スウェーデンの中国人差別が激化
少し前から、スウェーデンでの「中国人差別」が、国際問題化し、おおごとになっている。ある程度の動きを見てから、記事にしようかと、思っていたところだった。
欧米での「中国人差別」は、なぜ、われわれにとって「他人ごと」ではなく、「重大な自分ごと」であるのか、まずは、それを、理解しなければならない。
- 北東アジアの人口のほとんどは、中国人なのだから、中国人への評価は、北東アジア全体への評価とイコールである→日本人への扱いにも、直結する。
- 欧米人は、見た目では、日中韓の判別はできない。言葉でも、できない。
だから、中国人が「襲われる」となったら、われわれも襲われる→4年前のベトナム暴動の際でも、日中韓のすべての企業が対象になった。ベトナムの人ですら、区別はつかない。 - われわれは、自分たちのためには、中国人差別を傍観していてはならない。
ことの経緯
- スウェーデンのTV局が、中国人をバカにして、笑い者にするような、非常に差別的な番組を放送した。
- 当然、中国のネット民のみなさん(ネチズンと呼ばれる)は、激怒し、炎上。
- 中国大使館は、TV局に正式に抗議し、謝罪を求めた。
Chinese Embassy in Sweden condemns racist TV show - Global Times - 番組の制作側は、人種差別ではなかった、風刺だったというふうに、形だけの謝罪をしてきた。
- 中国大使館は、謝罪が誠意がないとして、謝罪を受け入れないとした。
Chinese Embassy rejects Swedish TV station’s apology - Global Times - 番組の制作側は、再度、人種差別ではなかったという、誠意のない謝罪をしてきた。
- 中国大使館は、再度謝罪を拒絶し、誠意のある謝罪を求めるとした。
China embassy rejects insincere apology for offensive Swedish TV show - People's Daily Online - 今ここ
番組では、中国人を模したイラストに、路上で大便をするなという、漢字入りのマークを作って見せただけではなく、台湾が入っていない中国の地図を見せたらしい。
これは、絶対にシャレではない。
こっちが「差別だ」と思ったときに、「シャレだよ」「文化の違いだ」と言って、逃れようとするのは、欧州人の常套手段なのである。
スウェ-デン事情
スウェーデンは、今、中東からの移民の関係で、モメていて、国内事情は、いろいろと大変なことになっている。犯罪率が上がっていて、政変もある。国内の不満が、高まっている。
が、彼らは、イスラム教徒なので、それをやると、フランスのシャルリー・エブド事件の例があるから、怖くてできない。
だから、その代わりに、最近目立ってきた中国人観光客を叩いた、というのが、真相かもしれない。
あとは、スウェーデンでは、人種差別を認めると、刑務所に入らねばならないらしいので、どうしても「差別的な番組でした」というふうには、認めることができない、という事情も、あるようである。
毅然とすることができる中国大使館と、ウチとの差
ともかく、中国大使館は、毅然として、2回も謝罪をはねのけた。これについて、私たちは、「立場の違い」というものを、ひしひしと、知るべきなのである。
日本大使館が、自国民への差別に対して、欧州で、こういうことができるかといったら、絶対にできない。
そして、中国大使館は、数年前のドイツでの留学生殺害事件の際にも、事件がもみ消されそうになったときに、ちゃんと捜査をしろと言って、圧力をかけている。
こういうことも、日本大使館は、絶対にできないだろう。
なにしろ、中国の立場というのは、もはや、ウチとは、ぜんぜん違うのである。
そのことを、理解しよう。
運命共同体である
そして、互いに見た目が変わらず、古くから文化を共有する「北東アジアの仲間」として、共通のリスクを排除するために、団結していくというのが、日本人にとって、最も正しい、そして賢い方法であると、私は、思っている。「こういうとき」に、一緒になって、「冗談じゃないぞ」「こっちにも関係があるんだから」と言うような日本人が、1人でも2人でも、中国の人たちの「中」に、混じっているかいないかということは、非常に重要なのである。こういうことが、あとあと、モノを言うのである。
私たちのほとんどは、国際オンチだけど、こういうことは、「一緒になって、抗議しておいたらいいんだな」と思っておけば、間違いない。
重要なことは、「日本人だ」ということを、はっきり言うこと、そして、中国人が差別されるという場合には、自分たちにも、関係してくるから、黙っているわけにはいかないんだと、主張すること、であろう。