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【社説】

<IT強国 中国で考える>(4) ネット駆使し世論誘導

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 北京にある中国共産党の機関紙、人民日報本社。ネット部門である人民網では巨大スクリーンがある会議室に通された=写真。そこには記事の企画から編集、配信まで一括管理する「中央厨房(ちゅうぼう)」と呼ばれる最新型システムが備えられている。

 画面に黄色の丸が浮かぶ。地域別のアクセス数だ。記事別のコメント内容や「いいね」ボタンの数などを刻々と表示する。担当者は「データは自動的に解析される。世論をどう誘導するか決める材料として使う」と話す。

 中国のスマホ利用者は約八億人。新聞がネット対策を加速させるのは政府の方針だ。デジタル技術を駆使して、国民の動向を探る戦略だ。

 浙江省杭州の地元紙、浙江日報のネット読者は三千万人だという。編集方針を決める委員会メンバーの郭慶(グオチン)氏は「メディアが強くなるためには経営強化が必要だ」と力説。IT分野への設備投資には資金力が欠かせない。国は各メディアに自前で稼ぐよう求めているようだ。彼は「グループ企業がゲーム会社を買収した」と明かした。ネットを使う若い読者へのPR効果を期待しているとみられる。

 深センの地元紙、深セン新聞のネット部門。平均年齢二十九歳と若い記者たちは、おそろいの茶色のベストを着込みハンディーカメラを持ち取材に走る。

 藍岸(ランアン)編集長は「今、動画配信に力を入れている」と話す。市のレストランへの抜き打ち検査に記者が同行。衛生面などで厳しい指導を受けている光景を配信する番組が大人気だという。

 中国のメディアは国の検閲を受けている。しかし、単に記事を制限しているだけではない。記事への反応を通じ世論を丹念に分析し、民意を探ろうとしている。この背景には民への畏怖の念があるからだと思う。民意を測る道具として、一括管理できるITは便利なはずだ。

 報道の自由がある国々からみれば、メディアを巧みに制御しながら民意をくむ異質な手法に映る。

 

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