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【社説】

野党共闘 多弱脱皮へ道筋示せ

 昨年十月の衆院選以降「多弱」の地位に甘んじる野党。来夏の参院選を見据え、共闘の道筋を真剣に協議すべきときを迎えている。二十四日に始まった臨時国会で、まず結束の成果を見せてほしい。

 多弱でもまとまって戦えば一強を倒せる-。野党共闘の重要さを教えたのが最近の首長選挙だ。

 沖縄では九月末の県知事選で、主要野党が推す玉城デニー氏が政府与党側候補に大勝。続く豊見城、那覇両市長選でも玉城氏に近い候補が勝った。千葉県内などの市長選も野党系の勝利が続く。

 各地域の事情はあるにせよ、野党は参院選でも全国三十二の改選一人区で候補を一本化すれば、与党に十分太刀打ち可能とみる。

 問題は、どう調整を進めるか。

 沖縄県知事選では、反政権・反基地で結集した一部保守を含む地元組織が玉城氏を選出。野党は政党色を出さず後方支援に徹した。

 立憲民主、国民民主両党はこれに倣い、野党共闘を提唱する市民グループを仲介役として候補を絞り込む方式を念頭に置く。一本化候補に対する各党の相互推薦、支援にもこだわらない考えだ。

 一方、共産党は最終的に調整は中央の党対党で行い、相互推薦、支援の形を明確にするよう主張する。昨年の衆院選、二〇一六年参院選で共産は共闘優先で自ら候補を降ろす例が多かった。結果、衆院選で立民に政権批判票を奪われて議席を減じたとの反省がある。

 戦いに共産色が強まるのを嫌う立民、国民と隔たりはあるが、共産はまず無条件の協議入りを求めている。他党も胸襟を開いて話し合いに臨むべきだ。衆参両院で野党第一党となった立民には、大局観に基づく調整力を期待する。

 政策の旗も重要だ。有権者は民主党政権の失敗とその後の混乱を見て野党には厳しい目を向ける。

 直近の報道各社の世論調査で、最も高い立民でも支持率が一ケタに沈んでいるのは、この一年で各党が安倍政権に代わる国家像を提示できなかったことが大きい。

 参院選は政権選択選挙ではないが、有権者の多くが望まない九条改憲や軍備増強を否定し、アベノミクス下で生じた貧困と格差を是正する経済、社会保障政策について、連立政権構想につながる合意を望みたい。

 臨時国会が始まった。閣僚の資質、森友・加計学園問題、消費税増税、入管難民法改正案など野党が一致し追及できる案件は多い。結束して果敢な論戦に挑み、多弱脱皮へ本気度を示す絶好の機だ。

 

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