【芸能・社会】桑田がエンディング“献歌” さくらももこさん1000人が別れ2018年11月17日 紙面から
8月15日に乳がんのため53歳で亡くなった漫画家さくらももこさんをしのぶ「ありがとうの会」が16日、東京都港区の青山葬儀所で営まれ、親交のあった関係者ら約1000人が参列。代表作「ちびまる子ちゃん」でまる子役の声優TARAKO(57)ら3人が弔辞を読み上げ、サザンオールスターズの桑田佳祐(62)が同アニメのエンディングテーマ曲「100万年の幸せ!!」を“献歌”して追悼した。 2012年4月から昨年10月まで5年あまり使われた「100万年の幸せ!!」は、さくらさんが作詞、桑田が作曲。さくら色のネクタイにスーツ姿で登壇した桑田は、約7年前に桑田の大ファンだったさくらさんから直筆の手紙でテーマソングの依頼を受けた際の秘話も披露。「歌詞とタイトルも全部書いてありまして『あっ、歌詞指定かよ』と思った。『すげぇ~な』と思ったんですけど」と当時を回想すると、会場からは笑いも起きた。 さらに「Aメロ、Bメロ、サビと、きちっと書いてくださった」という手紙の最後には「ダメだったら断ってくださいね」と書かれていたことも明かし、桑田は「断れません。本当にお世話になりまして、私自身も家族もスタッフも」と感謝。「何の恩返しもできておりません。またいつかお会いしましょうということだけ言わせていただく。ありがとうございました」と呼びかけた。 桑田は参列したB.B.クィーンズや爆笑問題の太田光(53)らの名前を挙げながら「名作、傑作を歌った方がたくさんいらっしゃるけど、せんえつながら歌わせていただきたい」と述べ、「100万年の幸せ!!」を熱唱。会場は手拍子や拍手でコンサートのような熱気に包まれた。 ◆幸せいただいた司会を務めたフジテレビの笠井信輔アナウンサーは、さくらさんが桑田のサインを大切にしていたエピソードを紹介。桑田は「こちらこそ大きな幸せをいただきました」と感謝を繰り返した。 ◆ビートたけし ラフな姿で参列原作にも登場するなどさくらさんが好きなタレントの一人だったビートたけし(71)もラフな服装で参列。関係者にあいさつし献花を終えると、何も語らず、5分ほどで会場を後にした。 ◆森三中大島 悔やむ森三中の大島美幸(38)は、テレビでさくらさんのファンであることを伝えたら、さくらさんから直筆の手紙が届いて交流が始まったことを明かした。「『ぜひお家に遊びに来てください』と電話番号も載っていてドッキリと思った。電話したら先生が出て、まるちゃんだと思った」と回想。「お笑いが大好きな先生が森三中を応援してくれたのに、先生が病気で辛かった時も何も応援できなかった。ごめんなさい」と涙で言葉を詰まらせた。 ◆爆笑問題・太田光 そこまで先越されるとは「ちびまる子ちゃん」のエンディング曲「アララの呪文」を歌った爆笑問題・太田は妻で事務所社長の太田光代さんと一緒に参列。「同い年で『ちびまる子ちゃん』がテレビで始まったころに1回だけ会ったことがある。まる子ちゃんがみるみる国民的な人気となり、こっちは全然売れず、ジェラシーもあった。こうして亡くなられちゃうと、そこまで先を越されるか」と神妙にコメント。その後さくらさんから楽曲の依頼があって再会し「(最初に会った時のことを)忘れてると思ってたけど、さくらさんは『覚えてますよ』って。それはうれしかった」と振り返った。 ◆ゴールデンボンバー「とてもクレイジーな方」2016年4月から「ちびまる子ちゃん」の主題歌「おどるポンポコリン」を歌ったビジュアル系エアバンド「ゴールデンボンバー」の4人も参列。 メンバーのうち、唯一さくらさんに会ったというボーカルの鬼龍院翔(34)は、「さくら先生にお会いしたら、とてもクレイジーな方で、僕らみたいな変なものも好きになってくれるのも分かった気がした。だから、これからもずっとふざけていこうかなと思います」と神妙に話した。 ◆和田アキ子 酒豪トップクラス参列した歌手の和田アキ子(68)は献花を終え報道陣の取材に応じた。2014年発売の和田のシングル「すばらしき人よ」の作詞をさくらさんが手掛けたことから交流がスタートしたという。 和田は「お互い、お酒が非常に好きで、よく飲んだ。本当に楽しい人で、お酒を飲みながら、世の中楽しくしていかないといけないね、という話もしていた」と振り返った。酒豪として知られる和田だが、「私の芸能界人脈の中でもトップクラスの酒豪」とさくらさんの飲みっぷりを明かした。
◆好きな花に自画像 明るく楽しい祭壇祭壇は明るく楽しい雰囲気が好きだったさくらさんのイラストなどをもとに「さくらプロダクション」がデザイン。好きだったダリアやトルコキキョウなどの花3万本で覆われた会場の祭壇中央には、近年描いた自画像が飾られた。背後には静岡出身らしく富士山を再現。周囲はさくらさんがよく描いていた“福絵”や「ちびまる子ちゃん」の登場キャラクターが取り囲んだ。 別会場ではさくらさんの執筆姿を再現。机上には国の重要無形文化財に指定されている岐阜県郡上市「郡上おどり」保存会から贈られた「郡上八幡・郡上おどり免状」も展示された。大好きだった静岡名物のおでんも参列者にふるまわれた。 参列者のお土産には、ちびまる子ちゃんとコラボした静岡銘菓「アマンド娘」、クリアファイル、絵はがき、「りぼん」11月号の付録の追悼冊子の4点セットが用意された。 ◆まる子の声でTARAKO弔辞 アンタ偉いよTARAKOは弔辞で「私の人生の半分はまる子」と強調。さくらさんと歌手のイルカ(67)と3人の声が似ていることから、街中の信号待ちやタクシー乗車中に間違えられたエピソードも紹介し「『オールナイトニッポン』で3人がしゃべった時も誰が誰の声か分からなかった」と懐かしんだ。 「似てるって、こんなに幸せで、うれしくて、ありがたくて、何かグッとくるものなんだなということも、ももこさんが教えてくれました。もっと会いたかった。会おうと思った時にすぐ会わないといけないんだと実感しました」。感謝と後悔をにじませた。 途中からはまる子の声で「大人になった私へ。よくぞ夢をかなえてくれました。アンタ偉いよ!」と称賛。最後は「大人になって天使になって天国に行く私へ。ずっとずっと、どこにいても描き続けてください。生まれ変わっても私はちっちゃくて丸くて、おっちょこちょいで、プリンが好きでモモエちゃんが好きで漫画が大好きな…さくらももこです。またね」と呼びかけた。 ◆吉本ばななさん 秘密のあだ名で呼び合った作家の吉本ばななさん(54)は弔辞で、さくらさんとの対談を機に始まった親交を回想。「疲れがたまると荻窪のスーパー銭湯に行き、『ヒノキ風呂のあたりで3時ね』みたいな感じでハダカで待ち合わせをして。すぐばれてしまう名前なので秘密のあだ名で呼び合い…」と“青春の日々”を懐かしんだ。 さくらさんは若いころ「かわいいけどちょっと意地悪なおばあさんになりたい。その時着る服まで考えてる。将来おばあさんになるのが楽しみだ」と話していたという。最後のメールのやりとりでは吉本さんが「ももちゃんはやると言ったら絶対やる人じゃないか。今回も必ず治る」と送ったところ、さくらさんは「すごいね(笑)。でも本当にいろいろありがとう。何度ありがとうと言っても足りないよ。私のありがとうがいっぱい届きますように」と返信があったことも明かした。 ◆賀来千香子「寂しい」 メールのやりとりを公開…弔辞を読んだ女優の賀来千香子(57)は、さくらさんのエッセー「もものかんづめ」を読んで手紙を出したことから始まった27年間に及ぶ親交を回想。「アトリエで初めてお会いしたさくらさんは、ちびまる子ちゃんそのものでした。さくらさんを天才だと思っています」 賀来は今年5月、さくらさんとやりとりしたメール内容を公開。「さくらさんの誕生日に、私が舞台でプレゼントが遅れてしまうというメールを送ると、さくらさんから『体調がいまいちで、なかなか会えなくて残念です。早く元気になって千香ちゃんに会いたいです』と返信が届いた」と話し、「さくらさんが初めて本性を言ってくれてうれしく思ったが、すぐにさくらさんが弱くなってきているのかもしれないという不安にかられた。私たちの願いはかないませんでした。寂しい」と声を震わせた。 【主な参列者】笠井信輔、B.B.クィーンズ、賀来千香子、市村正親、ゴールデンボンバー、太田光夫妻、和田アキ子、GLAYのTERU、糸井重里、パパイヤ鈴木、大島美幸、吉井和哉、澤穂希、お笑いコンビ「レギュラー」、山本リンダ、ビートたけし、桑田佳祐、原由子、吉本ばなな(順不同、敬称略)
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