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【社説】

<IT強国 中国で考える>(3) 行き渡る指導者の号令

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 北京郊外に本拠を置く百度(バイドゥ)は中国版グーグルと呼ばれる検索エンジン最大手だ。しかし広報担当者は「今、最も力を入れているのは人工知能(AI)」といい、AIを搭載したロボットに「北京の天気はどうですか」と話しかけた。社員番号を持っているというロボットは「晴れです」などと答える。

 広大な敷地内では自動運転の乗用車が実証実験をしている=写真。乗車させてもらうと、車は前から来た集団を巧みに避けながら走行した。運転手はいるもののハンドルを握っておらず、ブレーキも踏まない。

 担当者は「ホンダやBMW、フォードなどと組んでいる。技術は成熟している」とし実用化を視野に入れている。さらに「政府から、自動運転分野などでAIを展開せよという指示を受け事業に取り組んでいる」と明かした。

 AIとビッグデータ。この活用が中国経済の最大テーマだ。習近平国家主席が経済分野などで唱えている「改革を深化させなければならない」という指示だ。

 電子商取引大手のアリババは「盒馬(フーマー)鮮生」という食品スーパーにも力を入れる。杭州の本社の店舗で担当者は「ビッグデータを使って需要を予測している。だから売れ残りはほとんどない。新鮮な品物ばかりだ」と自慢げだ。天井にはレールがめぐり、品物を入れた袋が行き交っている。スマホで注文すると半径三キロ圏内なら三十分で配達するシステムという。

 中国の技術水準は世界を完全にリードするほど突き抜けてはいないように思う。強みは指導者の大号令が隅々まで行き渡るスピード感だ。

 杭州のスーパーで特産品の龍井(ロンジン)茶を買おうとクレジットカードを出した。レジの若い店員が「これなに。初めて」と不思議そうにカードを眺め、慣れぬ手つきで決済した。スマホ決済が一気に広がり、現金はおろかクレジットまで忘れられている。ライバルの変化は恐ろしく速い。

 

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