ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
<< 前の話 次の話 >>
ナザリック地下大墳墓 第九階層 アインズ執務室──今日もアインズとアルベドの二人が魔導国の運営についての打ち合わせをしています。
と、唐突にありんすちゃんがアインズの膝の上に現れました。
眠そうに目をこすっていますからまだ寝ぼけているみたいですね。
ありんすちゃんはネグリジェ姿で片手にウサギのぬいぐるみ、反対の手にはタオルケットを持っています。
ボンヤリとアインズの顔を眺めていたありんすちゃんは──
「アインジュちゃま……おちんちん、ほちいでありんちゅ」
「──な?」
驚愕のあまり固まるアインズ。
「──ダメです! アインズ様の…………はこのわたくしのものよ! ありんすちゃん、貴女は子供だと思ってつい油断していたけれど、やっぱりシャルティアなんだわ。……いいえ、かの至高の御方の中でも要注意人物だったペロロンチーノ様が作られた存在──」
冷静になったアインズは興奮するアルベドを制してやさしくありんすちゃんに尋ねました。
「……うむ。ありんすちゃんよ。なぜ私のおちんちんが欲しいのかね?」
ありんすちゃんはアインズの顔をキョトンと見つめます。
「……アインジュちゃまはおちんちんあるでありんちゅか?」
今度はアインズがキョトンとしました。
「……うん? それは……無い……うむ。無いな」
アルベドは少しだけ哀しそうでした。
「……ありんちゅちゃ、おちんちんほちいでありんちゅ!」
「うん? すると……ありんすちゃんは男になりたいのかね?」
「なりたいでありんちゅ! ありんちゅちゃはたちしょん、しるでありんちゅ!」
と、いきなりアルベドが顔を上げました。
「アインズ様! このありんすちゃんの願いは是非ともかなえてあげるのがよろしいかと……いえ……叶えなくてはなりません」
(かつてシャルティアはわたくしとアインズ様の正妻の座を争った、いわばライバル。子供になったとはいえ正妻争いから脱落するに越した事はないわ。それにもし……もしもアインズ様に…………が生えるならば……このわたくしはアインズ様のお子を授かる事も夢ではなくなるのだし……)
アルベドの強い後押しもあり、結局アインズは〈星に願いを〉を使いありんすちゃんにおちんちんを生やす事にしました。
※ ※ ※
アインズが高々と〈シューティングスター〉を掲げます。
「
ありんすちゃんの体が光に包まれました。そして──
ニョキニョキ……ありんすちゃんにおにんにんが生えてきました。
ありんすちゃんは大喜び。早速第六階層に駆けていきました。
※ ※ ※
ありんすちゃんは第六階層に着くとザイトルクワエの所に行きました。
「……君は誰だい? 見たような見たことないような……ああ……いったいなにを?」
ザイトルクワエの根元にジョウロで水をかけていたドライアドのピニスンは慌てました。
ありんすちゃんはお構いなしにザイトルクワエの側に立つとスカートをまくりあげました。
──ジョロジョロジョロジョロ……
ありんすちゃんは念願だったタチションなるものが出来て大満足です。
──ジョロジョロジョロジョロジョロジョロジョロジョロ……
静まり返る第六階層に水の音がいつまでも続くのでした。
※ ※ ※
ありんすちゃんはベッドの中で目を開きました。第二階層の〈屍蝋玄室〉のありんすちゃんのベッドの中です。
回りを見回しますがザイトルクワエもピニスンもいません。
ありんすちゃんはお尻がヒンヤリしていたので布団をめくってみました。
なんという事でしょう! ありんすちゃんはビショビショのシーツの上に座っていました。ありんすちゃん……これはおねしょ──
「まちゃ水をこぼしちゃでありんちゅ。水でありんちゅ。ぜたいにぜーたいに水であ・り・ん・ちゅ!」
ありんすちゃん顔を真っ赤にしながら強い口調で断言するのでした。……うーん。
まあ、本人が断言するのですからおねしょではないのでしょう。……たぶん。……いや、きっと……
ありんすちゃんは慣れた動作で濡れたシーツをクルクルっと丸めます。
「〈グレーターテレポーテーチョン〉でありんちゅ!」
ありんすちゃんが魔法を唱えるとあら不思議……乾いたシーツにかわっていました。
このシーツ……やたらとハートマークだらけの生地であまりセンスがなさそうですが……
ありんすちゃんはハート柄のシーツを敷き直すとまたスヤスヤと寝はじめるのでした。
※ ※ ※
「……これは……まさか……いや、そんなはずは……」
ヒンヤリとした感触にイビルアイは思わず起き上がりました。
ハート柄のパジャマの下半身が濡れています。
(……ありえない。まさか……これは……いや……既に二百年以上もしていないのに……まさか……これは……おねしょをしたというのか?)
イビルアイはハートマークだらけの枕をギュッと抱きしめました。
「……よう。イビルアイ、もう起きているんだろ? しかしよ、マイシーツにマイ枕でないと眠れないなんて贅沢だな。この宿屋のベッドだって充分に──ん?」
騒がしく入ってきたガガーランは急に黙りました。ベッドに座り込んで枕を抱きしめたイビルアイのオドオドした顔を眺め──イビルアイの座っている辺りにひろがったシーツのシミを眺めてニヤリと笑いかけました。
「……ああ……なるほど。それで自分のシーツを……ね」
「いや、違う! 違うんだ! こ、これは……」
イビルアイは必死に否定しましたが……
その後しばらくイビルアイはガガーランから『チビるアイ』とからかわれたそうです。
もちろんありんすちゃんはそんな事は知りませんでしたが……仕方ありませんよね。だって、ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。