廃プラスチックによる海洋汚染は温暖化に次ぐ“第二の脅威”。「脱炭素」「脱使い捨て」は今や二大潮流だ。政府は、コンビニなどで提供されるレジ袋の有料義務化に踏み切るというのだが。
環境省の素案では、二〇三〇年までに使い捨てプラスチックの排出量を25%削減し、使用済みの容器包装については60%再利用、三五年には燃やしてエネルギーにする熱回収を含め、100%有効利用したいという。
今年六月、カナダでのG7サミットはプラスチック容器を三〇年までに55%再利用、四〇年には100%に引き上げる-ことなどを盛り込んだ「海洋プラスチック憲章」を承認した。ところが、日米だけは署名を見送り、批判を浴びた。
環境省素案の目標は、遅ればせだがG7を上回る。達成のため、スーパーやコンビニなどにレジ袋の有料化を義務づける方針だ。
レジ袋の国内消費量は年間三百億枚強、その大半がごみになる。
レジ袋の有料化は〇七年、京都市の消費者団体が市を仲立ちにして、スーパー側と協定を結ぶ「京都方式」が、マイバッグ持参運動とともに全国へ広がって、採用した自治体では高い削減効果を上げている。消費者の方から、有料化に踏み切るスーパーを支持するという意思表示をするのである。
売り手側にしてみれば、“お得意様”が有料化しない他店に流れることを何より心配するからだ。
しかし、自主的な取り組みにも地域差があり、協定方式の実施率は四割程度にとどまっているという。コンビニの動きはなお鈍い。
有料義務化には、確かに廃プラ汚染に歯止めをかける効果がある。だが、それだけでは恐らく根本的な解決には至らない。
スターバックスのような国際ファストフードチェーンや大手食品メーカーが「脱プラ」を宣言し、新素材への転換を進めており、微生物の力で分解される生分解性プラスチックも再び脚光を浴びている。土に返る素材が増えれば、海へ流れる「ごみ」は減る。
そして何よりの特効薬は、使い捨て-すぐに捨ててしまうような包装類なら、レジで「いらない」と言えるよう、私たち消費者も心掛けることではないか。
売り手の側には「レジ袋に入れますか」などと、こまめにひと声かけてほしい。
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