朝鮮日報

【社説】景気悪化の韓国、来年以降さらに強まるリストラの嵐

 景気悪化が続く中、来年の最低賃金10.9%追加引き上げを前に、韓国の中小企業などではリストラの嵐が本格化している。今年の7-9月期に中小企業などを退職した失業手当受給者はすでに49万人を上回っているが、これは1年前の同じ時期に比べて7.5%も多く、統計を取り始めてから最大の増加幅だ。人件費を減らさないと廃業するしかない企業がまずは熟練度の低い若い従業員から人員の整理を進めているからだ。中小企業だけではない。LGディスプレー、大宇建設、未来アセット生命、現代カードといった大手企業も希望退職を募るやり方で人員の整理を進めている。今雇用の現場では20年前のアジア通貨危機、あるいは10年前のリーマン・ショックと同じレベルの大量失業に対する危機感が高まっている。かつて経済副首相を務めたある政治家は「今の経済危機はこれから大量失業という形で表れてくるだろう」と警告したが、これが現実となりつつあるのだ。

 雇用が減少する根本的な原因は経済の低成長だ。昨年韓国の経済成長率は3%台を記録したが、今これに急ブレーキがかかり今年は2%台の真ん中か前半にまで落ち込む見通しだ。ここ1年半の間に政府が成長よりも分配、経済の活性化よりも経済の民主化に力を入れる政策を進めたことが大きく影響しており、さらに政府は大企業の収益を半強制的に中小企業に配分する法律の制定まで進めている。市場経済を採用する国では想像もできない事態だが、同じような状況は他にも次々と起こっている。労働者寄りで反企業的な政策によって企業や自営業者、さらに一般家庭の不安が高まり、影響で経済心理が萎縮し、これが大量リストラにつながる悪の循環が今目前に迫っているのだ。

 米国や日本では韓国とは逆に人手不足が深刻な問題になっているが、これは規制を緩和し法人税を引き下げるなど政府がリーダーシップを取って成長戦略を進めてきたからだ。これに対して韓国では成長戦略のようなものは見当たらず、あるとすれば税金を取り上げる戦略ばかりだ。影響で消え去った雇用を埋め合わせるため、今では「大学で無人の講義室の電気を消す」といったアルバイト、いわば偽の雇用ばかりが増え、これによって政府は失業率をごまかし国民を欺こうとしている。企業が新たなビジネスを積極的に行い、経済が成長すれば良質な雇用は自然に増えてくる。今の雇用悪化は経済成長を放棄し、企業を敵対視する国で現れてくる典型的なパターンだ。

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