガソリンスタンドを経営している。
そこに 異母兄弟で教師の兄が
訪ねてくることから物語は始まる。
兄は ふとしたことから
ガソリンスタンドの地下に埋められた
父の死体を見つけてしまう。
その死に疑問を抱く兄に対し
近杉が理由を明かす場面。
坂元は書けずにいた。
なぜ 父親は死んだのか。
坂元は 衝動に逆らうことのできない弟が
父親を殺してしまったと考えた。
だが 殺そうとしたものの
実は殺していないというほうが
意外性があり 興味をかきたてる。
何度も 消しては書き直す。
いつも難しいテーマを扱い
社会派と言われることも多い坂元。
だが 脚本を書くとき
テーマや劇的な展開ありきで
物語を作ることは ないという。
丸一日 考え 坂元は
主人公の近杉が父親を殺したと書いた。
この日 坂元さんは奈良の実家を訪ねた。
母の清美さんが見せてくれたのは
坂元さんが小学生のころに書いたノート。
物語を空想し それを書くのが
大好きな子どもだったという。
(坂元)「ユニークな日記だ。
なんとなく話している二人のことばが
文章になっています」。
脚本を通し 生きづらさを抱える人たちの
背中を押したいという坂元さん。
だが 若き日の作風は
今とは全く違うものだった。
坂元さんは高校卒業後
フリーターをしながら
脚本家を目指していた。
19歳のとき 応募したテレビ局の
シナリオコンクールで大賞を受賞。
すぐに上京し
テレビ局のアシスタントをしながら
脚本の腕を磨いた。
そして 23歳で あの大ヒット作
「東京ラブストーリー」を世に送り出す。
もう リカとやっていく自信ない。
「放送日にはOLが街から消える」
と言われ
最高視聴率 32%の記録を打ちたてた。
一躍 テレビドラマ界の寵児となった
坂元さんには
ラブストーリーを書いてほしいという
依頼が殺到。
トレンディドラマの名手と
言われるようになった。
だが その声に一番 戸惑っていたのは
坂元さんだった。
自分は 何がしたくて
この仕事をしているのか。
27歳のとき
坂元さんはテレビ業界を去る。
違う経験を積みたいと企画を売り込み
映画監督に挑んだ。
愛と死をめぐる難解な物語を書いたが
評価は厳しく 失敗に終わった。
ならばと 32歳のときに自宅に籠もり
小説を書き始めた。
だが 3年間 書き続けたものの
物語を完成させることすらできなかった。
生活のため
再びテレビの現場に戻った坂元さん。
原作がある作品の脚本や
海外でヒットしたドラマの
リメイクを請け負った。
書きたいものが見えないまま
8年の歳月が過ぎていった。
転機が訪れたのは35歳のとき
娘が誕生した。
共働きの妻は仕事で家を空けざるをえず
一人で娘の面倒を見る時間が長かった。
自宅で執筆をしながらの子育ては
想像以上に大変だった。
だが その中で坂元さんは
あることに気付いていく。
そして43歳。
坂元さんは子育ての経験をもとに
一本のオリジナルドラマを書き上げた。
怜南も連れてって~!
育児放棄された女の子と
その子を救うため
誘拐犯になることを決意する女性教師の
心の軌跡を描いた物語。
私 あなたを誘拐しようと思う。
ママ!
放送が始まると思わぬ声が届いた。
汚い!
坂元さんは 完成していた
第8話のストーリーを白紙にし
育児放棄をした
脇役の母親の人生を書くと決めた。
ママが一生 大事にしてあげるからね。
娘を愛していた母親が
なぜ虐待に至ってしまったのか。
みんな来るけど ひとみは無理でしょ?
うん…。
ねえ! ちょっと遅くなってもいいかな?
いっときでも子育てから
解放されたいという母親の思いや
逃れられない現実。
ママ… おなか気持ち悪くなってきた。
えっ?
自らの子育ての日々を思いながら
無心で書いた。
放送後…
…など 大きな反響があった。
ついに 坂元さんの中で 道が見えた。
たとえ それほど視聴率は取れず
シリアスで暗いと言われようと
生きづらさを抱える人たちのことを
丁寧に描く。
一人でも救われる人がいればいい。
16年の回り道を経て見つけた
自分が脚本を書く理由だ。
坂元はプロットを終え
本格的な脚本の執筆に取りかかっていた。
ひと言ずつ 登場人物のセリフを
つぶやきながら書き進める。
表現の制約が多い舞台に
あえて飛び込み
新たな作風や境地を生み出したいと
考えての挑戦。
しかし その道筋は全く見えていなかった。
そのまま ひと月が過ぎてしまった。
自分の意思とは裏腹に
やってはいけないことをしてしまう
主人公の近杉と異母兄弟の兄。
長い間 弟に心を開けず
ぎこちなさを抱えてきた自分。
兄としての深い後悔を どう表現するか。
だが セリフが全く立ち上がってこない。
書いてはみるものの
違和感だけが増していく。
1か月後に迫った舞台の稽古。
中止さえも頭をよぎる。
♬~(室内BGM)
突然 坂元が音楽のボリュームを上げた。
おもむろに紙を取り出し 線を引く。
登場人物たちの関係性を 一から見直す。
彼らは どんな状況で出会い
何を話すだろうか。
その会話で 主人公は何を思い
その心の動きは
相手をどう動かすことになるのか。
頭の中で繰り返す
無数のシミュレーション。
一枚の紙が残った。
坂元の中で 登場人物が動きだした。
あふれ出る声。
坂元は登場人物の設定に
大きな変更を加えていた。
主人公の兄の職業を
中学校の教師から小説家にした。
自分と同じ職業に引き寄せた。
そして 執筆に取りかかって3か月。
9月下旬 舞台が開幕した。
普通の人は 自分が怖いときは
どうしますか?
衝動を抑えることのできない主人公は
その衝動ゆえに父を殺してしまう。
怖い… 怖いよ お兄ちゃん。
殺して…。
兄は その事実を告白されるが
逃げ出してしまう。
ごめんなさい ごめんなさいね
お邪魔しました。
弟が ガソリンをかぶり
火をつけようとした そのとき。
お~い お~い!
お~い! おい! しっかりしろ!
お兄ちゃん 来たよ!
お兄ちゃん 来たから
もう大丈夫
お兄ちゃんの言うとおりにしろ。
弟を抱きかかえ 小説家の兄は
共に苦しみと向き合うことを選ぶ。
お前 字 書ける?
書けるなら 今日から頭に浮かんだこと
全部 ノートに書き留めな。
やっちゃったらダメなこと
人に迷惑かけそうになったとき
そういうの書いて そこに全部
全部そこに書いて 小説みたいにする。
俺は ずっとそうしてきたし
お前にもできるよ。
そのセリフは
弟への思いがあふれ出たものだった。
♬~(主題歌)
うん そう… 書く 書く。
なあ 何が「心の病」だよな。
人間が心なんかに負けるかよ。
生きづらさを抱えるあなたへ。
坂元は この先
どんな物語を届けてくれるだろうか。
才能とか そんなのって
あんまり当てにならないし
何か ひらめくっていうことも
当てにならないし…。
そういうときに
本当に書かせてくれるのは
その人がふだん 生活してる中から
出てくる美意識とか
自分が世界と ちゃんと
触れ合っていないと生まれないから
やっぱり パソコンに向かってるだけとか
飲んでるだけとか
そういうことじゃ生まれないと思います。
♬~
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