【大相撲】御嶽海が貴景勝止めた 土俵際から逆転のはたき込み2018年11月18日 紙面から ◇九州場所<7日目>(17日・福岡国際センター) 関脇御嶽海(25)=出羽海=が、6日目まで一人だけ全勝だった小結貴景勝(22)=千賀ノ浦=を熱戦の末にはたき込みで退け、4勝3敗と白星を先行させた。いったんは追い詰められながら、出身の長野県産の俵で踏ん張り逆転。優勝争いを混戦に持ち込んだ。1敗は平幕の大栄翔、阿武咲と合わせて3人。大関高安(28)=田子ノ浦=は2敗目を喫した。 貴景勝の突き落としに御嶽海がたまらずつんのめる。左足の指先が俵に触れたが、そこからだ。体勢を立て直すとすぐさま反撃。突き返しながら、絶妙のはたき込みで仕留めてみせた。 「みんなに守られながらやってるのかなあって感じがします」 「みんな」というのは地元の長野県のこと。実は、今場所から俵が長野県産に変わった。使用されているのは同県上伊那地方でとれる「白毛もち米」のわら。古代米と呼ばれ、縄文時代に日本へ伝来したものと特徴が似ている珍しい米で、穂先は白い毛が長く伸び、とても縁起がいいとされる。長野県産の俵は、これから本場所だけでなく巡業の土俵や各部屋の土俵の全てに使用される。 「地元のものが使われることは、長野県出身で相撲に携わるものとしてはうれしいことです。頑張ります」。まげを縛る元結(もとゆい)も長野県産。地元からパワーをもらい、優勝争い、そしてまだつながっている大関昇進へ向けて価値ある1勝をつかみ取った。 まげを引っ張ったのではないかと確認の物言いがついたが、「自分の中では引っ掛かってないと思ったんで」という自信の内容。6連勝中の貴景勝に対しても「特に。自分の相撲を取るだけ」といつものように冷静に振り返る。 3横綱不在となり、状況は初優勝を決めた名古屋場所に似てきた。そうなっても「自分の相撲を取るだけですね」と気持ちにぶれはない。 「白毛もち米」からできるわらは、丈夫でしなやか、それでいて色鮮やかで美しいといわれている。御嶽海の無駄がない所作、取り口とどこか重なるような気がする。 (岸本隆) 
 
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