ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫
<< 前の話 次の話 >>

130 / 133
 SEISAI──それはナザリックNPC全ての願望である

 七つのクラスに別れたサーヴァント達が互いに戦う話

 


Alince/stay night

 ナザリック地下大墳墓 第二階層〈死蝋玄室〉─珍しくマーレがキョロキョロしながら入って来ました。

 

「マーレ様。ありんすちゃん様は留守にされていらっしゃいます」

 

 シモベのヴァンパイア・ブライドが答えます。

 

「え? そ、そうなの? あの……ぼ、僕、ありんすちゃんに呼ばれたんだけど……」

 

 うーん。たぶんありんすちゃん、忘れていますよね?

 

「……では、中でお待ちになりますか?」

 

 ヴァンパイア・ブライドに招き入れられてマーレは室内で待つ事にしました。

 

「……おや? 本……かな? えっと……ファテ スタイ ニフト……?」

 

 背表紙にはFate/stay nightと書かれてありました。マーレはラテン語の読み方をしたみたいですね。

 

「魔法書、みたいだね。えっと……告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ──!」

 

 突然、天井を壊して赤いフルアーマーを着たありんすちゃんが落ちて来ました。

 

「──えええええー!」

 

 驚くマーレにありんすちゃんが訊ねました。

 

「ちょおう。マーレがありんちゅちゃのマシュターでありんちゅか?」

 

 マーレにはありんすちゃんが何を言っているかわかりませんでした。マーレがポカンとしているとありんすちゃんが怒り出しました。

 

「マーレはちゅかえないでありんちゅ。ダメダメでありんちゅ」

 

 ありんすちゃんはスポイトランスをブンブン振りながら宣言しました。

 

「これからナジャリックSEISAI争奪戦の始まりでありんちゅ」

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 ナザリックSEISAI争奪戦とは──ナザリックNPC全ての願望であるSEISAI。それを叶えるという万能の器を巡り七体のサーヴァントが戦いを繰り広げるというもの──

 

 で、ありんすちゃんはスポイトランスを持っているのでランサーのサーヴァントなんですって。今までありんすちゃんは他のメンバーとクラスの割り振りをしていたそうです。

 

 ちなみに他のサーヴァントはライダーにアウラ、セイバーにコキュートス、キャスターにナーベラル、アサシンにソリュシャン、アーチャーにシズ、最後のバーサーカーにアルベドですって。

 

 ありんすちゃんの説明を聞いてマーレがモジモジしだしました。

 

「……あ、あの……ぼ、僕も参加したいな」

 

 ありんすちゃんはナーベラルの代わりにマーレをキャスターで参加させる事にしました。

 

 そしてありんすちゃんはマーレと一緒にコキュートスを討つ事にしました。

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 ありんすちゃんとマーレは第五階層にやって来ました。

 

「コキュトシュ! 観念しるでありんちゅ」

 

 ありんすちゃんがスポイトランスを構えて走り出します。と、途端に雪の中に作られた落とし穴に落ちて動けなくなります。

 

「フフフフフ。アリンスチャンヨ。ソンナ事デハ私ヲ倒ス事ハ出来ナイナ」

 

 ありんすちゃんをコキュートスが見下ろしました。

 

 ありんすちゃんは全く身動き出来ません。危うし!

 

「……こ、コキュートスさん、しょ、勝負です!」

 

 マーレが杖を構えます。

 

「……フム。マーレカ。相手ニトッテ不足ハナイ。イクゾ!」

 

 マーレがいきなり超位魔法を放ちます。コキュートスは四本の腕に得物を装備して迎え撃ちます。激しい戦いの末──マーレ、コキュートス、相討ちとなり脱落──残りは五名になりました。

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 ナザリック地下大墳墓 第六階層──

 

「卑怯だ。二対一では?」

 

「あたしはライダーだからねー。別にシモベに乗らなければならないって決まりはないよ?」

 

「そうっすよ。シズちゃんには悪いっすけど、勝たせてもらうっす」

 

 巨大な狼に騎乗したアウラがシズを追い詰めます。

 

「やーらーれーたー!」

 

 シズが脱落して残りは四名になりました。

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 ナザリック地下大墳墓 第十階層──

 

 優勝候補のアルベドは余裕綽々です。そこに先程シズを下したアウラが狼──ルプスレギナに跨がって襲いかかりました。

 

 アルベドはすぐさま宝具──ギンヌンガガプを発動させ、アウラ達の動きを止めます。さらに返す刀で忍び寄ってきていたソリュシャンも返り討ちにしました。

 

「SEISAI──アインズ様の正妻の座はわたくしのもの──」

 

 アウラとソリュシャンが脱落して残りは二名になりました。

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

「ふふふふふ……このSEISAI戦争は俺が勝たせて貰うぞ。悪いな、アルベド!」

 

 突然現れた金色のアーチャーによってアルベドが倒されました。なんと前回のSEISAI争奪戦で参加していたペロロンチーノでした。

 

 ペロロンチーノは宝具──ゲート・オブ・エロゲーを展開します。これはあらゆるメーカー、ブランドのエロゲーが収蔵されている恐るべき宝具でした。

 

「さあ、もう準備が出来た。聖杯よ! その姿を現せ!」

 

 ペロロンチーノの呼び掛けに答えるように、ナザリック地下大墳墓 第十階層の玉座の間に巨大な聖杯が出現しました。その聖杯の中には黒いドロドロしたものが溢れだそうとしていました。

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 ナザリック地下大墳墓 第五階層──

 

 その頃、ようやくありんすちゃんは落とし穴からはい上がる事が出来ました。

 

「コキュトシュ、勝負でありんちゅ! ……………コキュトシュ?」

 

 なんと既にコキュートスとマーレは脱落した後でした。

 

 そう、残っているサーヴァントはありんすちゃんとペロロンチーノの二人だけになっていたのです。

 

 ありんすちゃんは玉座の間でペロロンチーノに相対します。

 

「ペロロンチーノちゃま……」

 

「……お、シャルティアか? うーん……俺、ロリコンだけど幼女趣味は無いんだわ。パス」

 

 そんなペロロンチーノに天罰が下ります。

 

「くおら! 弟! エロゲーを積むほど買ってくるなって言ってんだろ!」

 

 ペロロンチーノは突然現れたピンク色のなにかに拐われてしまいました。

 

「ありんちゅちゃが正妻でありんちゅ!」

 

 ありんすちゃんは聖杯に手を伸ばしました。すると聖杯がひっくり返り、中身の黒いものが溢れました。

 

「……あれ? 寝てたのかな? 仕事で疲れていたからかな」

 

 黒いものは背伸びをしました。なんと聖杯の中身はヘロヘロでした。

 

「ありんちゅちゃが優勝でありんちゅ」

 

 ありんすちゃんは空っぽになった聖杯を持って嬉しそうです。うーん……たぶん優勝カップだと思っていますよ? きっと。

 

 仕方ありませんよね。だって、ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。




ありんすちゃんの絵に文字を加えました
【挿絵表示】


 ───巨乳はパッドで出来ている。

 血潮は好物で、頭は空っぽ。
 幾たびの任務を重ねて失敗。
 ただの一度も成功はなく、
ただのシモベにも尊敬されない。
 彼の者は目が据わり バーのカウンターで泪酒に酔う。

 後に、しょうがなく椅子にされ。
 その胸はパッド三枚で出来ていた。


 Alince/stay night







※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。