オーバーロード 骨の親子の旅路   作:エクレア・エクレール・エイクレアー
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なんかバーが赤くなっていて戦々恐々としています。

評価してくださった方々、感想くださった方々ありがとうございます。


4 実感

 

 モモンガたちはその後も情報収集を行った。遠隔視の鏡の使い方にも慣れて、ずいぶん遠くのことまでわかるようになった。この場所から一番近い大都市を覗いてみたが、その中にいるのも精々が二十レベルに達するかどうか。

 そしてゲームで言うところのモブ、運営が用意したNPCの姿が確認できず、十万人を超す人間全てが生き物のように動いているのだ。モブであればまず食事などしない。特別に食事をするように設定されているモブじゃないとそんなことしないのだ。

 そこから導き出される答えは。

 

「ここはゲームじゃない……。じゃあこの抑制される感情はアンデッドの特性か……。宝物殿は隠さないとな」

 

 パンドラには宝物殿に何か異常が起きていないかの確認作業を行わせている。今宝物殿の外で辺りを確認しているのはモモンガだけ。

 宝物殿は破壊不可能オブジェクトであるうえに、形状変化などをさせることができない。この無機質な箱から外観は変更できないのだ。

 

「宝物殿を土の中に埋めるか……?外からもリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンがあれば中に転移できることは実証できたし」

 

 宝物殿をそのまま晒しておくという行為はできない。ユグドラシルではなく、一つの命としてアンデッドとして存在している時点で宝物殿の中身は貴重極まりない。巻物(スクロール)や遠隔視の鏡がゲーム時代と変わらず使えたために、マジックアイテムは有用だ。

 

 だが移動させられない時点で、取れる対処法は限られている。幻覚を発生させるマジックアイテムも用いて徹底的に隠すべきだ。土の中というのは安直だが、そのままというよりは大分マシだ。

 そう考えているとパンドラが宝物殿から出てくる。表情に変化はないが、その動きから若干焦っているように見えた。

 

「モ、モモォンガ様っ!やはりワールドアイテムが一つ、真なる無(ギンヌンガガプ)が存在しません!桜花聖域や玉座の間、それにモモンガ様がお持ちの物を除いても、真なる無だけはこの宝物殿から持ち出されておりましたァ!」

 

「何っ!?いや、待て!やはりということはどういうことだ!?」

 

「モモォンガ様が来られる前にタブラ様がいらっしゃったのですが、その際に真なる無を見たいと希望されましたのでお渡した次第です。おそらくそのまま持っていかれたのかと……」

 

「あー……、ああ……。おそらく守護者統括の彼女に持たせたのだろう。防御系の彼女とは相性が良いからな。私も最後だと思っていたために罰することはしない。それ以外に変化は?」

 

「まだ細かい部分は見れておりませんが、問題ないかとォ!」

 

「ならばよい。これからやる作業だが」

 

 そうしてパンドラに説明していく。パンドラも重要なのは宝物殿という中身のため、土の中に埋めることに反論はしてこなかった。

 パンドラに変身してもらって宝物殿を埋めて、幻術を永続的に発生させるアイテムを四方に配置する。まず四方に幻術を発生させるマジックアイテムを配置して宝物殿を隠すために丘になっている部分を平らだと錯覚させる物。

 そしてこの錯覚を産み出しているマジックアイテムがその場ではなく他の場所に埋まっているように錯覚させるように二重に幻覚用のマジックアイテムを配置することを告げる。するとパンドラが。

 

「モモンガ様。宝物殿を埋めるついでに私が辺りの土壌も不自然にならないように均しましょうか?」

 

「そうだな。視覚的にもきちんとしておくべきだろう。すると木々を誤魔化すためのマジックアイテムも必要か?」

 

「いえ、調べたところこの辺りは薬草の群生地になっているようなので、それごと土に埋めるのも不自然に捉われてしまいます。ですので生態系を壊さないように、ドルイドの力を使おうかと」

 

「そんなことにも気付いていたか……。お前のナザリックの中でもトップクラスの知略という設定は生きてるんだな」

 

「モモォンガ様にそうあれと創っていただきましたので!」

 

 一度姿勢を正してから敬礼する姿にださいわーと思いながらも、一人ではなかったことに少し安堵していた。自分では考えられないことを提案してくれたからだ。これがもし一人で、何もかもを一人でやらなければならないとしたら、寂しさややることの多さ、初めての世界での恐怖などから発狂していただろう。すぐ収まるけど。

 

 だが、そんなアンデッドの特性を頼っていたら人間の鈴木悟の精神がなくなってしまう。自分が自分でなくなってしまうことは何よりも怖いことだ。

 胡蝶の夢、ではないが肉体までも変わってしまっている今。どちらが夢かなど、決めるのは自分自身だ。

 

「では作業に移るか。ここはおそらくユグドラシルの法則が通じる別世界だろう。そして、仮の拠点はここに定める。グリーンシックレットハウスを立てて仮宿とする。……とはいえ、宝物殿がある以上ここを離れるわけにはいかんがな」

 

「では他の拠点アイテムを?グリーンシックレットハウスは些か防衛には向きません」

 

「だがそれ以上のアイテムとなると目立ちすぎるだろう。何せ大きいからな。この世界が未知に溢れている以上、最初から目立つマネは避けたい。木より大きかったら人が訪れるだろう?」

 

「そうですね。ではグリーンシックレットハウスには最大限の警備システムを搭載します」

 

「そうしてくれ」

 

 パンドラが作業をする中、アインズは主に召喚系の実験を行う。死の騎士にしろ他の召喚モンスターにしろ、何がどう変化しているのかわからない。

 作業自体はパンドラが頑張ったためにすぐ終わった。グリーンシックレットハウスも設置して、中も外も要塞と言っても過言ではない充実っぷりだ。

 

「拠点作成としたら充分だろう。これより数日、周辺の調査を徹底的に行う。また、お前もワールドアイテム対策として一つワールドアイテムを所持しろ。何にしても情報だ。ユグドラシルで異形種というのは蔑まれていたからな。この世界が違うとも言い切れん」

 

「承知いたしました!当分はぬーぼー様のお姿で情報収集に当たれば?」

 

「そうだな。……それに、お前にはプレイヤーのみが知るユグドラシルの秘密を話そう」

 

「ユグドラシルの秘密、ですか?」

 

 そこからモモンガは、正確には鈴木悟についての話を始める。どうせ他の人間がいるのかもわからない。味方ならば、情報共有は必須だからだ。

 

 

 




他の二次創作も含めて一般人の食事シーンでゲームではないと気付く作品はあっただろうか?


パンドラだとモモンガさん気兼ねなく接するから書きやすくていいね。






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