ところが韓国大統領府(青瓦台)の報道官は、ニューヨーク・タイムズ紙の報道について「既に韓米情報当局が把握していた内容で、新しいものではない」とし「北朝鮮が東倉里ミサイル基地のほかに、別のミサイル基地を廃棄すると約束したことはない」と発言した。北朝鮮の報道官も、これと全く同じことを言っただろう。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は今年9月、米国FOXニュースのインタビューで「東倉里ミサイル試験場が廃棄されれば、北朝鮮は二度とミサイルを試射する挑発はできなくなる」と語っていた。韓国政府も北朝鮮のミサイル基地のことを知っていたのに、文大統領はミサイルの脅威が全て消えるかのように語ったのか。北朝鮮がだましたのでないなら、韓国の大統領がだましたことになる。
ニューヨーク・タイムズ紙は「休戦ラインに最も近い黄海道黄州のサッカンモル秘密基地は、ソウルからわずか135キロしか離れていない」と懸念を示した。大統領府の報道官は「サッカンモル基地のミサイルは短距離のスカッド・ミサイルで、大陸間弾道ミサイル(ICBM)とは関係ない」と発言した。米国人に向けて飛んでいくミサイルが心配で、韓国人に飛んでくるミサイルは関係ないという言葉に聞こえる。韓国人は、北朝鮮の核ミサイルの脅威にさらされて生きてもいいのか。これが大統領府報道官の口から出てもいい言葉なのか。北のミサイル基地運用が明らかになったのに、その攻撃対象たる韓国の政府が身を乗り出して弁護してやっている。この光景を、国際社会はどういう目で眺めるだろうか。