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【大相撲】

崖っぷち稀勢の里、10度目休場 右膝捻挫…初場所に進退懸ける

2018年11月16日 紙面から

九州場所の休場を決断し、記者の質問に答える横綱稀勢の里=福岡県大野城市で(七森祐也撮影)

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◇九州場所<5日目>

(15日・福岡国際センター)

 初日から4連敗の横綱稀勢の里(32)=田子ノ浦=が「右膝挫傷捻挫で全治1カ月の休業加療を要する」との診断書を提出して休場した。名古屋場所以来2場所ぶり10度目の休場で、今場所は3横綱全員が不在となった。対戦相手の玉鷲は不戦勝。初場所に稀勢の里の進退問題が再燃することは必至だ。平幕栃煌山(31)=春日野=は大関高安に勝ち、5連勝。3大関はいずれも平幕に敗れた。小結貴景勝(22)=千賀ノ浦=も関脇逸ノ城を押し出し、5連勝とした。

◆「右膝捻挫全治1カ月」の診断書提出

 完全復活を期した平成最後の九州場所から、稀勢の里が姿を消した。この日は福岡県大野城市の田子ノ浦部屋宿舎での朝稽古後に自らの口で休場を表明。赤くなった目や震える声には、休場の悔しさがにじみでた。

 「一人横綱で迎えた場所でしたけど、応援してくださった方には申し訳ないけれど、休場することになりました」

 場所前は順調に稽古を重ね、異例のV宣言も飛び出すほど力強さが目立った。しかし、初日の貴景勝戦ではたき込まれた際に右膝をねんざして、事態は暗転した。全治1カ月の負傷を押して強行出場したものの、4日連続で土俵に転がされた。

 横綱として87年ぶり、15日制になってからは史上初めてとなる初日から4連敗。九州で屈辱にまみれた形の稀勢の里は、「務め上げたい気持ちは心にありましたけど、なかなか体が続かなかった…」。もはや、限界といえるような状態だった。

 新たな爆弾を抱えた稀勢の里。この日は治療を最優先に挙げて、復帰場所を明言しなかった。しかし、来年の初場所に進退が懸かるのは避けられない情勢だ。10勝を挙げた秋場所後、横綱審議委員会は「序盤戦で負けが込んで、休場ということになったら、やっぱり考えなきゃいけない」。すでに、今場所の成績次第で進退問題が再浮上することを示唆していた。

 親方衆の見方も一致している。同じ二所ノ関一門の芝田山親方(元横綱大乃国)は「辞めなくて良かった」と言いながらも「これ(休場)を続けるわけにはいかない」と断言。「横綱は休めるから良いなと言った人がいるけど、とんでもない。休めば休むほど厳しくなる」と語った

 さらに、初場所の出場を“厳命”したのは、若手時代の稀勢の里が付け人を務めた西岩親方(元関脇若の里)だ。「初場所の初日は1月13日ですよね?」と報道陣に確認すると、「新弟子のころを思い出して、泥だらけになるしかない。稽古場では横綱のプライドを捨てて」と兄弟子ならではの激辛エールを送った。

 今の稀勢の里はいわば背水の陣。冬巡業の参加も明言できなかったこともあり、不安ばかりが募る。

 それでも、今は横綱が休場を決意した14日の夜、師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)に伝えた言葉を信じるしかない。「このままでは終われない」-。 (志村拓)

◆稀勢の里 一問一答 期待に応えられず悔しい

 -休場の心境は

 稀勢の里「今場所もたくさん声援をもらった。本当にありがたい。期待に応えられなかったのは悔しい思いがある。今場所は申し訳ない。ただそれだけ」

 -気力は感じられた

 「こういう状況でやったけど、結果がついてこなかった。(来場所以降に)またいい相撲を取っていきたい気持ちはある」

 -初の一人横綱は

 「何とも言えない。ちょっと初めての部分もあった。最後までできなかったことは悔しい。(重圧について)やることは一つと思っていた」

 -場所前は好調が伝えられた

 「いい調整もできたし、いい状態で入れたけど。悔しい」

 -冬巡業の参加は

 「とりあえず、しっかりと体を動かせるくらいに戻していきたい。状態次第で出られればと思っている」

 -右膝の状態は

 「精密検査もしないといけない。しっかりまた、土俵に戻れるようにやっていくだけ」

 

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