ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫
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112ありんすちゃんとおわらないふゆ

 ナザリック地下大墳墓 第二階層〈屍蝋玄室〉でありんすちゃんはため息をつきました。だってなかなかオーバーロードの13巻が発売されないのです。確か予定では2017年の冬には発売される筈でした。

 

『くがねちゃんの冬は終わらない』

 

 きっと冬が終わらないと無理みたいですね。現在の最新刊は聖王国編の前編です。ですから続きの後編が気になるんですよね。

 

「……はぁ……こんなこちょなら十二巻、一ページじゅちゅ読んだんでありんちゅ」

 

 ありんすちゃんは後悔していました。そもそもありんすちゃんは平仮名しか読めませんからシモベのヴァンパイア・ブライドに読み聞かせて貰ったのでした。続きが気になったありんすちゃんがヴァンパイア・ブライドにおねだりして続きをドンドン進めさせて、結局最初の晩に朝までかかって十二巻を読みきってしまった事はもう忘れてしまったようです。

 

「…………きっとネイアはちんじゃうでありんちゅ。ドッペルはきっとお兄ちゃんでありんちゅ。アインジュちゃまがピンチでチャルチェがたしゅけるでありんちゅ。……そうでありんちゅ!」

 

 おやおや? ありんすちゃんは何やら思いついたみたいですね? 屍蝋玄室を飛び出して行ってしまいました。

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

「……えっと、その……つまり〈天候操作〉じゃなくて季節を変える、あの……そういう事ですか?」

 

 ありんすちゃんは腕を組んで頭をブンブン振ります。ありんすちゃんの期待の眼差しを受けたマーレは気まずそうにモジモジしています。

 

「しゅぐに春にしるでありんちゅよ。マーレ」

 

「……あの……ありんすちゃん。それはちょっとボ、僕には……その……」

 

 言葉に詰まるマーレを見かねてアウラがやれやれと首を振ります。

 

「あのさぁ、マーレの〈天候操作〉はあくまでも気候を変える事は出来ても季節を変える事は出来ないんだよ? 考えてみてごらんよ? 季節が変わるってのはさ、それだけ時間が経たないといけないって訳。わかる?」

 

 ありんすちゃんは口を真っ直ぐに結んで真っ赤な顔をしています。

 

「……冬が……冬が終わらないと……オバロドちゅぢゅき、見れないでありんちゅ! うわわーん!」

 

 ありんすちゃんは泣きながら第六階層を飛び出して行っちゃいました。

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 さてさて、ありんすちゃんは何処に行ったのでしょう?

 

 ありんすちゃんは屍蝋玄室に戻ってベッドに寝そべって何やら書いているみたいです。また落書き──ゲフンゲフン。挿絵を書いているのかと思ったら、どうやら文章を書いているようです。成る程、自分自身でオーバーロード十二巻の続きの話を書くんですね。

 

 部屋のドアにはありんすちゃん直筆で『はいるな』との貼り紙が貼られていて、今回はどうやら本気みたいですね。

 

 

 

※   ※   ※

 

 

「ありんすちゃん、ちわっす。はかどっているっすか?」

 

 ありんすちゃんの寝室にルプスレギナが入って来ました。しかし、ありんすちゃんの姿はありません。どうやらお風呂に入っているみたいですね。隣接する浴室からありんすちゃんの鼻唄が聞こえてきます。

 

「おや? どうやら原稿みたいっす」

 

 ルプスレギナは足元に落ちていた何枚かの原稿用紙を拾い上げました。それは平仮名でありんすちゃんが書いた『オーバーロード 聖王国の聖騎士編 下』──『おばろど せいおこくのせいき した』でした。

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 登場人物で聖騎士団長が最初、何度も登場してきますが、レメディオスの名前をありんすちゃんは『れでめおす』とか『めれでおす』という風に間違えています。その内に面倒になってきたみたいで『ねいあさけびまくす れでめおすだんちよしんじやいました』──原文は全て平がななので修正すると──『ネイアが叫びました。レメディオス団長が死んじゃいました』として退場してしまいました。

 

 魔皇ヤルダバオトとの対決でアインズは倒れてしまいます。危うしアインズ、という場面で深紅のフルアーマーのシャルティアが〈グレーターテレポーテーション〉で現れます。

 

 シャルティアは激戦の末にヤルダバオトを倒します。と、次の瞬間──

 

 

 

 ルプスレギナは紙をめくりました。

 

 ──『ハッハッハッ! よくぞヤルダバオトを倒したな! 私はヤルダバオトの弟のヤルバデオトだ! 私は兄より強いぞ!』

 

 シャルティアは激闘の末にヤルバデオトを倒します。すると今度はヤルバデオトの義理の弟のヤバルデオトが──

 

 

 

「これは駄目っすね。ありんすちゃんには文才は無いっす」

 

 ルプスレギナはやれやれと頭を降りながら部屋を出て行きました。浴室からは上機嫌なありんすちゃんの鼻唄がまだ聞こえてきます。

 

 仕方ありませんよね。だって、ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子に過ぎないのですから。








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