オーバーロード 骨の親子の旅路   作:エクレア・エクレール・エイクレアー
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エエエです。


独自設定あるんでそういうものだと暖かい目でご覧ください。


3 転移

 

 

 結局落ち着く間で三十分ほどかかった。それまでに一つ一つの物事を判断していき、おそらくワールドアイテムが使用されて仕様が変わった、この感情抑制はアンデッドの特性の一つ、そしてもうサービス終了なのだから落ち着いて当初の予定通り玉座の間で最期を迎えようと思って落ち着いた。

 

「パンドラズ・アクターよ。先ほどは無様な姿を見せたな。おそらくだがワールドアイテムが用いられた。どのような効果かはわからないが……。かなりの法則が変わる、二十の内の一つだろう。最後とは言え、お前と話せることを創造主として嬉しく思う」

 

「そのようなお言葉、誠に嬉しく存じます!モモォンガッ様は最後までこのナザリックに残られた最後の至高の御方。……しかし、ワールドアイテムの使用と“最後”という言葉……。まさか、ユグドラシルが崩壊するのですか?」

 

「うむ。最後だし伝えておこう。あと三十分もすればユグドラシルも終わる。だからお前も一緒に最期を迎えようと思ってな。玉座の間に向かうぞ。最後を迎えるのはあそこ以外に存在しない。予備のリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンはたしか宝物殿にまだあったな?」

 

「はっ、存在します。しかしアレは至高の御方のみに許された……」

 

「構わん。私が許可する。それに予備だしな。世界が終わる時に間に合わないというのも不格好だろう?早く見つけて移動するぞ」

 

 パンドラズ・アクターにそう指示をしてリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを装備させる。その動きを見ていて、運営もこんな綺麗な動きができるAIを組んでいたことに驚いた。

 そんなワールドアイテムを用意していたのか、最終日だからというサプライズかどうかわからないが、この時だけは運営に感謝していた。

 黒歴史とは思っていたが、自分が丹精込めて創り上げたことには変わりない。それがまるで生きているかのように滑らかに動いているのだ。感激するのはおかしくないだろう。

 

「お待たせいたしました!」

 

「よい。では行くか」

 

 いつものように念じるが、転移する様子はない。隣を見てみるが、パンドラズ・アクターも移動していなかった。

 

「これもバグか……?パンドラ、何か違和感は?」

 

「申し訳ありませんっ!私にも皆目見当がつきません!」

 

「そうか……。もしかしたら宝物殿を出れば転移できるかもな。そこまで玉座の間から離れてはいないが一刻を争う。まずは宝物殿を出るぞ」

 

「はっ!」

 

 歩いて宝物殿を出る。区画として隔離されているとはいえ、歩いていけないこともない。リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンがなければいけなかったのだが、今日来たタブラがリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを持っていなかったので第八階層に行ってナザリック内の転移システムを管理しているオーレ・オールの元に行き、宝物殿だけは転移ではなくても行けるようになった。

 

 予備のリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンは宝物殿に保管されていたことと、この巨大なダンジョンはリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンがないと不便だ。そのため空間を歪ませていないために徒歩で十階層に出るはずだった。

 《転移門》のような黒い闇を抜けた先には、第六階層にあるものもかくやというほどの大森林だった。

 

「……は?」

 

「これは……」

 

 この事実にモモンガとパンドラは絶句する。二人がいたのはナザリック地下大墳墓。その十階層だ。《転移門》のような場所こそ通りはしたが、実際に転移したわけじゃない。振り返ると無機質な大きな箱が存在していた。

 

「宝物殿が剥き出しに?」

 

「モモォンガッ様!ここはナザリックではありません!確かな地上です!」

 

 パンドラが地面や木に触れてそう告げる。モモンガも辺りを見回して、その身に森林による匂いと風を感じていた。

 

(匂いに風……?そんな五感的な機能、ゲームで再現することは電脳法で禁止されている。まさかそれを実行してサーバーにバグを起こした?いや、だが何のために?ユグドラシルの次のゲームのための実験?それが宝物殿を刳り抜かれたことと何の関係がある?ナザリックはどうした!?)

 

「パンドラ!ぬーぼーさんに変身し、辺りを捜索せよ!私もシモベを作りだして辺りを捜索させる!」

 

Wenn es meines Gottes Wille(我が神のお望みとあらば)!」

 

「ドイツ語だったか!?ええい、今はいい!もし能力に不備があるなら宝物殿から全てのアイテムの使用を認める!ぬーぼーさんの装備を使うことも許可する!ここがどこであるかの調査、早急に行うぞ!」

 

「わっかりました!」

 

 パンドラは敬礼した後宝物殿へと戻っていき装備を整えに行く。モモンガはそれを確認せずにコンソールを出そうとするが表示できない。

 

「クソッ!GMコールも使えないのか!?それにどうやって魔法を使えば……!《中位アンデッド作成》!」

 

 やけくそで魔法を唱えると、身体の中からMPが失われていく感覚があった。だが、中位アンデッド作成程度では膨大なMPのモモンガにとって全く痛手ではない。

 地面に黒いもやもやが集まっていくと、見慣れたモンスター、死の騎士(デス・ナイト)を成形していった。その死の騎士と契約として繋がっているラインのような物を感じられた。本来であればコンソールに出るだけなのに。

 

「何がどうなっているんだ……。使われたワールドアイテムは一つじゃなかった?いや、超位魔法の可能性も?……検証は後だ。死の騎士よ、辺りの捜索をせよ。だが生命体と遭遇しても戦闘はするな。辺りに何があるのか調べてこい」

 

「オオオオァァアアアアアア!」

 

 死の騎士は命令通り森の奥へ消えていく。本来であれば召喚者の近くで壁になる存在なのだが、こういう融通が利くらしい。

 

「あとは俺自身も辺りの捜索を……。遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)があったな。……あと、護衛増やしとこ」

 

 モモンガがさらに死の騎士を召喚して探知防御の魔法を巻物(スクロール)込みで色々発動して、遠隔視の鏡の操作に四苦八苦している頃にパンドラが戻ってきた。二人がかりで辺りの捜索をしたが、わかったことは森の外に人間の村があること、そして森がかなり巨大で、奥に行けば行くだけモンスターが生息していることだけだった。

 だが、そのモンスターたちはLV.100のモモンガとパンドラの敵ではない程度の雑魚しか見当たらなかった。死の騎士一体で蹂躙できるほどだ。

 

「こんな雑魚ばかり……。もしや初心者用のエリアか?そっちの方はもう何年も行ってないからわからないが……」

 

「モモォンガ様。ワールドアイテムを使用したようなプレイヤー、及びナザリックのようなものは付近に存在しません。憶測ですが、我らだけが宝物殿ごと転移させられたとしか……」

 

「やはりそうか……。ん?そういえばサーバーダウンは?それに深夜のはずなのに何故日が昇っている?」

 

 今さらだが、モモンガが宝物殿に来てから一時間など、とっくの昔に過ぎている。そしてユグドラシルのフィールドは特殊なエリアを除けばリアルと時間を同じくして日が昇り、落ちていく。

 だが、今辺りは明るい。ちょうど日が中央に昇ったぐらいだ。完全にリアルとはズレている。

 

「ログアウトもできない……。明日も仕事なんだけど……」

 

 そんなことを気にする死の支配者がいたとか。

 

 

 




まあ、パンドラと一緒ということは宝物殿も一緒だよねという。


原作と違うところがあってもこの作品はそうなんだなと見逃して下せえ。おねげえします。








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